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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.15

ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。 (本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)
プロフィール
Lulu.
2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。

「シウマイ」に会いに崎陽軒へ

こんにちは。 横浜のソウルフード「シウマイ」に会いに崎陽軒へ。
冷めてもおいしい崎陽軒のそれはシューマイと区別されます。以前行った横浜工場見学の体験を交え綴りたいと思います。
お話を伺いに向かったのは、横浜駅東口にある崎陽軒本店。


崎陽軒は、4代目横浜駅長であった久保久行が初代横浜駅(現在の桜木町駅)で1908 年に創業。
1923 年に代表社員に就任した野並茂吉は、横浜ー東京間の短い区間は駅弁には不向きと考え、横浜名物を作ることにしました。


そこで南京街(現在の中華街)を探索し、突き出しとして提供されていた「シューマイ」に着目。車内で食べるため、冷めてもおいしいことにこだわり、南京街の点心職人・呉遇孫をスカウトします。

点心職人・呉遇孫 ©Kiyoken Co.,Ltd.

約1年の試行錯誤の結果、豚肉と干帆立貝柱を混ぜ合わせた、冷めてもおいしい「シウマイ」が完成。揺れる車内でもこぼさぬよう、一口サイズとした「昔ながらのシウマイ」の誕生です。

©Kiyoken Co.,Ltd.

なぜ「シウマイ」?
初代社長が訛って「シーマイ」と言っていたのを聞いた中国の方が、「シーマイの方が本場の発音に近い!」と言ったことにより「シウマイ」の表記になったとか。


あんの材料は豚肉、玉ねぎ、グリンピース、干帆立貝柱、調味料&でんぷんのみ。豚肉は冷凍物を一切使用せず、調味料は塩、こしょう、砂糖のみ。化学調味料や保存料は不使用で、常温保存では製造から17時間しかもちませんが、おいしさと安全を優先しています。
そして干帆立貝柱の戻し汁と身をあんに入れることにより「冷めてもおいしいシウマイ」が完成。

シウマイ原料 ©Kiyoken Co.,Ltd.

そして1954年シウマイ弁当誕生。
今では当たり前のお手拭き、そして「真空パック」という言葉も崎陽軒から始まりました。


蒸気で炊く絶妙な硬さの俵形のご飯。最後にとっておいてゆっくり味わうあんず。
工場見学に行った際、製造過程を見せていただいて感銘を受けたのが、切り昆布と千切り生姜を一人の方が詰めていたこと。右手のお箸で昆布を、左手で生姜を。量りを使わず手の感覚でリズミカルに作業されていました。

シウマイ弁当中身 ©Kiyoken Co.,Ltd.

定番の「昔ながらのシウマイ」を含めた10種類以上のシウマイが通年で販売されています。


パッケージ共々好きなのが、粗挽きの干帆立貝柱ギッシリの「特製シウマイ」。
この特製シウマイは「贈答品としてのシウマイを」というお客様の声から生まれたもの。従来の味に愛着を持ってくださるお客様の期待を裏切らぬようレシピは大きく変えず、食べ応えのある大粒にしたという。


そして崎陽軒といえば、ひょうたん型のしょう油入れ「ひょうちゃん」。
1955年に、漫画家・横山隆一先生が「目鼻をつけてあげよう」とたくさんの表情を描いてくださったことから誕生したのがひょうちゃん。


工場見学に参加すると歴代のひょうちゃんに出会えます。


横浜と共に歩んできた崎陽軒。JR横浜線開業110周年、八景島シーパラダイス、京急などとのコラボひょうちゃんも。


忘れられないのが、滋賀の「海洋堂フィギュアミュージアム」で見た、横浜開港150周年記念公式フィギュア。たねまるとひょうちゃんが見つめ合ってる!という愛らしさ。


崎陽軒本店で発見した「崎陽軒ミニチュアコレクション」。


お弁当を包んでいる歴代の「掛け紙」も時代と共に変化。
龍が抱く水晶の中にある街並みも、最新版にはランドマークやインターコンチネンタル、コスモワールドなど横浜の街並みが描かれています。


崎陽軒を貫くのは、自社製品への愛情と誠意。
セールも開催せず、そのものに見合った正当な価格である「定価」への誠意を表明。

関東大震災に見舞われた時には、復興のため、駅頭では牛丼やカレーライスを販売して非常時の旅客供食に努めたという崎陽軒。
鉄道と深い関係を築いてきた崎陽軒は、現在でも有事の際はお弁当をお届けする、など鉄道会社と提携を組んでいます。

昭和29年 東横ホーム売店 ©Kiyoken Co.,Ltd.

また、横浜市内の小中学校の行事でもお弁当の注文が多く入るそう。素晴らしいのがキャンセルポリシー。神奈川県内(一部東京都内)にお届けの場合、雨天で行事が中止になった時には、当日早朝までキャンセルを受け付けてくれるそうです。


いいな、と思うものを辿っていくと製販一貫の体制をとっている会社の製品であることが多い。自社の製品を愛情と誠意を持って販売できるのはその会社の人であり、目に見えないものは商品に乗っかり、確実にお客に伝わります。


夜通ると未来な港北インター近くにある崎陽軒横浜工場。


崎陽軒ビルの地下からポルタに抜けるところに、昔の食堂の雰囲気をたたえた「崎陽軒 中華食堂」があります。


シウマイ弁当買って電車に飛び乗りたい。行き先決めずに。そんな気持ちにさせてくれる崎陽軒の「シウマイ」です。


<崎陽軒>
松屋銀座地下1階

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