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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.16
ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。
(本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)
「テディベア」の生まれた地へ。 シュタイフ ミュージアム/ドイツ・ギーンゲン
こんにちは。 今回は世界中で愛されているテディベアの生まれ故郷、ドイツ・ギーンゲンにある「シュタイフミュージアム」をご紹介いたします。

ドイツ南西部に位置するギーンゲンにあるシュタイフ本社&ミュージアム。フランクフルトから車で約3時間半、シュタイフのクマちゃんマークが出てきて、

到着。ドイツに来たらシュタイフ、と思い続けてようやく。

125周年を記念して2005年にリニューアルオープンしたシュタイフ・ミュージアム。手前の木組みの建物はアウトレットです。

建物に入るとカワイイ!が出迎えてくれました。
お猿の手のひらに乗っているゾウさんは、フェルトのピンクッション。シュタイフ社のはじまり、となったゾウさんです。

2008年のカール・ラガーフェルドとのコラボレーションベアのパネルも。 シルクのネクタイ、スワロフスキーのタイピン、ジャケットにハイカラーのシャツもカールと同じものを着ているという贅沢なテディベアでした。

大人一人12ユーロの入場料を払ってミュージアムへ。
創業から140年以上経った今日も世界中で愛されているシュタイフ。優しい温もりを持つ「ぬいぐるみ」たちの生まれ故郷。

1847年7月24日、シュタイフの創業者マルガレーテ・シュタイフ(Margarete Steiff)がギーンゲンに生まれます。生後18ヶ月でポリオを患い車椅子の生活を余儀なくされた彼女ですが、人生における自身の居場所のために困難に立ち向かった勇敢な女性でした。

1880年にフェルト製の小さなゾウ"Elefäntle"が誕生。ピンクッションとして生まれたゾウは瞬く間に子どもたちの人気のおもちゃに。


1897年、マルガレーテの甥であるリチャード・シュタイフ(Richard Steiff)がシュタイフ社に加わり、1902年に腕と脚が動く世界初のぬいぐるみ「ベア55PB(55cm、P=ぬいぐるみ、B=可動)」を開発します。「テディベア」の誕生です。

シュタイフベアがテディベアになったのは1906年。狩りで獲物を仕留められなかった当時のアメリカの大統領、セオドア・ルーズベルトの前に差し出された一頭のクマ。彼は繋がれたクマ撃つことをキッパリと拒否します。
その出来事を風刺画に描いたクリフォード・ベリーマンは以後、ルーズベルトの風刺画を描く時は決まって小さなクマを一緒に描いたといいます。ワシントンポストのベリーマンと、『テディ』の愛称を得たルーズベルトの人気が作り上げたのが「テディベア」。

1909年にマルガレーテが亡くなり、シュタイフ社は甥のリチャードに引き継がれ「ぬいぐるみ」の範囲は拡大していきます。
リチャードがずっと心にあたためていたのは「ペットと家族の中間に位置する存在」。子どもたちが抱きやすいサイズ、肌触り、怖すぎない表情、そして安全性。

シュタイフの生き物たちを手にした時に伝わってくる嬉しさは、愛情が込められた幾つもの小さなステップを経て作られているから。

引き出しには、縫い糸、ボタン、詰め物、アクセサリーなど、ぬいぐるみを構成する最高品質の素材が展示されていました。

1902年にリチャード・シュタイフの世界初のテディベアに最高級モヘアを供給したラインハルト・シュルテ社(Reinhard Schulte company 現Steiff Schulte) の高品質の素材。
動物たちの性格、コレクターズアイテムなのか、それとも抱きしめて一緒に寝る友人なのか、によって生地が選ばれます。

シュタイフ・シュルテ社の高品質な素材は、ドリス・ヴァン・ノッテン2013年秋冬のコートでも使用されました。今でもこのドリスのテディコートは私の大切な一枚。

2階にはシュタイフのサファリが広がっていました。大きいのも小さいのも、すべての愛らしい存在を抱きしめたり、撫でたりすることができます。大きいゾウさんの背にも乗れますし、

すべることもできます。長さ15mのモヘアのヘビスライダーがカワイイ存在感を放っていました。

シュタイフの人気に乗じて模倣品が出回り、それらと区別するために1904年に生まれたのが「ボタン・イン・イヤー(Button in Ear)」。シュタイフで愛情込めてつくられたいきものたちである証です。

"Teddy Bear ERA" は2019体の限定生産でしたので、シリアルナンバー付きのタグでした。

愛情たっぷりで作られているから、シュタイフのぬいぐるみたちは表情豊か。

アウトレットでは目があったこのコを連れて帰ることに。

マルガレーテの時代から変わらないのは、無害で価値のあるもの。
子どもたちが感じて、触って、嗅いで、口に入れて安全なもの。農薬を含まない有機栽培で育てられた素材、蛍光増白剤を使用せず、アレルギー成分を含まない染色、そしてそれに関わる人たちの、関係者全員の公正な労働条件。
"Only the best is good enough for children".

後日行ったライカ本社で出会ったのは、限定コレクターズ・ベア「Elsie」。

「ライカI」の誕生から100年を迎える2025年を記念し、エルンスト・ライツ2世とその娘エルジー・キューン=ライツへの敬意を込めて作られたSteiff for Leica。

「Freedom is believing in yourself.(自由とは、自分を信じることです)」ーマルガレーテ・シュタイフ
松屋銀座6階
ベビー・子供服・子供用品・玩具
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