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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.12

ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。 (本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)
ISSEY MIYAKE 2025年春夏コレクション「The Beauty of Paper」

こんにちは。 今回は、ISSEY MIYAKE 2025年春夏コレクション「The Beauty of Paper」をご紹介します。
2024年9月27日、パリ花公園(Parc floral de Paris)にあるパビリオンにて開催された2025年春夏コレクション。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Olivier Baco

今回のコレクションは、和紙を中心とした紙に纏わる素材に注目し、紙を触った際に感じる心地良さとは何からもたらされるのか、という感覚を探り直し、衣服に落とし込んでいます。
コレクション会場に設置されたスツールも、ISSEY MIYAKEのプリーツを加工する際の副産物である薄い紙の塊を再利用したものでした。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Olivier Baco

〈麻紙衣(ASA KAMIKO)※参考商品〉
コレクションのコンセプトを伝えるために制作された麻の細かい繊維でできた麻紙(まし)による紙衣(かみこ)。
古来より日本人の生活に根付いた和紙の歴史と、和紙づくりの伝統を継続する意思が込められています。
実際に手に取ると、軽くてあたたかな手触り、強くしなやかなエネルギーが伝わってきました。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

阿波和紙の伝統文化を守り継承し、革新し続けている徳島の「アワガミファクトリー」との協働。
古代の職能集団であった阿波忌部が浮かぶ。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

「三宅一生」の篆刻が和紙を中心とした紙に纏わるコレクションの世界観を体現していました。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Olivier Baco

〈EAU(水)※2月展開予定〉
水そのものを一枚の布で表現した布帛シリーズ。内側で部分的に留めることで流れるようなドレープが生まれ、自由にかたちを変える水の美しさを纏うことができます。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

水のゆらぎと輝きが感じられる透き通る柔らかい布は驚くほど滑らかで軽く、身体を入れた時の陰影が美しかった。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

〈Fold to Form(AMPLE)※3月展開予定〉
箱や折り紙のように一枚の布に折り目を入れて立体化させる発想に基づいたシリーズ。和紙の糸とレーヨン・シルクの糸を交互に織り合わせているので軽く、美しいシルエットはそのままに程よく身体になじみます。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

〈HEMPEN ※3月展開予定〉
日本では古来から神事において大切にされ、また人々の生活を支えてきた大麻(おおあさ・ヘンプ)。その繊維を100%使用し、畳むことで平面に収まる布帛シリーズ。
さらりと軽い着心地。その軽さの中に強いフィルターのような存在が感じられ、清められるような感覚を覚えた。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

〈CLOTH AND CORD ※4月展開予定〉
一枚の布と綿紐という二つの要素だけでつくる、原始的なムードを湛えたシリーズ。布地を寄せて綿紐で留めることで生まれたドレープは素朴で力強くしなやか。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

見た途端「大国主!」と叫んだ、神話の時代を彷彿とさせる裾が素敵だったパンツ。そして和も洋も、どちらのムードにも寄り添ってくれるサンダル。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

〈PRESSED FLORA ※3月展開予定〉
紙から押し花を連想したというシリーズには、春に咲く芍薬、ラナンキュラス、アスパラの葉が静かに咲き誇っていました。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

生花を押し花にする過程で生じる色味と表情の変化をそのままプリントし、プレス加工を施すことで偶然にシワが生まれ、素材と花の繊細さが際立つ儚げなシリーズです。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

ヘッドピース(参考商品)にも美しい花たちの存在がありました。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnt

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

〈PAPER BAG ※3月展開予定〉
和紙の糸を使用し、素材をプレスして成形した紙袋のようなバッグ。軽くて丈夫な「紙袋」は、ルックのように花を買いに行く時に使いたい。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

大きいサイズのものは、クラッチのように折りたたんで持っても素敵。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Frédérique Dumoulin-Bonnet

第二次世界大戦後、GHQ指導のもと大麻の生産が厳しく制限され、亜麻(リネン)や苧麻 (ラミー)なども輸入に頼るようになりました。和紙も洋紙に押されるように。 楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、麻、桑、竹などを原料に作られる和紙。天皇の代替わりの神事「大嘗祭」の麁服(あらたえ)や、神社の注連縄などに用いられる大麻。

ISSEY MIYAKE 2025年春夏コレクション「The Beauty of Paper」は、日本人が大切にしてきたものを憶い出させてくれたコレクションでした。

©2024 ISSEY MIYAKE INC. Photography: Olivier Baco

ISSEY MIYAKE 松屋銀座店
松屋銀座4階
TEL:03(3564)6233〈直通〉

プロフィール
Lulu.
2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。

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