その他
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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.36

プロフィール
森 百合子mori yuriko
北欧5ヶ国で取材を重ね、旅や暮らし、デザインの情報を中心に発信。著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに“ちょうどいい”旅の作り方』(ダイヤモンド・ビッグ社)ほか。執筆活動に加えて、NHK Eテレ『趣味どきっ!』、NHK 総合『世界はほしいモノにあふれてる』などメディア出演や講演を通じて北欧の魅力を伝えている。

理想のお買いもの

最近、インターネットで買いものを済ませる機会が本当に増えたなあと思います。食品や文房具といった消耗品はもちろん、家電などの大物を実物を見ることなく買ってしまうことも。


私は服が好きなのですが、ふとワードローブを見回すと、ここにも通販で買ったものが増えている……! 体型が痩せっぽちで、体に合うサイズが見つけにくいこともあって、インターネット経由で自分好みのデザインを見つけて「あ、小さいサイズがある!」とわかると、つい前のめりになってしまいます。インスタグラムなどでおしゃれな人の着こなしを見ていても、いいなあ~と思った服にワンクリックでたどりつけてしまいますしね(ああ危険!)。

なんと便利な時代になったことかと思いますが、やっぱり直接お店に行って、悩んで選んで買った一着って特別なんですよね。写真で見ているだけだったらきっと選ばなかったけれど、試着してみたら思いのほか似合ったので即決しちゃった一枚とか。実物を見るまでは、あの色の方が似合うと思っていたけれど、試着したら断然こっちの色の方が顔映りがよかった、とか。そういう服は、結果的に長く着ています。

じつは北欧にもお気に入りのブティックがあります。スウェーデンのマルメという町にあるのですが、昨年、コロナ禍以来4年ぶりの北欧旅行でひさしぶりに寄ることができました。服のデザインが自分好みなのはもちろんですが、エコ素材を使っていたり、季節ごとに寄付やチャリティを行っていたりと応援したくなる要素が多くて、何よりお店のスタッフがとってもチャーミング。


もともと年に一度行けるかどうか、そんな頻度でしか訪れていませんが、こちらの顔を覚えていて、立ち寄るといつもにこやかに迎えてくれます。スタッフそれぞれの着こなしも素敵で、「なるほどこんな風に着てみたい」とおしゃれ意欲も高まります。気になる服を手にしているとデザインの違いや、私に似合う色をズバズバとアドバイスしてくれるのも心強く、彼女たちにあれこれと相談しながら試着して服を選ぶ時間も含めて、至福のひととき。ああ、私はこういう風に服を買いたかったんだと、ひさしぶりに訪れて思ったんです。


昨年、茨城の笠間で開催していた陶芸のお祭りで、使い勝手のいい器を見つけました。その時は大皿と小皿を買ったのですが、あまりにも気に入ったので、今度はもうちょっと深さのある器が欲しいな、カップもいいなと作家さんについて調べていたところ、一部の作品がネットでも買えると判明。思わずポチッと……しそうになったのですが、作家ものだし、やっぱり手にとって見てみたいと一旦冷静になりました。その後、東京でも展示販売している機会を見つけて、実際に見て気に入ったのがこのカップです。コーヒーにもいいし、スープなどを入れてもいい。北欧の食器と合わせて使ってもいい。釉薬の感じも好みで、このシンプルさがいい。これももし、写真で見るだけだったら選ばなかった形かもしれません。

本も、できるだけ実店舗で買いたい派です。あてどなく店内を見て回っているうちに、あ、この人の書くものが昔とっても好きだった! なんて思い出すこともある。表紙がいいのか、帯の惹句がよかったのか、導かれるように手にとってしまう本もあります。ネットでも「あなたにオススメ」とは出てきますが、ふっふっふ、閲覧記録や購買記録だけではこの本にはたどりつけまい……という本を、自分で見つけた時の嬉しさって格別です。


ここ数年、買うことや消費について考えることが多くなりました。なるべく買わずに、持たずに暮らすのがいい、それも一理ある気がしますが、でもやっぱり買いものって楽しい。

だからこれからは、買いものの質をあげていきたいなあと思っています。選ぶ商品のクオリティだけでなく、買いものという行為の質をあげたいな、と。直接お店を訪れて、手にとって、売り主さんと会話したりして、買う。もちろん忙しくてそうはしていられない、ということもあるだろうけれど、せめて服とか食器とか本とか、自分の好きな物を買う時こそ、そんな理想の買いものを増やせるといいな、と。新生活がはじまるこの時期、改めてそんなことを思っています。


最後にお知らせです。3月初旬に新刊が出ました!


『探しものは北欧で』森 百合子 著(だいわ文庫 刊)

今回は文庫本で、初めての旅のこと、北欧に興味をもったきっかけや惹かれ続ける理由、現地の人たちとの交流など、これまで過ごした旅の時間をまとめたエッセイです。おかげさまで早々に重版も決定しまして嬉しい限り!北欧に興味のある方はもちろん、どこかへ旅に行きたい!と思っている方にぜひ手にとっていただきたい一冊です。

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