貝山さん
「デザインとはもともと大衆的なものです。時代を共にする人々のためになって、初めてデザインとして成立します。そこがアートと違うところですね。デザインと社会とはつねに相互関係があり、デザイナーは今も昔も社会循環のための構想と計画を担っているのです」
蓑輪さん
「枝の匙には貝山さんの考えや想いがぎっしり詰まっているんですね。こんなに可愛らしい見た目のなかに、あらゆる角度からの問いかけがあると知って私自身もさらに興味がわきました。私たちは売る側の立場として、お客様との接点のつくり方に生かしていきたいです」
貝山さん
「そういえば先日、デザインコレクションで枝の匙を購入いただいたお客様から僕のところに直接お問い合わせがありました。“富山県でお店をやってる友人のために、特注できないか”と。後で分かったことですが、それは、富山県で予約の取りにくいとうわさのお寿司屋さん。蓑輪さんが先ほどお話しされた“お買い物体験”を1人のお客様が実際にされ、ご友人に伝わり、そして僕のもとにつながる。これもデザインを軸にした循環で、出発点が松屋さん。日本のデザインや伝統、そして他にない手仕事への理解がある大切な売場だな、と実感しました」