その他
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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.7
ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。
(本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)
プロフィール
美しい靴 ② /「マノロ ブラニク(Manolo Blahnik)」 松屋銀座店
こんにちは。 私が思う「美しい靴」として、今回は「マノロ ブラニク(Manolo Blahnik) 」をピックアップします。
マノロ ブラニクが日本初のショップインショップを松屋銀座店2階にオープンしたのは2016年8月。「日本の匠」をテーマにした内装デザインは、ニック・レイススミス・アーキテクチャー&デザインが担当しました。
藍染を思わせるネイビーの壁紙、組み木をイメージしたディスプレイはメープル材を使用しています。
日本の紅葉に着想を得たという黄色や樺色のソファが暖かみを与え、
シャープな鏡面が全体を引き締めています。
私の思う「美しい靴」とは、足を入れた時のシルエットが綺麗で履き心地が良く、そして服を邪魔せず履ける靴。そのすべてをカバーするのがマノロ ブラニクの靴。
今回ピックアップするのは「メイセール(Maysale)」。ブランドを代表する静謐な靴です。
メイセールは1991年、米国のTV アニメ " The Simpsons" (邦題 「ザ・シンプソンズ」)のキャラクターのひとり Marge Simpson のためにデザインされ、同年アイザック・ミズラヒ(Issac Mizrahi)のコレクションにおいて、実際のシューズがお披露目となった靴。
それはミュールから始まり、
パンプスや
スリングバック、
ブーツなどに派生進化しています。
「ピルグリム風のスクエアバックルとキトゥンヒールのミュールをつくって欲しい」という依頼から生まれたメイセール。
キトゥンヒールとは、kitten(=子猫)+heelの造語で、内側にカーブを描く3~5cmヒールのこと。私はこの歩きやすく優美なキトゥンヒールが大好きで、つい求めてしまいます。
足入れした時にすっと伸びる美しいシルエットをもたらしてくれるメイセールは、シンプルで上質な靴という形容がしっくりきます。
スペイン カナリア諸島でチェコスロバキア人の父とスペイン人の母の間に生まれたマノロ・ブラニク。世の中の喧騒から切り離された自然豊かな島で、チョコレートボンボンの銀紙でトカゲの靴を作って遊んでいたという少年時代を過ごしたマノロ・ブラニク。
2017年12月23日公開の映画『The Boy Who Made Shoes for Lizards(邦題:マノロ ブラニク〜トカゲに靴を作った少年)』の試写会を思い出した。
ジュネーヴ大学で法律を専攻するも「 boring(退屈)」だと感じ、芸術と言語を学び渡仏。その後NYで、当時米VOGUE編集長だったダイアナ・ヴリーランドと出会い、靴デザイナーに専念するよう勧められます。 シューズデザイナー「マノロ・ブラニク」誕生の瞬間です。
マノロの描く精巧なドローイングから生み出される靴たち。
母親譲りのマノロ感性によって生み出された、優美で洗練されたデザインは高い評価を得、トップメゾンのシューズデザイナーを務めます。また映画「マリー・アントワネット」のシューズデザインも担当し、23足の靴をデザインしました。
自然を愛し理解するマノロが生み出す靴は生き物 (creature)。
マノロの靴を履く度に感じるのがこの不思議な感覚。自分の足の延長のような…靴がぴょんぴょんと嬉しく跳ねているような…何か生き物感を感じるんですよね。
メイセールも他のラインと同様、シーズン毎にカーフにナッパなど、登場する素材が変化します。今秋に登場するのがベルベット!メイセールのベルベットは日本での展開が初めて。これは美しい。
キトゥンヒールのブーツってとても優雅だと思う。
私がこの秋、手に入れたいのが、ブラウンカーフクロコ型押し。
クロコの型押しカーフに、バックルの縁取りとライニングがスエードの一足。全身茶色で闊歩したい。
靴だけ履く人はいない、必ず服を着て靴。だから「服を邪魔しない靴」がマノロの信条。
これを貫いているブランドの存在は貴重。ブランドを主張する靴を履く時は、着る服と付けるアクセサリーが自ずと決まってしまうから。
「良いデザインは、それを声高に叫ぶ必要はない」ーマノロ・ブラニク
そのルックスと同じくらい履き心地が良いマノロ ブラニクの靴を松屋銀座店で体感してみて下さい。
マノロ ブラニク 松屋銀座店
松屋銀座2階
TEL:03(6263)0853 <直通>