松屋のサステナビリティについて

サステナビリティ方針

当社グループは、「顧客第一主義」「共存共栄」「人間尊重」「堅実経営」「創意工夫」という経営方針のもと、グループの強みを活かしながら、地域の一員として社会課題に取り組むことで、企業価値の向上と持続的な社会の実現への貢献を目指します。

サステナビリティ委員会

サステナビリティ(持続可能性)を巡る世界の動きが加速する中、当社グループが直面する環境課題や社会課題等と、これらの今後の変化に対する方針や目標を策定し、事業活動を通じて持続的な成長と、サステナブルな社会の実現に貢献することを目指して、サステナビリティ委員会を設置いたしました。

※2010年3月から環境問題の審議等を行っておりました環境委員会の活動は、サステナビリティ委員会が引き継ぎ、取り組みを推進してまいります。

設置日 2022年3月
委員長 社長
委員 取締役(社外取締役を除く)、執行役員、各店店長、本店副店長(店舗運営担当)、グループ監査室長
事務局 経営企画部
目的 サステナビリティを重視した事業活動を通じて、長期的な企業価値の向上と持続的な社会の実現への貢献を推進すること
活動 当社グループの事業活動を通じた環境課題・社会課題に対する方針や目標の策定
サステナビリティに関する重要な事項を適切に監督するための体制の構築
目標に対する進捗管理、適時適切な情報開示等

環境方針

百貨店を核とする当社グループは「生活文化創造集団」という経営理念に基づき、地球環境にやさしい持続可能な21世紀のライフスタイルを実現する企業グループを目指します。

    1.グループ各社の様々な事業活動を通じ、地球温暖化防止と環境負荷軽減に積極的に取り組みます。

    2.地域社会の一員として環境保全活動に積極的に参加し、あらゆる機会を通じてその大切さを訴えます。

    3.すべての店舗、事業所における省エネ化に取り組みます。

    4.廃棄物の削減・リサイクル・省資源に取り組みます。

    5.環境に配慮した商品・サービスの提案を行います。

    6.教育・啓発を通じて一人ひとりの環境保全に対する意識の向上を図り、日常生活においても自ら取り組む姿勢を強化します。また、グループとしてもこれを応援します。

    7.環境に関する法令、条例等を遵守します。また必要に応じ、自主基準を定め遵守します。

    8.この環境方針は、グループ各社で働くすべての人に周知徹底するとともに、社外にも公開します。

    2010年3月制定

人権方針

松屋グループは、自らが定める「企業行動基準」、「企業行動指針」および「サステナビリティ方針」に基づき、「人権方針」(以下「本方針」という。)を定め、松屋グループの全ての事業活動において人権尊重の責任を果たすことを約束します。

  • 1.適用範囲
  • 本方針は、松屋グループの全ての役員および従業員に適用します。また、お取引先を含む全てのビジネスパートナーやその他関係者に対しても、本方針への理解と支持をいただけるよう、継続的に働きかけます。

  • 2.国際規範の支持・尊重
  • 私たちは、「国際人権章典(世界人権宣言・国際人権規約)」、国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」および国連「ビジネスと人権に関する国際指導原則」をはじめとする人権に関する国際規範を支持し、人権を尊重します。
    私たちは、事業活動を行う国・地域の法令を遵守します。万一、各国・地域の法令やその執行によって国際的に認められた人権が適切に保護されていない場合には、国際的に認められた人権を可能な限り最大限尊重する方法を追求します。また、人権擁護者に対する脅威、脅迫、攻撃を容認しない、またはそれに加担しないことを約束します。

  • 3.人権デューディリジェンス
  • 私たちは、「ビジネスと人権に関する国際指導原則」に従って、自らの事業活動が関係する実際の、または潜在的な人権への負の影響を特定し、その防止と軽減を図るために、人権デューディリジェンスを実施します。

  • 4.事業活動に関わる人権課題
  • (1)多様性の尊重、差別・ハラスメントの禁止
    私たちは、多様な個人が有する背景やアイデンティティを尊重し、出生、人種、民族、国籍、年齢、思想、信条、宗教、性別、性的指向、社会的身分、障がいの有無、健康上の問題その他を理由とする差別や、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントその他の就労環境を害する各種ハラスメント行為など、個人の名誉と尊厳を傷つける一切の行為を禁止します。
     
    (2)公正な労働条件の確保、労働環境の整備
    私たちは、法律に依拠した適正な賃金の支払いと労働時間の管理を含めた健全な労働条件を確保するとともに、安全で衛生的かつ健康的な労働環境を提供します。

    (3)労働基本権の尊重、強制労働・児童労働の禁止
    私たちは、結社の自由や労働者の団体交渉権など労働基本権を尊重し、強制労働や児童労働など人権の侵害にあたる労働慣行を禁止します。

  • 5.是正・救済
  • 私たちは、松屋グループまたはサプライヤーを含むビジネスパートナーが人権侵害を引き起こし、または助長していることが明らかになった場合、適切なプロセスでその是正と救済に取り組みます。

  • 6.教育・研修
  • 私たちは、松屋グループに本方針を浸透させ、事業活動において遵守されるよう、全ての役員および従業員に対して適切な教育・研修を行います。

  • 7.対話・協議
  • 私たちは、実際の、または潜在的な人権への負の影響に関する対応について、関連するステークホルダーとの対話と協議を行い、人権尊重の取組みの向上と改善に務めます。

  • 8.情報開示
  • 私たちは、松屋グループのウェブサイト等のコミュニケーション手段を通じて、本方針の浸透に向けた進捗状況や人権尊重の促進に向けた取組みを開示します。

    2024年7月制定

調達方針

松屋グループは百貨店を核に、企業理念である「生活文化創造集団」の実現に向け、お客様に安心・安全な商品、サービスを提供してまいります。そのためには、透明で自由な競争に基づく、公平・公正な取引を基本とした責任ある調達を行うことが重要と考えます。松屋グループはお取引先との信頼関係に基づく、良好なパートナーシップを築くと共にサプライチェーン全体での持続可能な調達に取り組みます。

  • 1.適用範囲
  • 松屋グループの全ての役員および従業員に適用します。また、お取引先を含む全てのビジネスパートナーやその他関係者に対しても、本方針への理解と支持をいただけるよう、継続的に働きかけます。

  • 2.公正な取引
  • 独占禁止法などの各種法令や社会規範を遵守し、透明で自由な競争に基づく、公平・公正な取引関係を築き、合理的な判断の基に行動します。また、政治や行政との健全かつ正常な関係を保ちます。

  • 3.法令遵守
  • 適用されるあらゆる現地法令、関連する国際ルール、社会規範を尊重し、遵守します。

  • 4.人権への配慮
  • 松屋グループの「人権方針」に基づき、サプライチェーン全体で人権に配慮した活動や調達を行い、社会的責任を果たします。
    以下の6つの項目を重点的に推進します。
    ①多様性の尊重
    ②差別・ハラスメントの禁止
    ③公正な労働条件の確保
    ④労働環境の整備
    ⑤労働基本権の尊重
    ⑥強制労働・児童労働の禁止

  • 5.環境への配慮
  • 環境に関する法令、条例等を遵守し、松屋グループの「環境方針」に基づき、気候変動や資源循環、自然資本などに配慮した調達をサプライチェーン全体で推進し、持続可能な社会の実現に努めます。

  • 6.地域への貢献
  • 地域の一員として社会的課題に取り組み、持続的な社会の実現に貢献することを目指します。事業活動を通じた地域の活性化や、社会貢献活動の普及・促進を進めていきます。

  • 7.品質管理
  • 品質管理体制に基づき、安心・安全な商品、サービスの提供を目指して、常に品質向上に努めます。

  • 8.情報の管理
  • 取引上入手した機密情報および個人情報を漏洩しないよう適切に保護・管理します。また、事業活動内容、商品、サービスの品質、安全性に関する必要な情報については、適時・適切に開示します。

  • 9.知的財産権の保護
  • 知的財産権を保有する権利者の権利を尊重し、また第三者の権利を侵害するような取引は行いません。

  • 10.反社会的勢力との関係の断絶
  • 市民生活や企業活動の秩序および安全に脅威を与える反社会的勢力および団体と関わりを持ちません。反社会的勢力および団体への対応を徹底します。

  • 11.その他
  • 事業活動が国外に及ぶ際には、現地における社会事情を理解し、その文化や習慣に十分配慮します。

    2024年9月制定

TCFD提言に沿った情報開示

はじめに

「当社グループは、『顧客第一主義』『共存共栄』『人間尊重』『堅実経営』『創意工夫』という経営方針のもと、グループの強みを活かしながら、地域の一員として社会課題に取り組むことで、企業価値の向上と持続的な社会の実現への貢献を目指す」ことを当社グループのサステナビリティ方針として定めました。

当社は2023年1月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同しました。TCFD提言の開示推奨項目に沿って、継続的に開示内容の充実を図ってまいります。

TCFDとは

TCFDは、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)の要請を受けた金融安定理事会(FSB)により設置されました。TCFDは2017年6月に最終報告書(TCFD提言)を公表し、気候変動が企業の財務に与える影響について「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目での情報開示の枠組みを示し、開示を推奨しています。

ガバナンス

<経営に関する重要な事項として適切に監督するための体制>

当社グループは、気候変動問題を含むサステナビリティに関する重要な事項を審議するため2022年3月にサステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティ委員会は、内容の重要性に鑑み必要に応じて、審議内容を取締役会に報告し、取締役会は、経営に関する重要事項を決定するとともに、業務執行の監督を行います。

<経営者の役割>

サステナビリティ委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、委員は取締役(社外取締役を除く)、執行役員等により構成されます。委員長および委員は、サステナビリティに関する計画の立案、目標の設定や進捗管理等に関する審議を行います。また、サステナビリティ委員会には担当執行役員を置いております。担当執行役員は委員会の活動を中心となって推進いたします。

戦略

<気候変動によるリスクと機会の特定における長期の考え方>

当社グループは、気候変動によるリスクと機会が、当社グループの事業活動に長期間にわたり影響を及ぼす可能性があることから、経営に関する重要な事項のひとつであると考えております。当社グループは、気候変動が当社にもたらす影響を想定することで、気候変動による重要なリスクと機会の特定を行っております。

<気候変動によるリスクと機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響>

当社グループは、気候変動が当社にもたらす影響を考察するため、長期的に気温が上昇した2つの世界を想定し、想定した世界における2030年時点の主なリスクと機会を特定しました。分析にあたっては、複数の既存シナリオ(※)を参照し、分析の対象は当社グループの主力である百貨店業としました。

(※)当社は、以下のシナリオを参照しております。

想定する世界 想定する主な影響
2℃未満 世界の平均気温の上昇を産業革命前から2℃未満に抑えることを達成する世界
(2015年に国際社会が「パリ協定」で合意した世界共通の長期目標)
・気候変動対応に向けた厳しい法規制
・温暖化抑止に向けて進む技術革新
・高まる消費者の環境意識
・環境への取組みが企業価値へ影響
4℃ 主に現行の政策・制度が継続することによって温室効果ガスの排出量が増加し、世界の平均気温が産業革命前に比べ、4℃前後上昇する世界 ・進展する温暖化
・甚大な被害をもたらす自然災害の多発
・自然災害等による顧客の来店機会、購買マインドの変化

<2℃未満の世界>
・IEA(国際エネルギー機関)発行のWEO(世界エネルギー展望)
 SDS(Sustainable Development Scenario)とNZE(Net Zero Emission by2050 Scenario)
・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の RCP(代表濃度経路シナリオ)8.5
<4℃の世界>
・IEA発行のWEO STEPS(The Stated Policies Scenario)
・IPCCのRCP2.6

特定したリスクと機会が当社グループの主力である百貨店業に与える影響は、以下のとおりであると考えております。なお、影響の大きさは矢印で定性的に示しております。
特定したリスクの低減に努め、機会を活かすことによって事業活動を通じた持続的な成長を目指していきます。

分類 特定した事項 影響度
2℃未満の世界 4℃の世界
リスク 移行リスク〔1〕 政策・法規制 ・炭素税の導入、温室効果ガス排出削減に向けたエネルギー調達等に伴うコストの増加
・法規制導入等による設備投資コストの増加、オペレーションコストの増加
市場 ・環境課題への対応等の遅れによる企業価値の毀損、信用失墜、顧客の離反に伴う売上の減少
・平均気温の上昇に伴う消費者の外出減、来店客の減少
・異常気象による商品価格の上昇に伴う顧客層の縮小、売上の減少
物理リスク〔2〕 ・大規模自然災害の発生に伴う店舗閉鎖、サプライチェーンへの影響等による、売上の減少
・自然災害の強度の増大による設備保全コストや、店舗被害・商品損害等の復元にかかるコストの増加
機会 エネルギー源 ・省エネルギー技術の普及に伴う電力使用量の減少によるコストの削減
商品・サービス ・環境配慮型消費への関心の高まりに対応した商品の販売・サービスの提案等による売上の拡大
市場 ・環境課題の解決に向けた事業活動を通じた、ステークホルダーからの評判向上による来店客の増加

〔1〕移行リスク:気候変動を緩和することを目的とした低炭素社会への移行に伴うリスク
〔2〕物理リスク:気候変動に伴う災害等により顕在化するリスク

<機会に基づく戦略・取組み>

1)脱炭素社会への貢献
当社は、省エネルギー活動と設備更新による電力使用量の削減や再生可能エネルギーの活用等による、温室効果ガス排出量の削減を推進し、脱炭素社会へ貢献をしてまいります。
※2022年度から当社の店舗や事務館の一部で再生可能エネルギーの活用を実施しております。

2)環境配慮への取組み
松屋銀座は、公益財団法人日本環境協会が制定するエコマーク「小売店舗」の認定基準を満たし、2022年3月25日に認定を受けました。エコマーク「小売店舗」認定基準は、環境に配慮した商品を幅広く揃え、店舗の運営における環境配慮や消費者が参加するエコ活動の見える化を実施する等、消費者と一体となって環境に配慮した活動を推進している店舗に付与されるものです。松屋銀座では、環境に配慮した商品の充実、地域社会の一員として環境保全活動に積極的に参加する等、あらゆる機会を通じてつくり手と共にその大切さを伝えていく取組みを、引き続き推進してまいります。

■エコマーク取得に関する詳細は、当社ウェブサイトにて開示しております。
詳細はこちらから

3)サステナブルな独自商品の開発
当社は2021年8月、鉱山を採掘することなく「研究所(ラボ)」で作られる、天然ダイヤモンドと同じ組成の合成石を使用したジュエリー(ラボグロウンダイヤモンド)の新ブランド「ENEY」を立ち上げております。引き続きサステナブルな商品・サービスの開発や販売に取り組んでまいります。

■「ENEY」の詳細は、当社ウェブサイトにて開示しております。
詳細はこちらから

4)地域共創プロジェクト
2020年4月からスタートした「松屋の地域共創プロジェクト」は、日本の各地で継承されている伝統工芸・産業・文化を、絶やすことなく新たな機会創出と発展へ繋げることを使命としております。地域の魅力、伝統に根ざした真摯なモノ作りとその背景を、店内装飾やショーウィンドウの演出に用いるだけではなく、インスタレーションで使用した装飾物を他社へ貸与することで、日本全国に本プロジェクトを普及、推進させ、本質的な持続、循環を目指しております。

■地域共創プロジェクトの詳細は、当社ウェブサイトにて開示しております。
詳細はこちらから

リスク管理

当社グループは、サステナビリティ委員会が中心となり、気候変動によって事業活動が受ける影響の把握と評価を、以下のプロセスに基づいて行っております。

【プロセス】
・気候変動に関する規制や事業への影響等の情報収集
・気候変動に関するリスクと機会の抽出
・抽出したリスクと機会の影響度を検討し、重要なリスクと機会を特定
・特定した重要なリスクと機会の影響度を評価

サステナビリティ委員会は、評価したリスクと機会を各部門・各グループ会社等に共有するとともにリスクの低減と機会の活用を推進します。
また、サステナビリティ委員会は内容の重要性に鑑み必要に応じて、審議した内容を取締役会に報告してまいります。

指標と目標

<リスクと機会の評価に用いる指標>

気候関連のリスクと機会を管理するため、主力である百貨店業のScope1、2の温室効果ガス排出量を指標として定めています。

<リスクと機会の管理に用いる目標>

2030年に2013年度比50%の温室効果ガス排出量の削減を目標に、具体的な取組みを進めております。
また、日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」の実現に貢献できるよう、2030年以降も温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。

【Scope1、2温室効果ガス排出量の実績と目標】単位:t-CO2

2013年度 2023年度 2030年度
Scope1 464 447 温室効果ガス削減目標
Scope1、2▲50%
(2013年度比)
Scope2 10,093 6,795
Scope1、2合計 10,557 7,242

※2021年度データより、フロン類の排出量を集計・開示の対象に含めています。2023年度フロン類の排出実績は、Scope1 447t-CO2のうち120t-CO2です。

【過去実績】単位:t-CO2

2014
年度
2015
年度
2016
年度
2017
年度
2018
年度
2019
年度
2020
年度
2021
年度
2022
年度
Scope1 464 503 463 455 449 469 325 395 421
Scope2 9,511 8,489 10,037 9,720 9,356 8,758 7,440 7,674 7,515
Scope1、2合計 9,975 8,992 10,500 10,175 9,805 9,227 7,765 8,069 7,936

※算定範囲は主力である百貨店業としております。
※Scope2はマーケット基準で算定しております。
※賃借等の理由により電気使用量を正確に把握することができない拠点の排出量は、概算で把握しております。