知っておきたい、日本全国のものづくり “日本再発見”
vol.1 [東京]
支持が集まる“ドレスTシャツ”は品質と価格のバランスがスゴい!
Re made in tokyo japan
(アールイー メイド イン トウキョウ ジャパン)

東京・下町の老舗ファクトリーメーカーで10年以上経験を積んだ早川さんと坂倉さんのお2人が設立した『アールイー メイド イン トウキョウ ジャパン』。ショップは2007年、代官山にオープン。工場経験があるからこその生地と型紙にこだわった“日本製”の高品質アイテムがそろいます。
東京の下町とその近郊の自社工房でつくられるリアルクロージング・ブランドが、このたび松屋銀座にお店を構えることとなりました。丁寧な手仕事を続けているたくさんの下町工場と、そこででき上がる美しい洋服について、ブランド創設者の早川さんと松屋銀座バイヤーの磯矢さんがお話します。

磯矢さん
「東京の下町という、松屋銀座から近い場所でこんなにいいものがつくられているんだと衝撃を受けたのが『アールイー メイド イン トウキョウ ジャパン』でした。以前から気になっていましたが、今回私が上司から引き継いで担当させていただくことになり、一緒に何ができるか考えるのがとても楽しみです」
早川さん
「前任のバイヤーさんにもとてもよくしてもらって。私たちのような小さな会社は、ストックを大量にもったり、販売員を派遣したりするようなことが難しいので、本来は百貨店に出店なんて考えられません。それを“そんなことはない、小さなブランドでもうまくやる方法はあるよ”と、私たちの商品のよさに注目して推してくださったから、今回の出店が実現しました」

磯矢さん
「東京の下町には、昔からたくさんの職人さんがいらっしゃいますよね。そういった工場での経験をお持ちだからこそ、いい商品をお客様に提供ができるのだと思います。私たち百貨店の人間は『アールイー メイド イン トウキョウ ジャパン』のような、お客様が個人ではなかなか見つけられないような魅力的なブランドや商品を探してお伝えしたいと考えているんです」
早川さん
「うちも祖父の代から神田でアパレル業を営んでいたこともあり、若い頃に下町の工場で修行させてもらいました。独立してブランドを立ち上げ、細々と続けている時にたまたま松屋さんに商品を見ていただいたんですよね。その後、たしか1時間もしないうちにお電話をいただいて“すぐにでも、ポップアップショップをやりましょう!”って。その速度には驚きましたよ(笑)。でも、やってみると本当に売れたんです。その際はアドバイスも、ダメ出しもいただいたし、私が出すリクエストにもしつこく食い付いてくださったことがとても印象的でした」

磯矢さん
「私は当時、フロアマネージャーとしてご一緒しましたね。1年で7〜8回とかなりの頻度でポップアップショップを開いていただき、お客様が喜んでいらっしゃる姿を何度となく拝見しました。そこで、やはりみなさんが喜ぶのは“クオリティとプライスのバランスがすごくいいからだ”と感じました。松屋にいらっしゃるお客様は“何か、いいもの”を探しにいらっしゃっていることを再認識しました」
早川さん
「私も、百貨店に出店してみてその点に気付きました。自分のものづくりには自信がありましたから、それが“いいものを見てきた方が納得できるもの”と合致して喜んでいただけた。そのことが嬉しかったし、ものづくりの方向性への確信にもなりましたね。小さなブランドは自社サイトのECで売る方が低リスク、という考え方が主流になっていますが、百貨店でしか得られない経験というものに出合えて感謝しています」
磯矢さん
「多くのお客様が“このクオリティで、なぜこんなに安いの?”っておっしゃっていましたが、そこが“ファクトリーブランド”の魅力なんですよね」
早川さん
「私たちには、協力してくださる下町の工場がたくさんあります。そういったところは、たいてい小さな工場で、70代で働いている方もいらっしゃいます。手を動かすその人に直接お話をして、オーダーをしているんです。だから、品質がよくてリーズナブル。考え方としては、産地直送の野菜と同じですね。私たちを含めた“生産者”が、松屋さんに直接商品を持ち込んでいるイメージです。たとえば墨田区や台東区といった下町から銀座へ、東京で行われているアパレル業界の産直販売ですね(笑)」
磯矢さん
「下町の一体感というか、小さな工場だからこそできること、ですよね。どんな生地をどんなふうに使ったらよりよいものができるとか、みなさんがそれぞれの役割分担の中で全部理解している。それを集約している早川さんたちがいる。そのすべてが商品に反映されているって……、日本の手仕事のすごさが身にしみますね」
早川さん
「日本人のいいところは、徹底的な責任感を持っているところです。たとえば、縫製を指示する時に“この洋服にはこの運針が合う(ステッチの数)”と決めますよね。細かい部分ですがその本数によって上品に見えるか、カジュアルに仕上がるか、印象全体を大きく左右するんです。商品の裏側にまでこだわり、それを忠実に再現し、ごまかしたりしないのが日本の職人さん。このすべてが、ファクトリーブランドならではのよさですね」
磯矢さん
「その通りですね。日本の、特に地方にはまだまだ『アールイー メイド イン トウキョウ ジャパン』のような注目すべきジャパンブランドがあると思います。それらを見つけて、多くの人に伝えていくのが百貨店の役割、早川さんにも常々言われている“小さなブランドも安心してチャレンジできるような場所になって欲しい”ということまでできるようになれれば、日本にとっても地域にとっても、もちろんお客様にとってもいいことですよね。これまでも台東区と組んでものづくりイベントを開催したことがありますが、今後も東京下町のものづくりに注目し、応援していきたいと思います」

早川さん
「銀座の百貨店って、私たちにとっては昔から特別でしたし、今の若い子だってきっと同じはず。日本で1番の憧れの場所に“ファクトリー出身のブランドが直営店を持てる”。これは、松屋さんが育ててくれたからです。同じようなファクトリーブランドの人たちに“こんな道もある”ということが伝わるといいなと思います」
『アールイー メイド イン トウキョウ ジャパン』のブランド名は、日本製であることの誇りに“リアル(本物)、リバイバル(再興)”などいろいろな意味を持つ“Re”を組み合わせてできたもの。
下町の工場が手がける“いいもの”に目を向けるブランド、そして松屋銀座も同じ方向を見ています。何気なく通りすぎがちな日本の、特に小さな町や地方の素晴らしいものづくりに、感度の高い百貨店であり続けたいと思います。

ドレスTシャツ 各8,250円
◆5階紳士