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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.28
プロフィール
桜と北欧
北欧の友人たちに「日本でどこへ行きたい?」と尋ねると、「桜が見たい」「桜の季節にぜひ訪れたい」と返ってきます。日本は桜の国なんですね。
北欧でも桜のお花見を楽しめる場所があります。たとえばスウェーデンの首都ストックホルムにある王立公園は、桜の名所として知られています。フィンランドの首都ヘルシンキにはキルシッカ(桜)パークとよばれる公園があり、現地の日本人コミュニティによって植えられたという150本もの桜が楽しめます。開花の時期には日本文化を紹介するイベントも合わせて開催され、賑わいを見せるそう。アイスランドの首都レイキャビクにある市民の憩いの場、チョルトニン湖のほとりには日本から寄贈された桜が植えられているんですよ。こうして日本の桜やお花見文化が北欧でも親しまれているとは、嬉しいもの。

4月の下旬に訪れたノルウェーの首都オスロでは、道沿いで偶然見かけて「これ桜?」と思わず足を止めました。異国で満開の桜を見たのはこれが初めてのことだったかもしれません。北欧各国の桜の開花時期はおよそ4月末~5月にかけて。東京と比べると一ヶ月くらいの差があるでしょうか。
私はまだ北欧で本格的なお花見をしたことはないのですが、日本に暮らす北欧の友人たちとお花見をしたことがあります。3月下旬のまだまだ寒い時期でしたが、フィンランドやアイスランド、スウェーデン出身の友人たちが口を揃えて「この時期に集まるなら、ぜったい外でお花見がいいよ!」と言うのです。ビニールシートを広げて夜桜を楽しむなんて、いつぶりだったでしょうか。唐揚げだとかスナック菓子を持ち寄って、缶ビールでワイワイ集うのはとても日本らしく楽しいようで、友人のひとりは近くで宴会をしていた会社帰りのグループに気づけばまじって、一緒にお酒を飲んで、一本締めまでして、ビールをたくさんおすそわけしてもらっていました。これぞ異文化交流。日本と北欧をつなぐ桜のパワーを思い知りました。

さて今年2月に入ってすぐのこと、いただいた花束のなかに桜の枝が入っていました。散りぎわの桜もいいですが、季節に先駆けた桜もいいですよねえ。せっかくなので2~3枝を別にして、ガラスの花器にいけてみました。うっすらピンク色のガラスが桜によく合います。さらにピンク色のキャンドルホルダーや器で揃えてみたところ、春の先取りのようなコーナーになりました。寒い時期は温かみのある陶器の花器をよく使いますが、日に日に春を感じるこの時期になると、ガラスの花器を使いたくなります。

こちらはフィンランドのヴィンテージで、キルシッカと呼ばれる柄。キルシッカとは、フィンランド語でさくらんぼのことなんですね。蚤の市で見つけたこのカップ、本来は真っ赤なさくらんぼ柄のはずが、食洗機で激しく洗われたのでしょうか、色がだいぶ褪せています。最初に見た時はあまりの色褪せ具合に笑ってしまいましたが、こういうの嫌いじゃないんです。人の手を経たがゆえの、ワンアンドオンリーの味わい。褪せてピンク色になったせいか、これもまた春先に使いたくなる器です。
冬が長いからこそ、待ち遠しい季節だからこそ、前のめりで春の訪れを楽しむ北欧の人々。わが家でもそのペースが身についてきたのか、2月にもなるとソワソワしてきて春らしい色や雑貨に手が伸びるように。今年は桜とピンク色の器で、春の先取りです。
最後にひとつ、お知らせです。3月下旬に新刊が出ます!

『日本で楽しむ わたしの北欧365日』森 百合子 著(パイ インターナショナル刊)
今回ご紹介したような季節のコーディネートやルーティーン、愛用の品や簡単レシピ、季節行事にまつわる旅の思い出など、1日1ページ、北欧を楽しむ365日を写真とともに綴っています。北欧デザインと相性のいい、日本のあれこれも紹介しています。ぜひ手にとっていただけたら嬉しいです。
vol.27「ちょうどいいを探す」はこちら
松屋銀座にも桜の木がやってきます!