「お洋服のように傘を選んでいただきたい」。傘の最適な選び方をサポート
アンブレラマスター國分 千華子
自主運営部 婦人課 エッセンスプラス・リタズダイアリー係。婦人雑貨売場を経て、婦人靴・靴下売場を担当したのち、お客様サービス部(インフォメーション)を経験し、現職の傘売場の担当に。北海道日本ハムファイターズのファン。
松屋銀座の3階は、婦人服やシューズ、バッグ、婦人雑貨が揃うフロアです。その一角に、色とりどりの傘が並ぶ傘売場があります。そこで「アンブレラマスター」として働く國分千華子さんに、傘の選び方や接客のスタイル、趣味や休日の過ごし方について聞きました。
アンブレラ・マスターがおすすめする傘の最適な選び方
――「アンブレラ・マスター」という資格をお持ちだそうですね。どんな資格なのか教えてください。
國分:洋傘の種類や機能、素材から正しい使い方にお手入れ方法まで、傘について幅広く学べる資格です。入社して初めて配属になったのが婦人雑貨売場だったのですが、たくさんのアイテムの中でも、傘についてお客様からご相談を受ける機会が多かったので、もっと知識を身につけたいと思って資格を取得しました。
――資格をとったことで、接客をする上での変化はありましたか?
國分:傘の扱い方を一からお客様にお伝えできるようになりました。例えば、傘を開く時には「下ろくろ」という内側の骨をまとめている部品を押し上げますよね。その時にろくろのボタン部分の「はじきカバー」を押さえたまま上げる方が多いのですが、本当ははじきカバーを押さずにその横の部分を持っていただいたほうがうまく上げられるんです。
特に折り畳み傘の場合、開くのに苦労されている方も多いです。ちょっとしたことですが、傘がぐんと使いやすくなる方法をお伝えできると、資格で得た知識が接客に繋がっているなと感じます。
――確かに、傘の使い方を改めて勉強する機会がなかなかないので、間違った使い方をしている人は多いかもしれませんね。
國分:そうなんです。傘の正しいお手入れ方法や扱い方を身につけられたおかげで、私自身も傘を長く愛用できるようになりました。友人が日傘を探していた時にも、的確にアドバイスすることができました。
――上手な傘の選び方をぜひ教えてください。
國分:これは長傘、日傘、折り畳み傘でも同じなのですが、実際に傘を広げて、傘を差しているご自身の雰囲気を鏡で見ていただくと上手く選べると思います。
――まるで洋服の試着のようですね。
國分:実際に傘を差してみて、顔まわりの色味と合っているのか、長さや大きさがご自身に合っているのかをしっかりと確認していただいています。傘単体のデザインや色を重視される方が多いのですが、お顔の近くで使うものなので、実は肌馴染みのいい色を選んでいただくことも大切なんです。
――その視点が大事なんですね。他にも気を付けたほうが良いポイントはありますか?
國分:日傘なら、遮光率はどのくらい必要なのか、折り畳みと長傘のどちらがいいのか、重さはどのくらいがいいのかなど、使いやすさも重視していただくのが良いと思います。畳みやすさも生地によってかなり変わってくるので、毎日使うことを考えて選んでいただけたら。
球団で接客の楽しさを知って百貨店へ。趣味は野球観戦と百貨店巡り
――そもそも、百貨店で働こうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
國分:大学生の時に、野球の球団でインターンとして働いた経験がありまして。そこでイベントの企画や運営に携わっていたので、お客様と直接触れ合う機会が多くあり、接客の楽しさを知ったんです。接客ができる仕事、と考えた時に百貨店が思い浮かびました。
――球団で働くほど野球がお好きなんですね。
國分:実は、小学3年生から大学に入るまで、ずっと野球をやっていたんです。兄の影響で野球を始めて、高校生の時は部活でソフトボールをやりながら、野球のクラブチームでも活動していました。ポジションは外野です。今は見る専門ですが、野球は点が入ると一気に展開が変わるところが面白いですね。
――野球をされていたなんて、驚きました。好きなチームは?
國分:北海道日本ハムファイターズファンの友人と一緒に試合を見に行くうちに、私もファイターズにハマってしまいまして。今も月2回ぐらいは球場で応援しています。夏には北海道まで行く予定なので、今から楽しみです!
――球団で働いた後に百貨店で働き始めたというのは面白いですね。
國分:実は、松屋銀座に入社する前までは、あまり百貨店で買い物をしたことがなくて。学生にとっては単価が高いものが多いですから。でも、自分が売る側になった時に様々な商品の背景を知って、値段の裏側には相応の理由があることをお客様にしっかりお伝えしたいと思うようになりました。商品に対する信頼感や丁寧な接客、ここにしかない品揃えなど、百貨店でしかできないお買い物体験が、百貨店の魅力だと感じています。
――百貨店で働き始めて、ご自身のショッピングの仕方は変わりましたか?
國分:変わりましたね。休日も会社の同僚と出かけることが多く、いろいろな百貨店に行くようになりました。なので、銀座や新宿など百貨店がたくさんある街に行きがちです。百貨店に行くとディスプレイに目がいくので、良い部分があれば取り入れてみようと思うこともあります。
会話や表情からお客様がお求めの商品を見極め、臨機応変にご提案したい
――現在は婦人雑貨売場を担当されているそうですが、一番やりがいを感じるのはどんな時でしょうか?
國分:私の接客を信じて商品の購入を決めてくださったお客様に、ありがたいお言葉をいただいた時が一番やりがいを感じます。お客様との会話の中から、どういう商品をお求めなのか聞き出すことを大切にしているのですが、言葉だけでなく表情などにもヒントがあるので、それを見落とさないように気を配っています。
――お客様と接する時に大切にしていることはありますか?
國分:お客様のことをよく観察して、ファースト・アプローチを変えることでしょうか。いろいろな商品を見て迷っている様子の方なら「今日はどういったものをお探しですか?」と声をかけますし、商品のサイズを見比べているようなら「サイズでお困りですか?」と声がけするなど、臨機応変に対応しています。ファースト・アプローチでご要望を聞き出した後は、お客様の立場に立ってご提案するようにしています。
――印象に残っているお客様とのエピソードはありますか?
國分:新入社員の時に、ご体調が優れなくて売場には来られないという、日傘をお求めのお客様がいまして。電話越しで商品の特長やデザインを伝えるのは本当に難しかったのですが、言葉を尽くして説明して、なんとか選んでいただきました。
自分なりに精一杯ご案内したものの、商品を気に入っていただけたのか不安だったのですが、後日、そのお客様からお電話で「すごく気に入りました」というお声をいただいたんです。その時のことは、今でもはっきりと覚えています。それ以来、接客が本当に楽しいなと感じるようになりました。
――最後に、お客様へのメッセージをお願いします。
國分:今はネットでなんでも買える時代ですが、百貨店にはリアル店舗ならではの良さが沢山あります。ぜひ店頭に足を運んでいただき、直接商品に触れながら本物の良さを実感していただければと思います。お買い物を楽しんでいただくためのお手伝いができれば、嬉しく思います。