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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.34

プロフィール
森 百合子mori yuriko
北欧5ヶ国で取材を重ね、旅や暮らし、デザインの情報を中心に発信。著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに“ちょうどいい”旅の作り方』(ダイヤモンド・ビッグ社)ほか。執筆活動に加えて、NHK Eテレ『趣味どきっ!』、NHK 総合『世界はほしいモノにあふれてる』などメディア出演や講演を通じて北欧の魅力を伝えている。

贈り物のキーワード

年の終わりが見えてくるこの季節、家族や大切な人への贈り物を考えるのは楽しい時間……であると同時に、悩ましくもありますよね。誰に何を贈ろう、似合わなかったら、じゃまになったらどうしようと考え出すとキリがないですし、予算もありますし。買いに行く時間があるかなあと、気も焦ります。悩ましいギフト選びのヒントとなるかはわかりませんが、今回はこれまで北欧でもらったプレゼントの思い出を綴ってみますね。

クリスマスイブをデンマークの友人の家で過ごした時のこと。北欧では25日まで待たずに、イブの夜にプレゼントを開けます。ツリーの下に置いてあるプレゼントには、誰から誰宛かが書いてあり、クリスマスディナーの後にひとつひとつ開けていくのです。


友人がわたしに選んでくれたのはスウェーデン製のビンテージのクリスマスプレート。スウェーデンでおなじみのクリスマスモチーフも描いてある可愛い柄なのですが、これを見ると、デンマーク式に手をつないでクリスマスツリーを囲んで、歌って踊った時間を思い出してゆかいな気持ちになります。あの時はシュナップスをだいぶ飲んで、みんなずいぶんと酔っ払っていたなあとか。ツリーに本物のキャンドルが灯されていて、うっかり倒して火事にならなくてよかったな……!とか。

友人の息子さんも一緒に過ごしたのですが、彼のガールフレンドのご両親から、わたしへのプレゼントもあったのには驚きました。日本から来た、まだ会ったことのないわたし達にまで用意してくれるとは……!自家製のはちみつをいただいてとても嬉しかったと同時に、北欧のクリスマスプレゼント文化はすごい!と唸り、日本から多めにプレゼントを持っていったつもりがお返し分には足りず、次回はもう少し余分に持っていくぞと決意したのでした。


デンマークの伝統的なクリスマスのデザートといえば、牛乳粥にチェリーソースをかけたもの。そのお粥の中にアーモンドを一粒入れて、それが当たった人はギフトがもらえる習わしもあります。クリスマスのメイン料理の鴨肉をたっぷりといただいて、もうすでにお腹はパンパンというのに、日本からやってきたわたしに当たりをひかせたい友人が、おかゆを大盛りに盛って、食べるそばからおかわりを入れてくるのがもうおかしいやら、食べるのが大変やらでみんなで大笑いしたのを覚えています。そして若干のやらせの結果ではありますが、小さなクリスマスの妖精人形をもらいました。

北欧では、クリスマスに本を贈る習慣もあります。12月のクリスマス前の時期にフィンランドやスウェーデン、ノルウェーを訪れた時には本屋のにぎわいに驚きました。絵本や装丁の美しいレシピ本、写真集などはギフトにもぴったりですよね。ギフト選びに迷ったら、本もいいな、と思うようになりました。


そして本屋同様に混雑していたのが、包装紙やラッピングアイテムの売り場です。北欧では自分でラッピングをする習慣があるんですよね。わたしもいまでは真似するようになりまして、包装紙とリボンの色を合わせたり、リボンを結んで先をくるくるする手作業がなかなか楽しい。小さな心ばかりの贈り物でも、自分でラッピングをすると、気持ちが込められる気がするんですよね。だからバタバタしがちな年末でも、ラッピングの時間だけは取れるように過ごしたいと心がけています。たまにクリスマスを越しちゃうこともあるんですけれどね……。


この鍋つかみは、クリスマスパーティで友人の家に集まってゲーム大会をした時に当たったもの。カードの絵合わせをする単純なゲームで、合った人からプレゼントを選べるのですが、たくさん並んだプレゼントはみなセカンドハンド(中古品)店で見つけたもの。不思議な置物や、友人いわく「もらっても苦笑するしかない昔の歌手のCDとか」もあって、見事そのCDをわたしは引き当てました。可愛い鍋つかみは、夫が引き当ててくれたのでした。


友人はもともと中古品からギフトを選ぶ達人なのですが、環境への意識が高まる昨今は、セカンドハンド店で贈り物を選ぶ人も増えているようです。北欧のセカンドハンド店は、おもちゃや絵本など子ども向けのコーナーも充実しているんですよね。

そんな友人自身が何をもらったかといえば、愛読している雑誌の1年分の購読チケットをプレゼントされて喜んでいました。そんなプレゼントの形もあるんだと当時は新鮮でしたが、コンサートや演劇のチケットにしたり、ギフト代わりにチャリティに寄付するなど、形のない贈り物も最近は増えているようですね。

さてわたしは北欧の友人へ何を贈るかといえば……「日本は、小さくて美しい物が多いよね!」とよく言われるので、箸置きや豆皿など、小さいものを選ぶことにしています。持っていったり、送るのにもいいですしね。可愛らしい柄のマスキングテープなども「日本っぽい!」と喜ばれます。


本、小さいもの、自分でラッピング。ギフト選びに迷ったら、ひとまずこのキーワードに立ち戻って考えます。無駄にならないといいなあと思いつつ、わが家を彩る歴代のクリスマスギフトを見ながら「なにかゆかいな気持ちになるものを贈りたい」と思うのです。

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