松屋で見つかる美味しいご縁－Encounter with foods－ vol.1＜HIGASHIYA＞

10月28日（水）－11月3日（祝・火）：GINZAスイート
11月4日（水）以降：銘家逸品

バイヤーとは、仕入れ担当者のことです。24時間365日、ハッとする出逢いのために生きているといっても過言ではありません。売場という舞台ではない場所でちからを尽くす、松屋銀座のバイヤーが商品とのご縁について語ります。

始閣理子さん　松屋銀座食品部シニアバイヤー

入社以来、今日に至るまで食品に関わり続ける。若い世代のバイヤーから刺激をもらいながら、独自のアンテナによる商品探しに邁進。縁があった商品、会社、人とは、末永くつながりを持ち、一緒に成長していきたいと考える。

和菓子に込められた幸福を願う想い

ここ松屋銀座から、みなさんのもとへ

まさか、こんなことになるなんて。

銀座の街が、日本中が、こんなにも静寂に包まれるなんて。

誰もが予想だにしなかったコロナ禍。自粛生活を送るなか、始閣さんは「自分にできることは何だろう」と考え続けたと話します。

「それはちょうど、再度和菓子担当になった頃でした。あらためて和菓子のことを調べていると、日本には全国に“縁起菓子”という和菓子がたくさんあることに気づかされて。それらは、あらがうことのできない天災や病に対し、なにかに頼りたい気持ちから生まれたもの。文献を調べていくと、そんな意味合いのものが多いことがわかり、今の私たちの状況にぴったりと重ね合わさったのです。

これを伝えよう。

たくさんの和菓子屋さんに声をかけ、今回のイベント『祈りの菓たち』の準備を始めました。そんななか、お声がけをしたひとつの和菓子屋が、HIGASHIYAさん。

出逢いは約15年前、とある雑誌のなかの小さな記事でした。和菓子に使う木型で彩られた店内写真に釘づけになったのをよく覚えています。使用頻度が減り、無用の長物のように扱われることもある木型を……なんて素敵なセンスの持ち主！それ以来HIGASHIYAさんとは仲よくさせていただいて、今回の企画もまっ先に相談しました。

社長の緒方さんは、空間デザイナー。海外でお仕事をされるうち、外国のものばかりに夢中になり、日本の伝統文化の素晴らしさに気づかないでいる日本人が多いことに疑問を持ったそうです。こんなにも素晴らしく、物語のある日本文化。自分の使命は、それらを日本の若者と世界に発信していくことだ、と志を持たれ、今までに見たことのないコンセプトの和食屋や和菓子屋を生み出している方です。

世界中に大変なことが起きている。
でも人には克服する力が備わっている、そう信じたい。

私たちは共通の想いを抱いていました。
和菓子で邪気を払い、平和を願いたい。

HIGASHIYAさんがかたちにしてくださったのは、寒氷でできた『祈絲（いのりと）』です。古来より神の依代とされてきた鏡をイメージした丸をモチーフに、中国哲学の五行思想をもとにした5色で色づけ。そして駄菓子のような糸をあしらい、新しい平和を願う和菓子が完成しました。

私は、HIGASHIYAさんのなかにある凛とした志が大好きでたまりません。
決してなくしてはいけない、古より伝わる大切な“もの”や“こと”は、HIGASHIYAさんというフィルターを通すとそれまでとは違う、新しい見え方になります。これからをになう若い世代が興味を持ち、受け入れられ、さらには世界から一目置かれる存在へと、歩みを止めず前進する日本が誇る和菓子屋のひとつだと思います。

イベント『祈りの菓たち』のために生まれた『祈絲（いのりと）』。平和を祈りつつ、ぜひ皆様でお召し上がりください。

HIGASHIYA　「祈絲（いのりと）」（大）4,968円、（小）2,160円
※（大）は11月3日（祝・火）までの期間限定販売