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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.14

ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。 (本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)
プロフィール
Lulu.
2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。

「この地球で、唯一踏むことをゆるされた芸術品」〜ペルシアジャパンの絨毯〜

こんにちは。 織りに惹かれ、日本橋にある株式会社ペルシアジャパンのペルシャ絨毯専科ショールームへお邪魔しました。


1981年に日本初のペルシャ絨毯専門商社として設立された株式会社アオトスを前身とするペルシアジャパン。
常時約6,000枚の商品を有するこのショールームは魅惑の空間。


私がペルシアジャパンの絨毯に出会ったのは松屋銀座7階の絨毯売り場。
パッチリまつ毛がチャーミングなライオンと目が合って、連れて帰ろうか悩んでいた時、親身に絨毯の説明をして下さったのがとても嬉しかったんです。


スタッフの方から伝わってくるのは、扱っている絨毯に対する敬意と愛情。
その絨毯が辿ってきた道のり、織りの技巧、糸や染料の種類などの豊富な知識は勿論、お客さんの家まで運送会社を通さず、ご自身でお届けする等を聞き、ペルシャ絨毯を買うなら「この方から」という気持ちが膨らんできました。


ペルシャ絨毯とは、イランで織られている手織りの絨毯のこと。機械織りのものはペルシャ絨毯と呼びません。
素材はふたつ、ウール(羊毛)とシルク。ペルシアジャパンではこの天然素材以外は絨毯と認めていないそうです。


絨毯は踏むもの。だからしっかりとしたウールのものが8割以上を占め、歴史も古い。糸が細く繊細な光沢あるシルクは、靴を脱ぐ文化のある日本をはじめ、アジアに向けた商品が多いのだそう。

ピンクが愛らしい四季を表現した〈カシュマール〉のウール絨毯。


〈マシャド〉のヴィンテージ感漂うシルク絨毯。


マシャドの絨毯は、ヴィンテージ加工時に生地を痛めないよう天然のクルミ油を使用するそうです。トライバルな模様が愛らしい。


ギッチリと密度高く織られた〈ビジャー〉の絨毯。


普通の絨毯の2〜3倍はあるかと思われる厚み。アイアンカーペットと言われる所以。


惜しげもなく踏んで、セルフヴィンテージにしたい!と思わせてくれる一枚でした。


〈ケルマン〉ラバー村の絨毯は細かい花柄が特徴。


ペルシャ絨毯の5大産地といわれるのが、〈イスファハン〉、〈タブリーズ〉、〈カシャン〉、〈ナイン〉、〈クム〉。

キング オブ カーペットと呼び名の高いのが〈イスファハン〉の絨毯。
経糸に細い絹糸を使用しているので、緯糸のウールの密度が高くなり、図柄がパキッとクリアで繊細な色合いが美しい。


イラン北西部最大の絨毯産地〈タブリーズ〉の絨毯。繊細なグラデーションと色合いが美しかった。


〈カシャン〉


イスファハンの職人の指導をえて、絨毯業に切り換えという〈ナイン〉。ベージュっぽい淡い色味が特徴。


1930年代半ばにカシャンの人々の指導により絨毯作りに着手した〈クム〉。シルクの絨毯を多く生産している産地です。


なめらかな光沢のあるシルクのタッセル。


素朴で暖かみのあるウール。


素晴らしいのがバイイング。お客さんの好みを把握し、顔を思い浮かべながら買い付けします、と。これ一番大切なこと。
ペルシアジャパンはいつも驚きを持ってきてくれる。

美しさに叫んだのが〈サルーク〉の絨毯。色の混ざり具合とバランスが絶妙。サルークは、イラン中西部アラク地方で最高級絨毯を最初に織り始めたことで知られる産地。現在の〈サルーク〉はアラク地方で産出される絨毯の最高級品に付される名称となっているそうです。


フレームが途中で「自然」と混ざりあってる。この流れ、この構図!素晴らしい。


あるお客さんのお子さんが絨毯から離れない、というお話を伺いました。
いつもそこに座って遊んで、決して汚さないんだそう。
夏は涼しく、冬は暖かい。子どもは素直に肌感覚で感じるんでしょうね。そしてこれは大切にするものなんだ、と教えなくても分かるんですよね。

裏を見るといつも手を合わせたくなるノット数。気の遠くなるような手作業。隠し絵のように鳥が模様と一体化しているカワイさ。


高価なものなので一瞬怯んでしまいますが、その子が大切な絨毯と一緒に成長し、共に生きていくってとてもあたたかい。
私も父が35年以上前に海外で買ってきたシルクの絨毯を今も使っていますので…なんだか嬉しい気持ちに満たされました。

そして、今回の嬉しい驚きがこのクッション。
皇帝を現すライオンと太陽が描かれた帝政時代のイランの国旗がモチーフ。


インナークッションのボリュームによって、椅子クッションにも背もたれ用にも変化。今までペルシャ絨毯を使用したこんな商品なかったはず。椅子4脚に色違いで使いたい。


ショールームが入っている建物は、国の登録有形文化財に指定された「丸石ビル」の1F。

「この地球で、唯一踏むことをゆるされた芸術品」を愛でに是非。


ペルシアジャパンのショールームのご来店は予約制です。松屋銀座にお問い合わせください。


<ペルシアジャパン>松屋銀座店
松屋銀座7階

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