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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.10

ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。 (本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)
プロフィール
Lulu.
2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。

「Made in Tokyo, Ome」。 誠実な<Hotman(ホットマン)>のタオル

こんにちは。 今回は、「1秒タオル」で有名な<Hotman(ホットマン)>のタオルをご紹介します。

<Hotman(ホットマン)>松屋銀座店

その魅力をより深く知るため、青梅の工場にお邪魔してきました。


「1秒タオル」とは、その吸水性の良さから名付けられたもの。
1cm角のタオル生地を水に浮かべ、沈み始める時間を測定する沈降法というJISのテストがあり、一般的なタオルの基準が60秒以内であるところ、<Hotman(ホットマン)>のタオルは1秒以内に沈み始めます。
<Hotman(ホットマン)>のタオルがいかに吸水性に優れているかが分かります。

青いタオルの破片が水に浮かべると直ぐに沈み始めました。

一般的なタオルは生産段階で、やわらかくするために柔軟剤が使用されており、これが吸水性を落とす要因になっています。新しいタオルは水を吸わない、と言われる所以。
<Hotman(ホットマン)>のタオルには柔軟剤が一切使用されていません。なので吸水性を高めるための吸収剤なども添加する必要がなく、結果、安心・安全なタオルが生まれます。


製造から販売までを一貫して行う「製販一貫」を実現した<Hotman(ホットマン)>。全工程に責任を持つという意識が貫かれています。


<Hotman(ホットマン)>の創業は明治元年(1868年)。かつて青梅は、青梅縞と呼ばれる織物や夜具地という布団の生地の産地であり、<Hotman(ホットマン)>も絹織物製造からスタートしましたが、戦後のライフスタイルの変化から昭和38年(1963年)、タオルの製造に転じます。

通産省の管理下にあった織機を東京青梅に120台導入し、このうち30台を<Hotman(ホットマン)>(当時:梅花紡織株式会社)が引き受けタオル製造を始めました。

航空機メーカーであったドイツ・ドルニエ社の織機。

昭和47年(1972年)、六本木に直営店「タオルファッション <Hotman(ホットマン)>」をオープン。バスタオルが500円だった時代に2000円のバスタオルを販売し、人気を博します。ここに「製販一貫」が実現。


ものを買う時、私は「この人から買いたい」かどうかを重要視していて。最終引き渡し段階での体験がそのままその商品に乗っかってくるから。クチュールメゾンだろうが、露店だろうがそこに引っ掛かりがあるといただかない。
「製販一貫」の意味がここにある。自社で作ったものを誠意を持って説明できるのは自社の人間。

【整経】デザインに応じて経糸(たていと)を大きな筒に巻きつけて整えていきます。


糸がスーッと引き込まれる様が美しい。

<Hotman(ホットマン)>にはもう一つ、染色・プリント工程を担当する川越工場があります。
青梅ー川越間を1日2便トラックで生地を運ぶという輸送コストをかけてまで使用する水を秩父山系の水にこだわるのは、染色の前処理で綿の不純物を徹底的に落とす工程に最適な硬度の水があるから。

チーズのような形に巻いた糸を圧縮して体積を小さくしてから染色することにより、水や染料などを節約できるという。

良い原料を使い、手間をかけてつくられたタオルの価格は安くない。しかも柔軟剤を使用していないので、購入する段階では手に取ると他ブランドのタオルより硬い感じが否めない。
なぜ高いのか、なぜ硬いのか、何が他社と違うのか。そこをきちんと説明できるのは、やはり製品に誇りを持つ自社の人だと思う。

【サイジング】糸の強度を増すため、綿糸に糊をつける作業のこと。


液状の糊をかけて熱で乾かしていきます。

フォントがポップで、綿埃が雪のようで〜とってもクリスマスだった「モイスチャー モニター」。

糊の付いた糸をほぐす過程がまた美しかった。

途中で切れた糸がないか、人の目で最終確認されていました。

【織布】タオルのパイルになる経糸(たていと)と、緯糸(よこいと)を織り、タオル生地にしていきます。



川越工場で染色やプリントなど水を使用する工程を行い、青梅に戻ってきたタオルの【裁断】を用途に合わせてカットしていきます。

下から覗くとカッターの刃が見えます。

【縫製】裁断したタオル生地の耳(縁)を縫います。


【検品】一枚づつ丁寧に検品し、クリアしたものだけが商品となります。


【ピッキング】デジタルピッキングシステムで全国の直営店へ発送されます。

タオルの持つぬくもり、使う人を想いながら手を動かす作り手の情熱。それが<Hotman(ホットマン)>の名前の由来。

小さな扉を開くと螺旋階段。お客さんの手元に届くまでの時間をタオルたちがワクワクしながら待ってる感が伝わってきました。

松屋銀座7階にある<Hotman(ホットマン)>。美しいカラーパレットに思わず足を止めてしまいます。「1秒タオル」<Hotman(ホットマン)>カラーは18色。

「1秒タオル」は吸水力が高いので肌も髪もゴシゴシ擦る必要がなく嬉しい。

「1秒タオル」ラディアンは、最高グレードのアメリカンシーアイランドコットンを使用したなめらかな肌触りのタオル。

サイズも豊富ですし色々と迷ったりしますが、スタッフの方がニーズに合わせタオル選びをお手伝いして下さるので安心です。

タオルには珍しく、縁を三折額縁縫製しているのでスタイリッシュ。

愛らしいのが、コットンの妖精“マーシャ”。松屋銀座には2種類の限定マーシャがいます。
小脇にバッグを抱え時計を見ながら松屋銀座の前を歩いているのは新入社員のマーシャ。春、3月に7階のタオルコーナーを改装したのでこの図柄になったとか。

美しい光沢と発色のベロアハンカチ。私のバッグの中にはいつもマーシャがいます。

「いい人からしかいい物は生まれない」という創業者の言葉を体現している<Hotman(ホットマン)>。いい人とは、誠実な人のこと。
誠実ってなんだろう。自分の携わるものに誇りを持っていること、そしてその意識は自分を認め信頼しているという土壌ありきなんだろうな、と感じました。
東京・青梅に静かな情熱を湛えたタオル屋さんがありました。


<Hotman(ホットマン)>松屋銀座店
松屋銀座7階

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