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ソムリエ郁子の365日ワインの旅 第2回 イタリア篇

ワインの法律、歴史、造り手など、たくさんの知識は ワインの楽しみ方を広げますが、詳しくなくても問題なし。 ワインは、美味しい。 美味しいものは、人をしあわせにする。 このコラムでは、松屋銀座のワイン売場「グルマルシェ ヴァン」にて 日々、ワインの魅力をお客様にお伝えしつづける「ソムリエ郁子」が、 気軽に楽しめるワインのお話を、生産国ごとにお届けしていきます。
プロフィール
ソムリエ郁子(そむりえ いくこ)
ソムリエの資格を持つ、松屋銀座の和洋酒バイヤー。お酒を飲むと、グラス1杯でトリップできる能力あり。好きな食べ物はりんご。シードルやカルバドスも大好き。最近ハマっているのは、娘と地元の銭湯に行くこと。

掘り出しワインに出合える国、イタリア。

イタリアでは、造り手の個性や信念を反映した「自由なワイン造り」が主流のため、多様性に富んだワインが数多く生産されています。

日本でもよく知られるトスカーナやシチリアなどの生産地のほかにも、アブルッツォやプーリアといった、ユニークかつコストパフォーマンスの良いワインで有名な地域もあり、未知なるワインとの出合いが楽しめる国といえるでしょう。

今回は、創業110余年の銀座の老舗和菓子店・清月堂本店に伺い、かねてより親交のある4代目社長・水原康晴さんと、ソムリエ郁子おすすめのイタリアワインを飲みながら、色々なお話をしていきたいと思います。

 

ソムリエ郁子×清月堂本店 水原社長 スペシャル対談 「イタリアワインで乾杯!」

ソムリエ郁子 清月堂さんには長年、松屋銀座にご出店いただいておりまして。また、水原さんには、松屋でワインをご購入いただく機会も多く、いつもありがとうございます。

 

水原社長 弊社の記録を辿ると、関東大震災で本店が焼失して間もない頃、松屋さんの前で焼きいもの販売から商売を再スタートしたという記載がありまして。遠い昔のことではありますが、感謝の気持ちを持っています。僕自身が清月堂に入社して以降は、松屋さんの歴代の和菓子担当の方々といいかたちでコミュニケーションを取らせていただいていて。

 

ソムリエ郁子 清月堂さんとは、非常に長いお付き合いをさせていただいているということで、大変光栄でございます。今回は食通でいらっしゃる水原さんと、2本のイタリアワインを飲み比べながら、楽しくお話ができたらと思っています。

イタリアの白ワインの聖地から届いた、銅色に輝く1本。

ソムリエ郁子 水原さんは白ワインがお好きということでしたので、1本目は、スロベニアとオーストリアの国境沿いに位置する「イタリアの白ワインの聖地」と言われる地域、フリウーリ・ヴェネツィア・ジュリアのワインを選ばせていただきました。〈シモン・ディ・ブラッツァン〉という造り手によるピノ グリージョです。イタリアの白ワインもいくつか種類があるんですが、こちらは色を見ていただくと、少し濃いめと言いますか。

 

水原社長 そうですね。

 

ソムリエ郁子 イタリアではこれを「銅の色」という意味の「ラマート」と表現するそうです。それでは・・・。

 

水原社長&ソムリエ郁子 乾杯!

 

 

ソムリエ郁子 ・・・いかがでしょうか?

 

水原社長 最初と最後にちょっと独特の酸味と・・・ほんのりと苦みもありますね。イタリアワインというのは、もう少し薄味なんじゃないかと想像していたんですけど、わりとしっかりしてますよね。

 

ソムリエ郁子 もともとトラディショナルなワインがお好みとお聞きしていましたので、あえて違ったタイプのものをということでも、こちらをご紹介しました。水原さんは常に新しいことにチャレンジしようというお考えをお持ちでいらっしゃるので、有名な地域というよりは、イタリアでもちょっと山間の、どちらかというと個性的な地域で生まれたワイン特有の面白さが分かっていただけるかなと思いまして。

ワインと和菓子は「お友だち」になり得る?

ソムリエ郁子 以前、ウイスキーブームが起こるよりも前に、水原さんが銀座でウイスキーと羊羹のペアリングイベントをされていたのもとても印象的でした。水原さんは、ワインも同様に、和菓子のお友だちになり得るとお考えでしょうか?

 

水原社長 僕はなれると思っています。例えば、干し羊羹なんかは白ワインにぴったりなんじゃないかなと。

 

ソムリエ郁子 干し羊羹ですか!

 

水原社長 ずっと研究開発してたんですよ。ワインとお菓子のマリアージュを。なぜ干し羊羹かというと、うちの練り羊羹が少し柔らかめなんですよね。それにお酒を合わせると、ちょっと弱いというか。でも干し羊羹なら、外側も乾いているので。

 

ソムリエ郁子 シャリシャリとした感じもでて。

 

水原社長 そうなんです。内側にも水分が残っているので、レーズンみたいな感じになると思って。

 

ソムリエ郁子 凝縮感が出るわけですね!

 

水原社長 あとは最中なんかも、白ワインと合うかもなと。少し小さめのサイズになってるといいなと思いますが。

 

ソムリエ郁子 なるほど!大きさも、食感とも関係してまいりますね。おやつとしてというより、お酒のおつまみとしてお召し上がりいただけるようなかたちで。

ミディアムボディの赤とマリアージュするとしたら。

ソムリエ郁子 続いて、白ワインと同じ造り手による赤ワイン、メルロをご紹介します。赤はあまり得意ではないとお伺いしていましたので、オーガニックのものをご用意しました。先ほどの白もですが、こちらのワイナリーはオーガニックの認証も取っていますので、安心して召し上がっていただけるのではないかと思いまして。

 

水原社長 ありがとうございます。では・・・。

 

水原社長&ソムリエ郁子 乾杯!

 

 

ソムリエ郁子 ・・・いかがですか?

 

水原社長 そうですね・・・。僕にはやっぱり、ちょっと強いかもしれないですね。

 

ソムリエ郁子 あ、ちょっと強かったですか・・・!

 

水原社長 でも、これに合わせるなら、お豆腐なんていかがでしょう。

 

ソムリエ郁子 お豆腐ですと、オリーブオイルと岩塩なんかをほんの少し足していただけるとより良いかもしれません。でもどちらかというと、白やスパークリングですともっと合うんですけれども。

 

水原社長 なるほど。

 

ソムリエ郁子 ミディアムボディの赤ですと、すき焼きとか、醤油で甘辛く煮たものですとか、いわゆる和風のお料理に寄り添うんですよね。これがもうちょっとフルボディに寄ってくると、しっかりとした味つけの、洋風のお料理の方がより合うのですが。

 

水原社長 和菓子と合わせるなら、赤はやっぱり後口も余韻があるので、きんつばをカットしたものなんていいんじゃないかと。きんつばって、さらっとしてるものもあるんですけど、わりとあんこがしっかりしているものもあって。

 

ソムリエ郁子 たしかに、そのように小さくしますと、食感がとても良さそうですね。赤ワインと言えばチーズ、みたいな固定概念を持ちがちですが、きんつばであれば、しかも小さくカットしてあれば、非常に寄り添うと言いますか。私も、大変勉強になりました!

ブドウと小豆、それぞれのテロワール。

ソムリエ郁子 今回ご紹介したワインの生産地というのが、寒くて、風が吹きつけてきて、みたいな地域で。住むにはかなり厳しいんですが、そういう環境で育まれたブドウには養分が行き渡り、とても美味しいと言われています。小豆についてはいかがですか?

 

水原社長 小豆も産地によって気候も土も違うので、出来上がるものも違いますね。

 

ソムリエ郁子 やはりそうなのですね。小豆が土から養分を吸い上げて、しっかり実になって、和菓子になりますのと同じで、ブドウもそこの土地にしかない成分を吸い上げて、実になり、ワインになっていきまして。

 

水原社長 そうですよね。

 

 

ソムリエ郁子 例えば今回のワインですと、フリウーリ・ヴェネツィア・ジュリアならではの味わいがグラスの中にぎゅぎゅっと閉じ込められているので、ひと口飲んだだけで、イタリアの寒い山岳地帯の雰囲気みたいなものが感じられるように思います。なんというか、まるで、グラス一杯で旅をしたかのような。

 

水原社長 なるほど!

 

ソムリエ郁子 それがワインの楽しみ方のひとつかなと。一方で、和菓子は、既に日本の良さがその世界観の中に凝縮されているので、また違った楽しみ方があるのかなって。

 

水原社長 そうですね。みんな同じ、こしあん、粒あん、なんですけど、やっぱりそれぞれのお店の特徴があって。あとは水も違いますから、そういうところで微妙な違いが生まれて。それをまた、自分達の誇りにしたりというか。

 

人と人をつなぐ、ワインと和菓子。

ソムリエ郁子 水原さんは和菓子がご専門で、私はワインなんですけれども、どちらも嗜好品で。

 

水原社長 そうですね。僕は、ワインは食事をより一層美味しくいただくためにあるのだと考えていて。ともに食卓を囲むメンバー、空間、時間というのがすごく大事なので、お酒というのは、それをみんなで楽しむためにある、と。

 

ソムリエ郁子 仲間で集まったりする時に、その場を楽しむツールとして、ワインもお菓子も取り入れていけたらいいですよね。

 

水原社長 ワインはまた、食事の場で飲むと、初対面の人でも距離が近くなったりしますよね。

 

ソムリエ郁子 アルコールが入ることで、少しお話もしやすくなったり。

 

水原社長 お菓子もやっぱり、食べるとみんな、にっこりしたり(笑)

 

ソムリエ郁子 そうですね(笑)

 

水原社長 それで会話が弾んだり。そういうところは、ほんとに一緒だなと思います。

 

ソムリエ郁子 今日は本当に、新しい発見がたくさんありました。このように共通点も多いワインと和菓子には、やはり、マリアージュの可能性も感じます。

 

水原社長 以前、「銀座はちみつ」で羊羹を開発しましたが、あの時のように、まずは期間限定で何か新しいものを販売させていただけたらいいですね。色々な組み合わせを考えながら、新しいお菓子を作ることができたら面白いだろうなって。そういうものがあると、お客様にももっと日常を楽しんでいただけるんじゃないかなと。

 

ソムリエ郁子 いいですね!お酒のおともの商品開発が実現する日を、ぜひ、心待ちにしております。

プロフィール  水原康晴さん(みずはら・やすはる さん)

1965年生まれ。大学卒業後、商社を経て清月堂本店に入社。珈琲と甘いものが大好きで和菓子、洋菓子、チョコレートをちょこちょこ食べます。体を動かすことも好きで、低山ハイキングをしたりゴルフに行ったりします。ワインを飲むと気分もよくなり、歌ったり踊ったりします。

 

ソムリエ郁子いちおしのイタリアワイン
1本目にご紹介した白ワイン。

 

〈シモン・ディ・ブラッツァン〉ピノ グリージョ(白/750ml) 4,400円

辛口。典型的なラマート※の色合い。味わいは心地よい酸味とミネラル感、微かなほろ苦さが魅力。鶏の唐揚げや焼き鳥などにぴったり。

※「ラマート」はイタリア語で「銅色」の意味。ピノ グリージョの果皮由来の淡いブロンズ色の色調を指し、フリウーリ・ヴェネツィア・ジュリアの白ワインによく見られます。ユーロリーフ(ECオーガニック認証)取得。

2本目の赤ワインはこちら。

 

〈シモン・ディ・ブラッツァン〉メルロ(赤/750ml) 5,060円

ミディアムボディ。色合いは深みのあるルビーレッドで、プルーンやブラックベリー主体の濃縮した果実味に、心地よいスパイシーさ。豚ロースとマリネした野菜や、豚肉の生姜焼きなどに合います。ユーロリーフ取得。

そのほかにおすすめの、白ワイン。

 

〈シモン・ディ・ブラッツァン〉マルヴァジア(白/750ml) 4,400円

辛口。金のエッジを持つ麦わら色。非常に繊細な花の香り。味わいには様々なフルーツ、スパイスのニュアンスが。モッツァレラチーズのカプレーゼなどとお楽しみください。ユーロリーフ取得。

〈清月堂本店〉の和菓子もどうぞ

〈清月堂本店〉おとし文8個入り 1,664円

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〈清月堂本店〉あいさつ最中10個入り 2,592円

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〈清月堂本店〉銀座銘菓詰合せ16個入り 3,694円

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次回は、皆様を「日本」のワインの旅へとお連れします。どうぞ、お楽しみに!

バックナンバー

ソムリエ郁子とのワインの旅の思い出はこちらから。

※表示価格はすべて税込です。

※写真はイメージを含みます。

 

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

※車・バイクでご来店・お帰りの方、未成年の方へのアルコール提供は固くお断りします。

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