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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.42

プロフィール
森 百合子mori yuriko
北欧5ヶ国で取材を重ね、旅や暮らし、デザインの情報を中心に発信。著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに“ちょうどいい”旅の作り方』(ダイヤモンド・ビッグ社)ほか。執筆活動に加えて、NHK Eテレ『趣味どきっ!』、NHK 総合『世界はほしいモノにあふれてる』などメディア出演や講演を通じて北欧の魅力を伝えている。

冬の終わりの家時間

この2月に、ひさしぶりに冬の北欧へ行ってきました!目指したのはノルウェーの首都オスロ。繰り返し訪れている町ですが、冬に来るのは10年以上ぶりのことでした。


趣味でつづけているダンスのイベントに参加するのがいちばんのお目当てだったのですが、冬の北欧旅は思いのほか快適なものとなりました。まず人が少ない。昨年の初夏に、コロナ禍以来はじめてオスロを訪れたところ、以前よりも観光客がぐっと増えて、オスロ市庁舎やオペラハウスといった主要観光スポットはどこも人の波。そのにぎわいには面食らうほどでしたが、一方、先日の旅ではうってかわって町は落ち着いた雰囲気でした。




再開発地域に新しく生まれ変わった、話題のムンク美術館も訪れたのですが、午後の遅めの時間だったこともあるのか、人はまばら。おかげで『叫び』をはじめ、有名な作品も独り占めのような状況でじっくりと鑑賞できました。上階の展望スペースから眺める、冬のオスロも趣があってよかったです!

もうひとつ冬の旅でよかったのは、現地に暮らす友人たちが家に招いてくれたこと。暖かい季節だと外で待ちあわせてビールを飲んだり、公園や、海の近くに出かけたりと屋外で過ごすことも多いのですが、今回の旅では「じゃ、うちに来る?」と、みなが気軽に声をかけてくれて、家好きとしてはまさに願ったり叶ったり。そんなわけで、3軒のお家におじゃましてきました。

郊外に暮らす友人の家では、夕食をごちそうになった後、DIYで取り替えたというモダンなデザインの暖炉で、薪に火をつけるところから体験させてもらいました。ビールやバーめぐりが好きな友人の家では、自家醸造したというジンを試飲。思いがけず、冬の暮らしをのぞき見るかのようで、いい時間を過ごさせてもらいました。


週末の午後におじゃました友人宅では、ワッフルをごちそうになりました。ワッフルはノルウェーの国民的おやつともいえる味で、各家庭にはワッフルメーカーが必ずあると言われます。


到着すると、キッチンにはすでにたくさんのワッフルが!10枚はあったでしょうか。「ノルウェー人は、大人4人でこのくらいはぺろっと食べちゃう」とは友人談。食卓には、ワッフルと一緒に食べるロンメと呼ばれるサワークリーム(日本のサワークリームよりもまろやかな味で、そのまま食べやすいのです)やベリーのジャム、生ハムやチーズもありました。「甘いのと、しょっぱい味を交互に食べて、気づくとずっと食べつづけちゃう」のだとか。休みの日のブランチとしてもワッフルは定番のようです。


ノルウェーワッフルは、日本で知られるベルギー風ワッフルよりも薄くて、食感はサクサクというより、ふんわり、もちっとしているのが特徴。以前、蚤の市の会場やカフェで食べたことはあったのですが、お家で食べるのは初めてでした。友人宅ではサワードウを使っていてほのかな酸味と、もっちりとした食感がとってもおいしい!生地には、北欧の焼き菓子やパンによく使われるカルダモンが入っていて、彼女のレシピではさらにシナモンパウダーも少し混ぜているとのこと。


ノルウェーワッフルならではのトッピングといえば、ブラウンチーズ。その名のとおり茶色いチーズで、ホエイ(乳清)を煮詰めて作ることからこうした色になるのだそう。甘じょっぱい味でピーナツバターのようなコクもあります。

ノルウェーはバターもおいしいので、バターとはちみつでシンプルに食べたり、ブラウンチーズにジャム、ロンメとジャム、甘いのがつづいたら生ハムと一緒に……と、いろいろな組みあわせを味わっているうちに、友人の言葉どおり食べつづけて、気づけばワッフルの山はだいぶ低くなっていました。友人の家族とともにおしゃべりは尽きず、これぞノルウェーの休日、といった感じのリラックスした時間を過ごしました。


じつはわが家にもワッフルメーカーがあって、ノルウェー式のワッフルもときどき楽しみます。ブラウンチーズは日本でも手に入りますし、ロンメの代わりにわが家では、日本にも入荷しているアイスランドの乳製品スキール(ヨーグルトのようなチーズです)を合わせることも。友人のレシピを真似て、シナモン入りも早速試してみました。

ちなみに、わが家の簡単ワッフルレシピは:小麦粉(薄力粉100g+強力粉60g)、砂糖20g、ベーキングパウダー4g、あればカルダモンやシナモンパウダーを少量、混ぜておく。卵1個、牛乳200ml、ヨーグルト大さじ1、溶かしバター30gをよく混ぜて、粉類を入れたボウルに注ぎ、なめらかになるまで混ぜ合わせる。ワッフルメーカーで焼き目がつくまで3〜4分ほど焼く。
※薄力粉だけでもOKですし、牛乳の量を調整して好みの食感にしてください。

それにしてもサワードウを使った生地が絶品だったので、サワードウの世界にも足を踏み入れたくなりましたね……!冬のオスロで味わった、ワッフルでの気軽なおもてなし。ぜひ、わが家でも友人を招いてひたすらワッフル、そんな集いをやってみたくなりました。


行きの飛行機では、幸運なことに機内からオーロラも見えました!思っていた以上に心温まる楽しい時間が待っていた冬の終わりの北欧旅行。また行きたくなってしまいました。


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北欧の旅を綴ったエッセイ本『待ちあわせは北欧で』(だいわ文庫)が、4月10日に発売となります!
フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、そしてバルト三国のエストニアを旅して出会った人々との交流や、忘れられない旅の時間、わたしの好きな北欧の場所や旅の過ごし方を書いた一冊です。昨年刊行した『探しものは北欧で』につづいて「おふとんの中から北欧を旅する」ようなエッセイの第2弾。ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

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