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ソムリエ郁子の365日ワインの旅 第7回 スペイン・リオハ篇

ワインの法律、歴史、造り手など、たくさんの知識は ワインの楽しみ方を広げますが、詳しくなくても問題なし。 ワインは、美味しい。 美味しいものは、人をしあわせにする。 このコラムでは、松屋銀座のワイン売場「グルマルシェ ヴァン」にて 日々、ワインの魅力をお客様にお伝えしつづける「ソムリエ郁子」が、 気軽に楽しめるワインのお話を、生産国ごとにお届けしていきます。
プロフィール
ソムリエ郁子(そむりえ いくこ)
ソムリエの資格を持つ、松屋銀座の和洋酒マネージャー。お酒を飲むと、グラス1杯でトリップできる能力あり。好きな食べ物はりんご。シードルやカルバドスも大好き。最近ハマっているのは、娘と地元の銭湯に行くこと。

伝統と革新。新たな可能性に満ちた、スペイン・リオハワイン。

お久しぶりです、ソムリエ郁子です!

今回はスペイン・リオハのワインをご紹介したいと思います。

 

 

郁子が考える、スペインワインの美味しさの理由は下記3点です。

①多様性

②ワイン造りの歴史の長さ

③多様性×歴史=掘り出しものが多い

 

 

①スペインは多様性に満ちた国!

スペインは17の州がありますが、州ごとに言語や文化が異なり、「同じ国なの?」と思うほど多様性に富んでいます。まるで小さな国の寄り合い所帯といった感じで、スペインの人々は自分たちの出身州やその伝統を大切にしています。

 

今回ご紹介するリオハは、スペイン北東部の山沿いの盆地に位置し、その大半は標高が高い地域です。スペインの原産地呼称では最上級の「特選原産地呼称」に認定されており、最も代表的な産地と言えます。

 

②スペインはワイン造りの伝統国!

スペインの地では、紀元前1,100年頃にはブドウの栽培がはじめられたと言われています。711年から1492年にかけてはイスラム王朝の支配下にありましたが、1479年にカスティージャ王国とアラゴン王国が合併し、スペインが誕生。その後、アフリカやインド洋、南米に植民地を建設したスペインは、「太陽の沈まぬ帝国」と称賛されるように。

 

19世紀後半、フィロキセラ禍により、新たなワイン生産地を求めて移住してきたフランス人から、スペイン・リオハにボルドーの醸造技術が伝えられると、ワイン造りが盛んになりました。

 

※ブドウ樹の根系に寄生して養分を吸い尽くしてしまう小さな害虫が大量発生。その結果フランス各地のブドウ畑は急速に衰退し、多くの樹が枯死という結末を迎えた。

 

その後、「無敵艦隊」がイギリス海軍に敗れ、次第に世界での勢力を失うと、政情不安からワイン造りも停滞気味になりますが、1975年にファン・カルロス一世が即位してからは、世界との貿易が活発化。繁栄の時期が再び訪れ、ワイン造りも盛んになり、今に至ります。

 

③スペインワインは掘り出し物が多い!

ブドウ栽培面積や生産量はヨーロッパ内でもトップクラスクラスという中で、スペインの各地域のボデガ(ワイナリー)は、伝統を最も大切にしながらも革新的な動きを見せるようになり、国際市場からもその多彩な個性と品質が大変高く評価されつつあります。

 

実は、ソムリエ郁子は、大のスペインワイン推し。

皆様についにその魅力をお伝えできることを、とても嬉しく思います!

スペインワインエキスパート・ワイン姉御、参上。

ソムリエ郁子:今回は、松屋のワイン売場「グルマルシェ ヴァン」のクルーきってのスペインワイン通で“ワイン姉御”と名高い、野宮ユミさんが初参加!スペイン・リオハのワインを試飲しつつ、その魅力について語ってもらいます。

 

野宮:はじめまして、“ワイン姉御”(笑)の野宮です!

 

ソムリエ郁子:野宮さんはスペインのバルセロナに長くお住まいだったんですよね。

 

野宮:はい。1991年から1996年、そして2006年から2009年まで住んでいました。

 

ソムリエ郁子:スペインは、どんな国でしたか。

 

野宮:とっても自由で楽しい国です。お腹に赤ちゃんがいた時、医師に注意すべきことを確認したところ、「フラメンコを踊ってもよし、ワインもOK」と言われてすごく驚きました。

 

ソムリエ郁子:日本とはかなり違いますね!

 

野宮:スペインではランチコースのドリンクとして水、ビール、ワインのどれかを選べること多くて。ワインを選ぶと、テーブルワインでしたが2人でボトル1本提供されるのです。「酒飲み天国だ!」といつも喜んでいました(笑)

 

ソムリエ郁子:野宮さんは、現在酒類関連だけでも5種類の資格をお持ちなんですよね。

 

野宮:スペインは国中にワイン産地があるので、各地のボデガを巡っていたのですが、そのうちにさらに興味が増して、ディプロマの取得などに向けて勉強をはじめたんです。

 

ソムリエ郁子:野宮さんがお客様にワインをお薦めする際、大切にしていることを教えていただけますか?

 

野宮:まず誠実であること。自分がテイスティングしてそのワインの良いところ、「推しポイント」を見つけてそれをお伝えしたいと思っています。ワインは飲料でありながら文学、音楽、絵画と並び得る文化的背景のある、人を感動させる要素のあるものですから、ワインの楽しさを知る一助となればいいなと思っています。

 

ソムリエ郁子:なるほど!

 

野宮:あとは私は必ず試飲をして、自らが納得したワインをお薦めするようにしています。もちろん、押しつけにはならないよう気を配っていますが、お客様の生活を彩る1本になるように、と常に考えています。お客様がその後またご来店になり、美味しかったよ、と声をかけてくださることが励みになっています。

 

ソムリエ郁子:野宮さんは大変勉強熱心で、現在も様々な勉強会に参加したり、試飲を行ったり、またその知識を仲間に伝えることも大切にしています。店頭クルーからも慕われていますよね。

 

野宮:ありがとうございます。

 

ソムリエ郁子:知識は自らのものだけではなく、伝えてこそ活きますものね。

 

野宮:そうですね。

 

ソムリエ郁子:そんな野宮さんには、今回は「グルマルシェ ヴァン」の若手クルーの津田さんと一緒に、スペイン・リオハのボデガ<ゴメス・クルサード>のワインを試飲し、感想を語りまくっていただきたいと思います。

 

野宮:昨年、このボデガのエクスポートマネージャーであるアマイア・サマニエゴさんが松屋にお越しの際にも、こちらのワインを試飲しつつ色々お話を伺っていて。今回は改めて3種類のワインを飲みながら、津田さんとその魅力についてたっぷり語り合いたいと思います!

スペイン・リオハでエレガントなワイン造りに勤しむ、<ゴメス・クルサード>。

野宮:ここからは私野宮と「グルマルシェ ヴァン」のクルー仲間の津田さんとで、<ゴメス・クルサード>のワインのテイスティングを行いたいと思います。

 

津田:よろしくお願いします!

 

〜今回のメンバー〜

 

野宮ユミ(左)「グルマルシェ ヴァン」にてワインの販売を担当。JSAワインエキスパート・エクセレンスやJSA SAKE DIPLOMAなどお酒に関する様々な資格を持つ、まさにお酒のプロフェッショナル。スペイン・バルセロナにて居住歴あり。

 

津田千秋(右)2018年入社。新米ワインエキスパート。お酒を飲むことが大好き。好きなブドウ品種はジンファンデル。濃厚な果実味と力強さが最高。

 

 

津田:今回はスペインの中でも、リオハのワインを試飲するということで。

 

野宮:思えばスペイン在住だった頃、ホームパーティーなどのお招きを受けた際は、必ずリオハのワインがサーヴされてたんですよね。

 

津田:ここぞという時に、選ばれるワインなのですね。今回の<ゴメス・クルサード>の魅力はどんなところにあるのでしょう?

 

野宮:まず、1886年創業で歴史はかなり古いボデガです。伝統を重んじていますが、味わいにはブルゴーニュ的なエレガントさがあります。進取の気性に富んでいる優れた造り手ですね。生産量が少ないので知名度はそこまであるわけではないのですが、大変レベルの高いワイン造りを行っています。

 

津田:スペインワインでありながら、ブルゴーニュ的なエレガントさ?

 

野宮:スペインワインの典型的なスタイルとは少し違うんですよね。昨年お会いしたアマイアさんいわく、「私たちはトラディショナル(伝統的)でありながら、決してクラシック(古典的)な造り手とは言えません。クラシックであるには熟成期間が求められますが、私たちは熟成期間がワインの品質を決めるものではないと考えていますから」とのこと。リオハのワインはボルドースタイルのものが多い中、ブルゴーニュのように単一畑やヴィラージュでブドウを育ているほか、この地域では珍しい「エッグセメント」というタンクも導入していたりと、とても面白い造り手ですね。

 

津田:歴史がありつつ、先進的でもあるんですね。

 

野宮:2017年からはすべての自社畑でビオロジックに取り組んでいるそうです。また、一般的なリオハのブドウ畑の風景といえば、谷底盆地に広がるフラットな畑になりますが、<ゴメス・クルサード>の畑は、標高650~700mに位置するオリャウリ村にあり、時に傾斜が50度以上にもなる急勾配の土地でブドウが栽培されています。

 

津田:一般的なリオハのボデガより、過酷な土地で。

 

野宮:醸造長のダビド・ゴンザレスさんいわく「フレッシュネス、フルーティーさ、ティピシティ(産地の個性)、歴史へのリスペクトと誠実さ。これが私の大切にしていること」だそうで、まさにこの発言の通りに、ワインを生産されていると言えますね。

 

ゴールデンイエローの輝きを放つ、リオハの白をテイスティング。

野宮:今回試飲するのは、白ワイン1本、赤ワイン2本の計3本。早速いただきましょう!

 

野宮・津田:乾杯!

 

 

野宮:1本目は、ビウラ、テンプラニーリョブランコ、ガルナッチャブランカという3品種からなる白ワイン「ブランコ」です。

 

津田:すごい好きな味です。

 

野宮:とっても厚みがありますよね。黄色いフルーツ系の香りに、白いお花とベルベーヌなんかのハーブ系の香りが少し。そこにミネラルのニュアンスも溶け込んでいて。ちょっと石灰みたいな感じとか。

 

津田:お味はいかがですか?

 

野宮:すごい柔らかいテクスチャーですよね。香りに感じたような黄色い果物系の果実味がしっかりと感じられて、その後まるみのある酸がしなやかにすーっと伸びていって。ちょっとヨードみたいなミネラル感も感じつつ、余韻を苦味が締めくくるような・・・。

 

津田:ああ、苦味、分かります。

 

野宮:それがすごく心地よい余韻になって・・・。アルコール度数は13度ですが、飲みごたえがしっかりあって、充実感がありますね。

 

 

津田:色も好きです。

 

野宮:輝きと透明感のある、濃いめのゴールデンイエローですね。成熟したブドウから造られていることがよく分かります。

 

津田:ああ、美味しい・・・。チーズと一緒に飲みたいです。

 

 

野宮:スペインのケソ・マンチェゴ、イディアサヴァル、オッソー・イラティなど、羊乳のチーズが合うと思います。前菜系だと、揚げじゃがいもにピリ辛のトマトソースをちょこっとかけたスペインのおつまみ「パタタスブラバス」や、「ボケロネス」というイワシの酢漬けを乗せたピンチョスなどとも合うんじゃないかなと。

 

津田:お料理だったらどうですか?

 

野宮:「カラマレス・エン・ス・ティンタ」っていう、イカの墨煮とよく合うと思います。

 

津田:美味しそう!

 

野宮:ストラクチャーがしっかりしてるワインなので、「バカラオ・アル・ピルピル」っていう、塩鱈をちょっと塩抜きして、オリーブオイル、にんにくと煮たものとか・・・。あとは、「サルピコン・デ・マリスコス」っていう、色々細かく切った野菜や魚介類で作るサラダと合わせてもいいんじゃないかなって。

 

※ワインの成り立ちや体格、骨格のこと。

 

津田:和食に合わせるなら、どんなものがいいでしょう?

 

野宮:中華になっちゃうんですけど、シュウマイなどの点心系と合わせたらどうかなって。

 

津田:いいですね!中華のタレにも負けない感じがありますよね。このワイン、酸もしっかりありますよね?

 

野宮:酸の量自体はしっかりあるけど、まろやかですね。だから、シャープな酸が苦手な方にも飲みやすいと思います。

体感!スペインの赤ワイン品種の代名詞、テンプラニーリョの重厚感。

野宮:2本目はテンプラニーリョ、ガルナッチャ、グラシアーノからなる赤ワイン「オノラブレ」。

 

津田:色がすごく濃いですね。

 

野宮:中心に黒みが見えていて、全体的にオレンジみを帯びたダークチェリーレッド。かなり熟成が進んでいますね。

 

 

津田:いただきます・・・うわあ!

 

野宮:けっこうタンニン、ガシガシですね。

 

津田:度数は・・・15度。

 

野宮:見てこの粘性、すごいよ。

 

津田:ほんとだー!

 

野宮:涙がすごい。これはもうアルコール度数が高いって言うのが見ただけで分かる。

 

※グラスに入れたワインを傾けた際、グラス側面にとろりと滴り落ちるしずくのこと。

 

津田:全然たれてこないですもんね。

 

 

野宮:香りにもすごいボリューム感が・・・かなり開いてますね。黒系果実を煮詰めたような凝縮した香りと、そこに甘草やシナモンといったスパイス系の香りが溶け込んでいて、ちょっと木の根っこみたいな香りも・・・。

 

津田:あとは乾いたお肉とか・・・?

 

野宮:うんうん。あとちょっとカカオみたいな香りとか。

 

津田:お花もありますか?

 

 

野宮:ドライフラワー系ですね。スミレとか。そこに樽からのロースト香やスパイスなどが溶け合い発展しているので、しっかり熟成しているなと。でもこれ、今が飲み頃だと思います。いろんな香りがどんどん出てきて、開いてきて。

 

津田:今がちょうど飲み頃!

 

野宮:若いワインだと香りがシンプルなんですよね。フルーツ系の香りに若干の花とスパイスといったかんじで。だけどこうやっていろんな香りがどんどん出てくるっていうのが、熟成が進んだワインの楽しさなので。

 

津田:なるほど。

 

野宮:やっぱりもとのブドウがいいから、これだけ熟成できて香りが出るということなので、いかにポテンシャルを秘めたいいブドウを使うかが大事になってきますね。<ゴメス・クルサード>は、いいワインを造りたいという情熱がある、品質をすごく重視したボデガではないかと思います。

 

津田:そうですね。

 

野宮:口に含むと最初にフルーツの甘みがしっかり感じられ、その後にすごくきめ細かに溶け込んだ豊かなタンニンを感じますよね。

 

津田:上品な、くどくない甘さですね。

 

野宮:きめ細やかな酸とタンニンが、このワインをしっかり下支えをしているから、甘ったるくないのかも。このワインで使用されている、スペインの代表的な品種の一つテンプラニーリョは、酸とタンニンがしっかりした品種なので、樽を丁寧にかけることによって、エレガントに仕上げることができる。リオハでは伝統的に、アメリカンオークをしっかり使って熟成させて、強いタンニンを少し和らげて飲みやすくするという方法をとっていますが、<ゴメス・グルサード>は、フレンチオークも取り入れながらエレガントに仕上げているという印象です。

 

津田:このワインをお料理に合わせるとしたら?

 

野宮:リオハは羊の産地なのでラムチョップとかいいかもしれないですね。あとはソーセージでも有名なのでチョリソーとか。レンズ豆もよく食べるので、「レンテハス・コン・チョリソー」っていうレンズ豆とチョリソーの煮込みなんかと合わせてもいいと思います。

 

津田:合いそう!

 

野宮:和食だと、角煮とか?あとは甘みがけっこうしっかりあるので、デミグラスソースのハンバーグとか照り焼き系かな。焼き鳥のタレのものでもいいし、ちょっと甘辛い感じのもの・・・例えば甘辛いソースで食べる豚カツなんかと合わせるのもありかも。

 

津田:いいですね!

 

野宮:あとはさっきお話ししたスペインのチーズ、イディアサヴァルやオッソー・イラティに、ブラックチェリーのジャムをつけて一緒に飲んだら、すごく美味しいと思います。羊乳のチーズってちょっと甘みがあるんですよね。

ガルナッチャのイメージを覆す、とことんエレガントな赤ワイン。

野宮:3本目は私が大好きな、ガルナッチャ100%の赤ワイン「パンクルード」です。

 

津田:2本目より、紫っぽいですね。

 

野宮:明るめのダークチェリーレッドと言っていいですね。

 

津田:いかがでしょう?

 

野宮:(香りを嗅いで)わー・・・フラワリー!

 

津田:“フラワリー”!

 

 

野宮:ザクロやクランベリーなどの赤系のフレッシュフルーツをクラッシュしたような、とってもクランチーな香りが。ガルナッチャってレッドチェリー系の香りが強いイメージがありますが、これは一般的なものよりもみずみずしいですね。透明感に溢れているというか。

 

津田:たしかに!

 

野宮:あとはカトレアのような、赤い、大輪のお花の香りが。

 

津田:ファーって広がる感じがしますね。

 

野宮:<ゴメス・クルサード>は標高650mというワイン産地としては高い土地でブドウ栽培をされているだけあって、出来上がったワインに綺麗な酸が保たれている印象があります。標高が高い土地は、昼は日の光がたっぷり降り注がれ、夜はしっかり冷えるので、日較差があって、酸を保つには最適なんですよね。

 

津田:なるほど!

 

野宮:口に含んだ時にも、やっぱりザクロやクランベリーのみずみずしい果実感がしっかり表現されていて。中盤から余韻まで、きめ細やかな綺麗な酸がずっと支配し、このワインを下支えしていて、それがエレガントさにつながっているなって。

 

津田:とってもエレガントです!

 

野宮:タンニンのきめは細かいですが、まだ少し収れん性を感じるので発展中という印象です。先ほど飲んだ2本目はタンニンがしっかりあったんですけど、こちらはシルキーなタンニン。

 

津田:なめらかですね。

 

野宮:ガルナッチャという品種は糖度が上がりやく、ともすると “フルーツ爆弾”みたいな、甘やかなワインに仕上がりがちなので、このワインを初めて飲んだ時は衝撃を受けました。ガルナッチャでこんなに美しいワインが造れるのかって!

 

津田:生産者のこだわりのなせる技ですね。

 

野宮:やっぱり標高が高いのと、いいブドウを使っているというのが大きいと思います。綺麗なみずみずしい酸がしっかりあることで、ノーブルさを演出できていて。

 

津田:ほんと、ここまで綺麗でエレガントなガルナッチャは貴重だと思います。

 

野宮:ブルゴーニュワインがお好きな方にも、おすすめしたくなりますね。

 

津田:こちらはどんなお料理に合わせましょう?

 

野宮:スペイン料理だと、「ポジョ・アル・チリンドロン」っていう、いろんな色の野菜と鶏肉をトマトソースで煮込んだ料理とかいいかなと。ちなみに「チリンドロン」はスペイン語で「トランプ遊び」という意味。あとは牛肉をトマトソースで煮込んだ「ロパ・ビエハ」。これはスペイン語では「古着」という意味で、牛肉の繊維が裂けた様子を、ボロボロの服になぞらえた料理なんです。

 

津田:面白いですね!

 

野宮:日本料理だと、鰻の蒲焼きとかいいかなって。

 

津田:それなら、お寿司の穴子とかも?

 

野宮:いいと思う!あと、ローストビーフにバルサミコを煮つめたソースをかけたものなんかと合わせてもいいかなって。でも、すごく綺麗なワインなので、これだけで飲んでも十分楽しいですよね。

 

津田:たしかに!

 

野宮:ドライフルーツをかじりながらとか。食後に羊乳のチーズ、ケソ・マンチェゴに、カリンの砂糖漬け、メンブリージョを乗せて食べたりしながらとか。

 

津田:・・・あれ?なんだか果実の香りがしてきました。

 

野宮:味もだんだん変わってきて、すごい甘くなってきましたね。

 

津田:お花というよりも、だんだんフルーツに・・・。

 

野宮:おそらく温度が上がってきたからかな。温度を低めにするとエレガントさが出てくるんだけど、温度が上がるにつれてどんどん香りが開いてきて華やかになってくるんですよね。

 

津田:寄り添ってくれる感じがすごいです。本当に美味しい!

 

きっと見つかる、お一人おひとりのお好みに合ったリオハワイン。

野宮:3本のリオハワインをテイスティングしてみて、どうでしたか?

 

津田:私は3本目の「パンクルード」が推しのワインになりました。お味自体がすごいエレガントかつガルナッチャ特有の果実感がしっかり出ていたので、そこまでワインが得意じゃない方にも楽しんでいただけると思います。何か特別な機会に開けて、盛大に飲んでいただくのにいいのかなと。

 

野宮:白ワイン「ブランコ」もあの価格帯であのしっかりとした果実味というのはなかなかないと思いますし、2本目の「オノラブレ」もフルボディの凝縮感のある味わいだったので、コスパがすごくいいなと。3本目の「パンクルード」は、ブルゴーニュワインの価格が高騰している昨今、品種は異なりますけれど、エレガントで果実味溢れるワインをお探しの方にぜひおすすめしたいですね。

 

津田:3本とも違った特徴があるので、お客様がお求めのタイプに沿ってご案内できるといいですよね。

 

野宮:そうですね。私はワイン選びってプロファイリングだと思っているんです。お客様が普段どんなワインを美味しいと感じ、どんな料理がお好きで、どんなものに合わせたいのかなど。何かしらの情報があれば、長年の経験に基づいて、できるだけお客様のご希望に寄り添ったワインをお選びできるので、ご来店の際はぜひそういったことを教えていただけるといいなって。

 

津田:ワイン選びって、少しハードルが高く感じられがちだったりもしますよね。

 

野宮:でもそういう皆様のために私ども売場クルーがいますので、ね? ワインのことが全くお分かりにならなくても大丈夫ですよって、「グルマルシェ ヴァン」のクルーはみんな思っていますよね。

 

津田:そうですね。私もお客様との会話を通じて、今回ご紹介したスペインワインをはじめ、お一人おひとりにおすすめのワインを誠心誠意ご案内させていただきたいと思っています。

 

野宮:ワインについて詳しくないという方も、「グルマルシェ ヴァン」にお越しいただき、ぜひお気軽に私たち売場クルーに話しかけていただけたらと思います!

スペインワインの光と影、リオハの新時代に思いを馳せて。

ソムリエ郁子:野宮さん、津田さん、ありがとうございました!

 

ワインは国民性が表れると言われますが、スペインワインも、スペインらしい味だなぁと思う郁子です。

一言で表すと「伝統と革新」。スペインには、陽気で明るい国民性というイメージがありますが、その通りでとても美味しいワインを造り出します。

 

ただ、明るい光の中に、少し陰りを含んでいるのがスペインワイン。

世界の覇者であった栄光の時代と、その後の長い内戦や軍事政権の暗い時代。

その両方を経験してきたスペインで造られるワインには、ほかのどの国のワインにもない、

「夕日」のような雰囲気がそこはかとなく感じられ、郁子は大変心動かされております。

 

単に美味しいだけでなく、複雑さや深みを兼ね備えているのが、スペインワインの一つの特徴と言えるでしょう。

 

また、スペインには、地域ごとに育まれてきた文化があり、皆が誇りを持ってそれらを大切にしているところなど、日本との共通項も意外とありますね。

 

さらには、名だたる造り手が健在である中、若い造り手も国際的な評価を得はじめていて、今回取り上げたリオハのワインを取り巻く状況は、今、とても面白いことになっています。

 

長いワイン造りの伝統がある銘醸地でありつつ、たくさんの新たな可能性に満ちた国、スペインから、今後も目が離せそうにありません。

ソムリエ郁子イチオシのスペイン・リオハワイン
飲みごたえも、余韻もしっかり。まろやかな酸が魅力の白ワイン。

<ゴメス・クルサード>

ブランコ(白/750ml) 3,300円

 

洋梨や黄色いリンゴのコンフィチュールのようなしっかりとした果実味に、ハーブのニュアンス。貝殻のようなミネラルがアクセントになり、まるみのある酸が余韻をまとめる飲みごたえのある白ワイン。ビウラ70%、テンプラニーリョブランコ25%、ガルナッチャブランカ5%。ステンレスタンク内で16度をキープしながら、自生酵母のみで発酵。

タンニンと多彩な香り、豊かな果実味を存分に堪能できる1本。

<ゴメス・クルサード>

オノラブレ(赤/750ml) 7,150円

 

ブラックチェリー、黒いプラムなどの完熟したアロマに、シナモン、キニーネといったスパイス、カカオなどが溶け込んだ芳醇な香り。豊かな果実味に、しっかりした酸とタンニンが肉厚な印象のフルボディの赤ワイン。テンプラニーリョ、ガルナッチャ、グラシアーノ(配分は非公開)。

ブルゴーニュワインを好まれる方にもおすすめ、洗練されたガルナッチャ。

<ゴメス・クルサード>

パンクルード(赤/750ml) 9,900円

 

ザクロやクランベリーの赤系果実にボタンなどの花、シナモン、ナツメグをはじめとするスパイスの香りが合わさった華やかなアロマ。みずみずしい果実味に伸びやかな酸、やや収れん性を残したタンニンが長い余韻を造る、ノーブルな赤ワイン。ガルナッチャ100%。ワイン専門誌にて、50本の中からソムリエが選ぶガルナッチャのトップ3にランクイン。

バックナンバー

ソムリエ郁子とのワインの旅(フランス篇)の思い出はこちらから。

ソムリエ郁子とのワインの旅(イタリア篇)の思い出はこちらから。

ソムリエ郁子とのワインの旅(日本篇)の思い出はこちらから。

ソムリエ郁子とのワインの旅(チリ篇)の思い出はこちらから。

ソムリエ郁子とのワインの旅(アメリカ篇)の思い出はこちらから。

ソムリエ郁子とのワインの旅(フランス・ブルゴーニュ篇)の思い出はこちらから。

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※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

※車・バイクなどでご来店・お帰りの方、20歳未満の方へのアルコールのご提供は固くお断りいたします。

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