その他
リビング・ホビー

京都府与謝野町×松屋銀座の地域共創

「松屋オリジナル丹後ちりめん風呂敷」
◆プレゼントキャンペーン 8月12日(土)・13日(日) お渡し場所:3階外国人顧客サービスカウンター内 ゲストラウンジ 期間中、松屋カード、松屋友の会カード、松屋ポイントカードをご利用の上、 税込30,000円以上(レシート合算可)お買い上げの先着200名様に、「松屋オリジナル丹後ちりめん風呂敷」をプレゼント。

◆ショーウィンドウ装飾 8月15日(火)まで 地下道ショーウィンドウ、1階正面口ショーウィンドウ 「松屋オリジナル丹後ちりめん風呂敷」と銀座みやげのコラボレーション装飾を期間限定で開催中です。

「銀座みやげ」はこちら
松屋の地域共創

日本各地で継承されている伝統工芸・産業・文化を、絶やすことなく新たな機会創出と発展へと繋げることを使命とし、2020年に発足したプロジェクトです。 これまで、数多くの地域の魅力、伝統に根ざした真摯なモノ作りとコラボレーションし、商品化や店内装飾演出を行ってきました 2021年には廃棄ロスの低減・地域とモノ作り双方のPRに貢献する機会として展示品の他社への有償貸与を、2022年からは展示品の商品化・地域ブランディングへと活動の幅を広げています。

詳しくはこちら

 

日本では古くから、「風呂敷で包み、贈る」という伝統的な手土産の文化があります。

今回の松屋銀座の地域共創では、京都府与謝野町の老舗織物会社が織る贅沢な丹後ちりめんを使用し、グラフィックデザイナー、佐藤卓氏が贈り物を渡すまでの気持ちをオノマトペの擬態や擬音、擬声語に乗せ、風呂敷をデザインしました。

 

ものづくりの背景の舞台となった与謝野町は京都府の北部、日本海側に面した丹後半島の尾根を背にし、日本三景の一つ、天橋立近くに位置する町。大江山連峰や野田川流域、山、川、海の自然に恵まれた肥沃な平野が広がり、お米や日本酒、近年ではビールの原料となるホップの栽培にも力を入れています。また、300年もの歴史を紡ぐ高級絹織物「丹後ちりめん」発祥の地でもあり、日本遺産の構成文化財の一つ「ちりめん街道」があることでも知られています。

左)京都府与謝郡与謝野町の大内峠一字観公園から眺める天橋立

右)町に広がる長閑な田園風景

 

今回のインタビューでは、豊かな自然に恵まれた与謝野町を、政治という視点から基盤を「デザイン」し再構築の歩みを続ける山添藤真町長にお話を伺い、町の産業の活性化への取り組み、そして松屋の地域共創について、「デザイン」というキーワードを軸に考察して行きます。

京都府与謝野町長、山添藤真氏

2014年の就任当初からまちづくりの基盤をデザイン=設計する理念を持ち、さまざまな政策に取り組んでいらっしゃいます。

幼少期から機織りが身近にある環境で育ち、町議会議員を経て2014年から現町長になられた山添藤真氏。

政治家になる以前の学生時代はフランス・パリで建築を学び、空間や環境、ランドスケープについて多くの刺激を得られたという経歴の持ち主です。

 

「幼少期は機織り工房によく遊びに行っては職人さんたちに相手をしてもらったり、ちりめんを織る機械からガシャ、ガシャと機織りの音が聞こえてくる、それが日常であり原風景でした。また叔父と叔母がフランス語の翻訳の仕事をしており、精通した人たちが常に身近にいるという環境で育ったこともあり、ごく自然にフランスへの興味を持つようになっていったと思います。」

 

左)与謝野町にある「ちりめん街道」の一角。

中)江戸時代から明治・大正・昭和初期にかけ、丹後ちりめんが隆盛を極めた場所。

歴史的建造物が並ぶ街並みは平成17年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、

与謝野町の観光名所として広く知られています。

右)与謝野町にある、ちりめんの機織り工房の一角。

小・中・高を地元で過ごした後、フランスの国立建築大学に入学。都市設計から住宅政策まで、幅広く建築を学ぶ中、滞在時にはル・コルビュジエの設計によるロンシャンの礼拝堂に感銘を受け、ランドスケープとして町の環境を捉える価値観を目の当たりにするなど、刺激ある日々を過ごしたと言います。そんな中、パリとブリュッセルで開催された丹後の文化や伝統工芸を紹介する「丹後展」に通訳として参加。海外から故郷を知るという貴重な経験が、政治の道を志す大きな契機となりました。 

 

「帰国後、かつての賑わいが減り、閉塞感が漂う故郷の町の現実を垣間見た時、自分が選挙を通じて、挑戦していくその姿をみせる。それがまず1歩だと思いました。また、まちづくりには「デザイン」という概念が必要だと感じていました。それは単に見た目のモノで言うデザインではなく、広義的に設計することを意味しています。町の基盤、土台となるものをデザインして枠組みを作り構築していくことで、与謝野町の産業の核である織物業や農業といったものづくりをさらに発展させていく。その産業を長きに渡って継続させて行くには当然教育や環境の整備も行う必要があります。町長になってから、全体像として産業・教育・環境の3つの要素が融合したまちづくりを推進することを念頭に、日々活動しています。」

 

2014年の就任当初から基盤を「デザイン」する概念を持ち、与謝野町の発展へ寄与する活動を行ってきた山添町長。ものづくりの視点から、取り組んでいる事についてもう少しお話を伺います。

 

「町の産業は、織物業はもちろんですが、米や日本酒、近年ではホップの栽培にも力を入れて取り組んでいます。今回の取材場所となったこのATARIYAも、料亭「富里家(あたりや)」として繁栄していましたが、時代の流れと共に営業継続が困難な状況となり惜しまれながら営業を終えられました。

ですが現在は、与謝野町の新しいプラットホームとして、地域の産業を発信、企業のワークショップの活動の場とするなど新たな一歩を踏み出しています。

我々ができることは、与謝野町の産業の魅力、ひとつひとつを分解して検証を繰り返しながら、何にフォーカスすれば市場の関心を引き寄せることができるか、また個々の事業者のみに頼らずに、必要に応じて行政の力を添えることで、町全体への最適化をはかり、良い循環と連鎖を作り上げることだと考えています。」



ATARIYA内観。
与謝野町の重要な産業、ちりめん織のサンプル展示や企業紹介のコーナー。

 

料亭だった時に使用されていた、

ばんじゅうと呼ばれる木製の箱に丹後の特産品などを展示したコーナー。



 

料亭だった時に使用されていた椅子をデッドストックのちりめん織で張り替え。

サステナブルな新しい椅子として再利用している。

ATARIYAオリジナルのスツールの座面も同じく丹後ちりめんの織地が使用されている。


今回、丹後ちりめんを通じ、初のコラボレーションとなった与謝野町。

松屋の地域共創について、山添町長はどんな印象をお持ちになられたのでしょうか。

 

高級感あふれる丹後ちりめん織を使用し、佐藤卓氏がグラフィックデザインした「オリジナルオノマトペ」風呂敷。

擬態、擬声語を用いたユニークな言葉のチョイスとグラフィカルなデザインが目を引きます。

 

「まずこのオノマトペという風呂敷のデザインのお話しを伺った時に、音を包む、というアイデアに非常に感銘を受けました。そして実際に見てみると、クリエイティブの力が加わることで、本来の丹後ちりめんが持つ魅力に加えて、デザイン性の高さも感じましたね。
行政として根幹の枠組みをデザインするという理念で活動を行ってきましたが、松屋の地域共創プロジェクトを通じ、より製品、モノとしてのデザインにアウトプットされる事は大変素晴らしいことだと思っています。また、松屋銀座さんを介して与謝野町の活動を多くの方に知っていただけるということも大変嬉しく思っています。」

 

淀みなく、真っ直ぐにお話ししてくださった山添町長。町で暮らす全ての人々に、活動の理念を浸透させて行くにはもう少し時間がかかるかも知れません。しかし、まちづくりの一歩は、まずご自身が町の将来を担うという重責への覚悟と勇気から全てが始まっています。

 

今回の取材で訪れた与謝野町の町役場の方々に、町を案内していただき、近年力を入れ取り組んでいるホップの栽培農地やクラフトビールの醸造所兼タップルームへお邪魔し、この土地で実際にものづくりをする人々にもお会いすることができました。

 

左)近年取り組みを強化している、ビールの原料となる与謝野町のホップ畑。

寒冷地を好むホップ栽培の生産地としては、与謝野町が日本国内の最南端にあたるといいます。

右)たわわに実ったホップは、同じく与謝野町発の「かけはしブルーイング」が製造・販売するクラフトビール<ASOBI>に使用。

 

与謝野町に移住してホップ栽培を行っている藤原ヒロユキ氏に採れたてのホップの香りを嗅がせていただきました。
(一社)日本ビアジャーナリスト協会の代表も務めており、ビールやホップに精通した作り手が与謝野町のものづくりを支えています。



与謝野町の駅前にオープンしたばかりのTANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSEにて、与謝野町のビール<ASOBI>をテイスティング。



若い作り手たちの熱意のこもった話に、与謝野町が地域一体となって未来へと向かう希望が感じられました。


役場の方々と町に暮らす人々の距離感はとても温かく、肥沃で豊かな自然を持つこの与謝野町に、少しずつ、未来へ向けての新しい芽吹きが生まれていることを実感。

私たち松屋銀座の地域共創も、地域の産業や作り手に眼差しを向け、デザインを添えることで新たな可能性を見出すことが根幹にあります。この活動が僅かでも力となり、与謝野町をはじめとする素晴らしい町や行政、作り手の皆さんと共に発展して行くことを改めて願う機会となりました。

今回インタビューさせていただいた山添藤真町長。

与謝野町 町議会議員を経て2014年より現職。

地域から、産業を発信し与謝野町の更なる発展へと日々尽力されています。

シェアする
TOPへ戻る ポイントWEBサービス
ログイン