生駒さん
「そうですね、デザインにもよりますが、1日にひとつしかつくれないものもありますよ。たとえばツイードのような織りの甘い生地はほつれやズレが生じやすいため、他の素材に比べると縫い合わせるのが断然難しい。でも、お客様が“自分のものにしたい”と強く思ってくださるものを生み出すためには、そういう生地の組み合わせだったり、あしらいだったり、手づくりでしか実現できないデザインが必要なんです」
“もったいない”マインドをものづくりに生かし続けている生駒さんですが、過剰生産に対する意識改革がじわじわと進む今、そしてコロナ禍という環境で“つくる”ことへの罪悪感とも対峙したそうです。
生駒さん
「現実としてものがあふれていて、サステナブルな考えを突き詰めようとすると“新しいものをつくること”自体が悪なのでは……とも考えました。みんなで話し合い、私たちが出した答えは“使い手であるお客様と、つくり手である自分たちが楽しめるものだけを真剣につくること”。素材やもの、そして人とちゃんと向き合って、意味を持つものならつくっても間違いじゃないよねって考えることにしたんです」