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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.37

プロフィール
森 百合子mori yuriko
北欧5ヶ国で取材を重ね、旅や暮らし、デザインの情報を中心に発信。著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに“ちょうどいい”旅の作り方』(ダイヤモンド・ビッグ社)ほか。執筆活動に加えて、NHK Eテレ『趣味どきっ!』、NHK 総合『世界はほしいモノにあふれてる』などメディア出演や講演を通じて北欧の魅力を伝えている。

時には、引いて見る

「人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇」とはチャップリンの名言。ロングショットとは、撮りたい物(被写体)から距離を取って、背景や全体像を捉える撮影のことです。少し離れて、引いて見る。部屋づくりでも、引いて見るって大事だなと思います。 家具でも食器でも、物を選ぶ時はクローズアップで見てしまうもの。この椅子、なんて素敵なフォルムだろう、このお皿はモチーフも色使いもいいなあ……と、しげしげと見つめて、持って触れて、裏返してみたりして。


旅先で撮った写真を見返していても、私の写真はクローズアップが多いのです。よいデザインの食器に素敵な扉、おいしそうな料理など、ぐぐっと寄って撮った写真が圧倒的に多い。もうちょっと背景を入れたり、引きで撮っておけば旅先の雰囲気もわかるのに~と、後から気づくのですけれどね。

「クローズアップの写真が多いなー」とはっきりと自覚したのは、インスタグラムが流行して、自分でも投稿するようになってから。対して、自分がいいなあと思うインテリアや部屋づくりをしている人の投稿を見ると、引きの写真が多いんですね。

昨年の夏に、デンマークのデザイナー、フィン・ユールの自邸を訪れた時のこと。日本では美しい椅子のデザインでよく知られるフィン・ユールですが、彼がデザインした椅子や家具が実際に部屋に置かれて、どのように暮らしのなかで使われていたかを見ることができたのは貴重な体験でした。なかでも印象的だったのが、隣の部屋が借景のように目に入ってくること。隣の部屋や窓の向こうまで見える、その連なりも含めて美しい空間だったんです。インテリアの達人とはこういうものか、と感激しました。


ヨーロッパでは、部屋づくりに大事なのは物選びだけでなく、物と物のすき間をどう考えるか、それこそが大事だと聞いたことがあります。言われてみるとたしかにフィン・ユール邸も、北欧の国々で見てきた友人宅もまさにそれです。ひとつひとつの物選びもさすがだけれど、配置が絶妙。きっとあれは、引きで見る目が身についているのでしょうね。

全体のバランスを引いて見て、考え抜かれた配置。……うーん、あの領域に達するにはセンスと鍛錬が必要なんだろうなあ……と若干あきらめもあったのですが、インスタグラム時代になって、バシバシと自分の部屋の写真を撮るようになって、あら不思議。引きの視点が少し身についてきました。



引いてみて、色や形を合わせる、似た形で並べる、ちょっと引き算する。新しい食器や花器など、物を選ぶ時も、どこに置こうか、何と一緒に使おうかと、引きの視点で考えると失敗が少なくなった気がします。


……とはいえ、やっぱり「この形が好き!」「この色がいい!」「可愛い」と!前のめりになって、引きで見ることなどすっかり忘れて即決してしまうこともあるんですけれどね。そうして、好きと引きの間をいったりきたりしつつ、鍛錬する日々なのであります。

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