プロとして奥深いワイン選びをお手伝い。
お客様がもっとワクワクする売場へ
ワインエキスパート津田 千秋
食品部 食品二課 和洋酒・食品ギフト係 主任/アシスタントマネージャー。
2018年よりテーブルジョイ係として勤務し、2021年より和・洋酒売場を担当。プライベートでも、お酒をこよなく愛する。
自宅で楽しむ以外にも、プレゼントとして購入されることも多いワイン。種類や産地が豊富で味の好みも分かれるので、選ぶのが難しく感じる人も多いと思います。そんなワイン選びをプロの目線でお手伝いしているのが、「ワインエキスパート」の津田さんです。今回は、津田さんにワイン選びのポイントやコツを伺いました。
ワインエキスパートが教える、ワイン選びのポイントは?
――まずは、津田さんがお持ちの「ワインエキスパート」という資格について教えてください。ワインの資格というと、「ソムリエ」が有名ですが、ワインエキスパートとソムリエにはどんな違いがあるのでしょうか。
津田:ワインエキスパートとソムリエは、どちらも一般社団法人日本ソムリエ協会がワインの普及を目指して認定している資格です。ワインエキスパートは、ワインの知識を問う筆記試験とテイスティング試験があって、ソムリエはそれにプラスして論述とサービス実技があります。
ソムリエは、ワインに関係する職務を一定以上経験していないと受験できないのですが、ワインエキスパートはワイン愛好家が受験できるところが大きな違いです。ただ、教本自体は同じものを使っているので、試験の難易度はあまり変わらないと言われています。
――資格試験の勉強は大変でしたか?
津田:とても大変でした(笑)。でも、すでに資格をとっている先輩にアドバイスをもらったり、閉店後にみんなで一緒にテイスティングの勉強をしたりと、皆さんのおかげでなんとか合格できました。
――資格を取得しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
津田:どのお酒もそうですが、特にワインは本当に奥が深くて複雑で。売場で働くうちに、ワインについて何も知らないまま過ごしている時間がすごくもったいないなと思い始めたんです。
ソムリエの資格を持っている先輩は知識が深くて、食品とのマリアージュをすぐに提案できたり、ご自身の生活にも活かしたりしているので、接客のためとしてはもちろん、自分の教養のためにもとても良い勉強になるなと思いました。
――ワインエキスパートを取得されて、実際に接客の上で変化はありましたか?
津田:やっぱりワインエキスパートのバッジをつけていると、自信が持てますね。お客様からどう思われているかはわからないのですが、自信を持ってワインをおすすめできるようになったことは大きい変化だと思います。プライベートで、知人・友人がワインを選ぶ時に頼られるようになったことも嬉しいです。
――売場にもたくさんのワインが並んでいて、迷ってしまう方が多いと思います。選ぶ時のポイントをぜひ教えてください。
津田:ポイントは、産地ですね。ワインが作られた国や地方によって、味にかなり特徴が出るんです。フランスのボルドーやブルゴーニュは聞いたことのある方も多いと思います。有名な産地だけあって、エレガントでしっかりした味のワインが多いのが特徴です。
一方で、アメリカやオーストラリアは土壌がふくよかで日光がよく当たるので、ヨーロッパ産に比べて果実味が強く、香りも華やかで主張が強いワインが多いです。ですから、ディナーでしっとりと飲みたいならブルゴーニュ産、夏のバーベキューでわいわい飲むならアメリカ産にしようなど、シーンに合わせて選んでいただけたらと思います。
――価格については、何か目安はありますか?
津田:ご予算は人それぞれなので、一概には言えない部分があります。高価なワインはそれだけ熟成が進んでいて味に深みがあるのですが、例えば2,000円程度でもすごく美味しいワインはあるので、ご予算と合わせて売場のクルーに聞いていただくことをおすすめします。
ご予算に加えて、用途やどういう食べ物を合わせるのかなどを教えていただけたら、最適なワインをご紹介します。
お酒好きが高じてお酒旅が趣味に。酒蔵めぐりが今の楽しみ
――津田さんは、プライベートでもお酒がお好きだそうですね。
津田:そうなんです。普段から、日本酒もワインもよく飲みます。ワインの知識はあまりなかったのですが、赤ワインを飲んだ時にすごく複雑な味がするけれど、ブドウの果実味もしっかりあって美味しいと感じて、ワインが一番好きになりました。
学生時代から国内を旅行するのが好きなんですが、旅先もお酒ありきで決めちゃうくらい、お酒が好きなんです(笑)。
――お酒旅、いいですね。どんな所に行くんですか?
津田:今度行こうと計画しているのは、長野県の諏訪市です。甲州街道沿いに諏訪五蔵という5つの酒蔵があって、その蔵をめぐりながら日本酒を飲み比べできるんです。各蔵で4、5種類の日本酒を試飲できるので、行くのが今からすごく楽しみです。それぞれの蔵は歩いて行ける距離にあるので、日本酒がお好きな方にはおすすめですよ。
――いいですね。やはり、お酒がお好きだから和・洋酒売場へ異動されたんですか?
津田:そうなんです。入社当時は食器などのテーブルウェア売場を担当していたのですが、グラスなどに触れていくうちに、やっぱり好きなお酒についても勉強したくなって、お酒売場への異動を希望したんです。
――では、希望が叶ったわけですね。津田さんは、プライベートでも松屋銀座でお買い物はされますか?
津田:食品をよく買いますね。甘いものが好きで、アンリ・シャルパンティエのケーキやラ・メゾン・デュ・ショコラのマカロンを自分へのご褒美に買っています。
――いいですね。スイーツに合うワインもあるんでしょうか?
津田:ありますよ。例えば、「マスカット・ベーリーA」という日本のブドウ品種のワインがあって、イチゴ飴みたいな甘い香りがするんです。なので、どんなスイーツにも合うんじゃないかと思います。
お客様がもっとワクワクできるイベントを企画したい
――ワインのプロとして、業務の中で意識していることやこだわりはありますか?
津田:お客様に信頼していただけるよう、常に笑顔で何事も誠実に対応することを心がけています。特に、お客様の話をしっかり聞く姿勢を見せることが一番大切だと思っているんです。
お客様の中には、ご要望を細かく伝えてくださる方もいれば、大まかにお話しされる方もいるので、与えられた情報の中でできる限り対応して、「私であれば、お客様のご希望をこう叶えることができます」という姿勢をお見せするのが一番だと思っています。
――そうして対応された結果、お客様からいただいた声で一番嬉しかったことはありますか?
津田:ご自身の上役の方にお渡しするお酒を、選びにいらっしゃったお客様がいまして。ワインや日本酒などをおすすめする中で、お客様がある商品を購入されました。その時はそれで終わったのですが、その後1週間もしないうちにまたご来店いただき、その時に「津田さんはいますか?」とご指名くださったんです。
しかも、「この間おすすめしてくれたお酒がすごく好評だったから、今度は別の人に同じ商品を贈りたい」と言ってくださいました。
――それは嬉しい出来事ですね。
津田:商品を喜んでいただけたことはもちろん、私の名前も覚えてくださっていたことが、本当に嬉しかったですね。
あとは、自分が準備したプロモーションイベントに大勢のお客様がいらしたことも、嬉しい思い出です。
――それはどんなイベントだったんですか?
津田:毎週イベントを開いていて、年末に2社の日本酒を紹介するイベントを準備したんです。樽酒を店頭で開けて販売したところ、売場付近がお客様でいっぱいになるほど盛況でした。そういう場面を見ると、一生懸命に準備して良かったなと思いました。
――イベントを手がけることもあるんですね。
津田:そうですね。イベント以外にも、松屋銀座オリジナルで日本酒のラベルをデザインしたこともあります。「その蔵らしいラベルってどういうものだろう?」とすごく考えて作ったので、形になった時は嬉しかったですね。
――今後は、松屋銀座のお酒売場をどんな場所にしていきたいと考えていますか?
津田:お客様がワクワクするような売場を作りたいですね。今はイベント以外では試飲ができないので、いずれは有料でも試飲ができるようにしたいと思っています。そうすれば、お客様にも納得してご購入いただけますし、普段は買わないような商品を試すなど、ちょっと冒険したお買い物もできるのではないかと思っているんです。
それに、料理とのペアリングもご紹介していきたいので、他部署と連携してワインに合うおつまみのご提案もできたら、楽しい売場になるのではないかと思っています。
――最後に、お客様へのメッセージをお願いします。
津田:松屋銀座は、他では見ないような珍しいものも置いてあるので、きっと楽しいお買い物体験ができると思います。和・洋酒売場で、何か気になることやご相談があれば、ぜひお気軽にお声がけください。ご満足いただけるように、私たちが誠心誠意お手伝いいたします。