銀座と、生きものと、自然と。ミツバチを通し、あらためて社会を考える

銀座の街並みには、大都会にもかかわらずどこかほっとする雰囲気があります。

ゆるぎない品格に包まれながらも、確固たる優しさをたたえた街。その理由のひとつが『銀座ミツバチプロジェクト（通称:銀ぱち）』の活動から見つかりました。松屋銀座もその役割の一端を担う『銀座はちみつ』についてお話します。

銀座と養蜂。

誰もがつなげようなんて考えもしなかったことを実現し、さまざまな価値を生み出したのは、NPO法人銀座ミツバチプロジェクト理事長の田中淳夫さん。

「ビルの屋上を探す養蜂家さんと出会い、私の勤める紙パルプ会館の屋上をお貸しする予定でした。しかし……、気づけば私が養蜂家になっていましたね(笑)。当時の私は、ハチとアブの違いすら分からなかったんですよ」

そう話す田中さんは、ほかにもマロニエゲートや丸の内のビルの屋上でも養蜂活動をしています。

「ミツバチは、環境が汚染されている場所では生きていけない“環境指標生物”なんです。だから、もしも銀座ではちみつが採れるなんてことになれば銀座の安全性を証明できることになる。すごくおもしろいじゃないか、と思ったんですね。それで、友人とともに2006年、3箱から養蜂活動を始めました。すると、すぐに桜の香りのはちみつが、次にトチノキ、5月にはユリノキ、夏には銀座の街路樹と、味・香り・色のすべて違うはちみつが続々と採れたのです。

ミツバチの飛行範囲は約3km四方と言われていますが、銀座は2km以内に皇居や浜離宮、日比谷公園などがあり、そこが巨大な蜜源になると分かりました。これはすごい。ミツバチを通して銀座を取り巻く環境についてあらためて知った、衝撃的な経験でしたね」

ここは日本一の繁華街、そして品格の街、銀座。そんなイメージとはまるで違う大自然かのような活動が、15年も前から粛々と続けられていました。

採蜜のシーズンは、松屋クルーのスケジュールにも“採蜜”の文字が踊ります。

「はちみつが採れるのは、3月末〜8月末頃。年間1,000kgを目標に、この時季は松屋さんをはじめボランティアの方々と毎週採蜜を行っています。

採蜜は、巣箱から巣枠をひとつひとつ取り出して持ち上げ、病気が発生していないかなど、まずはミツバチたちの健康診断から。次にはちみつがぎっしり詰まった巣枠から蜜蓋を剥がし、遠心分離器にセットしてはちみつを取り出していきます。残ったミツロウは精製し、キャンドルをつくるんですよ。12月に松屋さんで限定販売しています。今後は化粧品としても活用したいですね」

ちなみに、働きバチとは見た目の違う女王バチがこちら！目印として背中に色をつけています。

「女王バチは1日に約1,000個の卵を産みます。卵は21日で幼虫からサナギ、そして成虫のミツバチとなるわけですが、巣から出たその日から先輩バチに指導されて巣の掃除をし、次に花粉とはちみつを練って幼虫にあげる育児を担当。2週間ほどでミツロウによる巣づくりをこなし、門番、飛ぶ練習を終えて花粉を集めに飛び立ちます。働きバチの一生は約1カ月。明確な役割をはたしながら群れを保つため、極めて高度な社会性をもつ生きものだと言われていますね」

さぁ、遠心分離器からは、美しい黄金色の液体。

「“銀座で採れたはちみつなんて、大丈夫？”という声も当初はありました。でも銀座には日本中の、いえ、世界的な視点でみても最高峰の技とセンスを持つ食のプロたちがいます。そして、いいものをきちんと発信してお客様に届けてくれる消費の場……松屋さんのような百貨店もあります。そんな人たちが認めた味や香り。銀座は安心・安全を最優先で考える街。なにかあったらすぐにやめると決めて始めた養蜂でしたが、“すべてが銀座にはそろっている”と、少しずつ確信のようなものが芽生えていきました」

この日は、松屋銀座の企画担当者・食品担当者と共にブルガリメートルショコラティエの齋藤香南子さんもボランティアとして採蜜活動に参加。松屋銀座が取り扱う『銀座はちみつ』の限定商品は、こんなふうに名だたる食のプロにも生命の現場を体験していただき、その重みを含めて商品開発に生かしていただいています。

「これからの時代に理想とされる“環境と共生する街”は、簡単にうまくはいかないかもしれません。なにせ、これまで都市は自然を排除してきましたから。でも、試してみないと始まりません。ある老舗の会長が昔、“銀座は常に新しいものを受け止める街。そぐわないものは銀座の街のフィルターによって消えていくし、いいものは残るんだよ”とおっしゃったことがあって。まさにその通りだと思いますね」

「街って“そんなことがあるんだ！”という意外な発見があると、歩いていて楽しいじゃないですか。銀座には食を始めとするあらゆるジャンルの最高峰が集まっていて、そのうえ生きものがちゃんと生活できる安全もある。世界中探しても、こんなふうにすべてがそろう街はなかなかありません。これがきっと、未来へ向けて必要とされていく街のスタイルなのだと感じ、全国にミツバチプロジェクトを広げることになりました」

実はすでに、こういった養蜂活動は北海道から九州まで全国に100カ所以上広がっています。そのアドバイザーとしての役割も『銀ぱち』は担っていると考えるようになったそうです。

紙パルプ会館の屋上には木花が植えられ、自然と人との共存も実践されています。

松屋銀座も採蜜のボランティア活動だけでなく、いくつもの部署が協力して屋上の緑化を進めています。この花の蜜が、あの商品に活かされているかも……。そんな想いで作業に熱も入ります。

近い将来、松屋銀座の屋上でも養蜂が行われるかもしれません。

（2018年松屋銀座の屋上にて撮影　©NPO法人銀座ミツバチプロジェクト）

「新しいことは、続けなくてはいけない。それにはどうしたらいいのか、ずいぶんと悩みました。そして、私たちが出したのは“街のみなさんと一緒に価値をつくること”という答え。生活のなかにかならずあるのに、なかなか見えてこない生命のことも丸ごと感じられる価値が、この活動にはあるんじゃないかと感じているのです」

さまざまな役割をはたし、次の世代へと命のバトンを渡していくミツバチの群れの仕組みは、人間社会ととても似ています。

生きものとの共存。

松屋もお客様をはじめ日本中、世界中のさまざまなつながりを考えるなか、身近なはちみつから“できること”について考えています。

松屋銀座がお客様へとつなぐ、『銀座はちみつ』のお菓子

当初、田中さんははちみつが採れた事実と感動を、すぐに松屋の経営陣に話したそうです。

「どこか使ってもらえるところがないかと相談したところ、とてもおもしろがってくれたことが印象的でしたね。初めてのことって、誰でもだいたい慎重になるでしょう。それも企業の上層部ならなおさら。そんな心配をよそに、すぐにバイヤーチームに話を通してくださり、たくさんの食のプロにつながっていくことになりました」

松屋銀座と田中さん、ミツバチとの関係は今も変わらず想いを同じくしています。

限定品を企画する際、ブランドやメーカーなどの取引先担当者にも採蜜を体験してもらうのは、これらの想いまでをしっかりと共有するためです。

ミツバチがつないだ自然と人。そのおかげで生まれた新しい人と人とのつながり。これぞ銀座ならではのつながりです。松屋銀座ははちみつをお客様に届ける“消費の場”として、これからも活動に取り組んでいきます。

銀座のすべてを凝縮し、最高のかたちで表現した品々。

松屋銀座だけにそろう、最高の香りと味わいで、この街の美しさを感じてください。

〈ラベイユ〉銀座のはちみつ

（左から） 125g 5,400円、180g 7,560円、36g 1,728円

銀座はちみつの風味をシンプルに、そのまま堪能できる3サイズの瓶詰めはちみつ。毎年違った味わいが楽しめる、ファンの多い逸品。

〈ブルガリイル・チョコラート〉ジェムズ（銀座はちみつ＆レモン）

1個 1,781円

はちみつとレモンのミルクチョコレートガナッシュと、マスカルポーネチーズのホワイトチョコレートガナッシュを重ね、ミルクチョコレートでコーティング。奥行きのある濃厚な甘さが特長。

〈銀座文明堂〉

（左から）銀座の蜂蜜カステラ（1B号/桐箱入）3,780円、銀座の蜂蜜バームクーヘン 6個入り 1,836円

しっとりとしながら心地よい弾力感、はちみつと和三盆の甘みがしみ渡る、職人お手製の特別なカステラ。バームクーヘンは、やわらかな口当たりと深いコクが印象的。

〈KURAKICHI（くら吉）〉プレミアム銀座はちみつウィッチ

1個 540円

ほろりと崩れるソフトな生地と銀座はちみつの優しくまろやかな甘さ、芳醇なバタークリームが口のなかで重なり、贅沢な時間を彩るまさに口福なフレーバー。

〈キャンティ〉銀座はちみつチェリージア

1個 346円

昔ながらの製法で職人がひとつひとつ手作りする、ブランドを代表する焼き菓子。甘酸っぱいさくらんぼと北海道無塩バターを使用。

〈足立音衛門〉 “銀座はちみつ使用”和栗のケーキ

4,320円

渋皮付き国産栗がたっぷり入ったパウンドケーキ。銀座はちみつのほかにも、讃岐和三盆糖や発酵バターなども使用し、濃厚な味わい。

全て地下1階和洋菓子

『銀座はちみつ』使用商品取り扱いブランド

地下1階和洋菓子

〈ラベイユ〉、〈KURAKICHI（くら吉）〉、〈銀座文明堂〉、〈キャンティ〉、〈足立音衛門〉、〈黒船〉、〈銀座あけぼの〉、〈MUNIANKASSHOKU〉、〈INFINI（アンフィニ）〉、〈清月堂本店〉、〈ブルガリイル・チョコラート〉、〈コートクール〉、〈富士見堂〉、〈ベイユヴェール〉、〈Butters〉、〈NOAKE TOKYO〉、〈日本橋千疋屋総本店〉、〈ナーディル・ギュル〉

地下1階グルマルシェ

〈フルーツジュースバーヤマサン〉

地下2階生鮮・グロッサリー

〈喜多福〉

■一部商品は、松屋オンラインストア「フード＆スイーツ」でも販売中。

⇒松屋オンラインストアはこちら

※〈足立音衛門〉、〈INFINI（アンフィニ）〉、〈MUNIANKASSHOKU〉、〈NOAKE TOKYO〉、〈日本橋千疋屋総本店〉、〈ナーディル・ギュル〉、〈清月堂本店〉、〈フルーツジュースバーヤマサン〉は銀座はちみつフェア期間中のみのお取り扱いとなります。

※時期により取り扱い状況は異なります。

※表示価格はすべて税込です。