その他
紳士

今という時代だからこそ、この感動を。
“ビスポーク・テーラーで究極のスーツをあつらえる

お客様のニーズに応えることは、百貨店の大きな使命のひとつ。その熱い想いは松屋銀座スタッフに共通のことですが、では「お客様のニーズ」とは?あらためて取り扱いが始まる“ビスポーク・テーラー”を通し、「人が求める心地よさの所在」について考えます。
話して、触れて、感じて…。
感動の源流あるのは「誠実な共感」

自由な服装で働く環境が増え、「スーツは社会人の象徴」という常識が変わりつつあります。松屋でも時代の流れに合わせ、ストレッチ性のある生地を使用した“ニューノーマル・スーツ(ラクなスーツ)”の提案も。ただそんななか、「百貨店として、お客様にご案内すべきスーツ」という課題と向き合うスタッフがいました。ビジネスクロージングのバイヤー・粟竹さんです。

 

「これまで既製品やパターンオーダー、イージーオーダーなど、いわゆる“メイド・トゥ・メジャー”のスーツを中心にクオリティの高いものを、できる限り低価格でご案内してきました。しかしどこかで自分の気持ちとの闘い…、つまり百貨店の存在意義との葛藤があったのだと思います」(粟竹さん)

散々悩んだあげく、「松屋だからこそ手に入るものを取り扱いたい」「それが最高のフルオーダースーツだ」と感じたそう。

千代田区平河町の『SHEETS(シーツ)』を訪問したのは、それから数カ月後のことでした。

スーツといえば“英国紳士”という言葉に表される通り、イギリス・ロンドンが発祥。こちらは松屋でスーツに関わるスタッフが一目置く、構築的なブリティッシュスタイルをベースにスーツを仕立てるテーラーです。

“スーツの聖地”といわれる紳士服のテーラーが並ぶストリート、サヴィル・ロウでテーラリングを学んだオーナーの森田さん。

もともと明確な定義をもたないビスポーク・テーラーですが、森田さんが手がけるスーツは内側に配される芯もハンドメイド。「いろいろなテーラーさんがいらっしゃいますが、芯からつくり、さらに表地に合わせて芯の作りを変える方は非常に稀。いや、もはや絶句する領域です…」と粟竹さん。定義が曖昧だからこそ、どんなに手をかけても、既製品のパーツを選んでも、同じビスポークと呼ばれてしまう。

 

森田さんは生地や型紙、縫製などすべての相性を感じ取り、ブリティッシュスタイルのスーツをつくり上げます。ブリティッシュスタイルとは、たとえばイタリアと比較すると内側に入れる資材が少し硬めで、かっちりとした印象。

 

 

その理由のひとつは、ジャケットの前身頃に使用する土台。森田さんはキャンバス地の台芯と胸バス芯、フエルトの3つを重ねて“ハ刺し(ハの字状のすくい縫い)”で留めつけます。土台の弾力や厚みは表地や仕上がりの風合いに影響を与える重要な要素。こういった表面から見えない部分のパーツもひとつひとつ手づくりする森田さんを、粟竹さんは「ビスポーク・テーラーのなかでも貴重な方」と話します。

 

 

粟竹さんがバイヤーとして「森田さんに松屋のお客様のスーツを手掛けて欲しい」と感じた点は、ハウススタイルに固執せず、お客様とのスーツを“ひとつの作品”として一緒につくり上げていくそのスタイル。「各テーラーはそれぞれ放つ魅力が違いますが、森田さんの魅力はものづくりに対する一途な姿勢と、お客様の要望を汲んで形にする柔軟性。このメリハリが、“百貨店たる松屋”に今必要だと感じたのです」(粟竹さん)。

 

 

「ビスポーク」の由来である「be spoke」が表す通り、お客様との会話の中で求められているスーツを探り当てる森田さん。「着心地へのリクエストはもちろん、“映画のこのシーンのスーツが好き”というようなご要望も伺います。それらすべてと選ばれた生地との組み合わせから仕上がりをイメージするので、同じ1着というものは存在しません」と森田さん。

 

 

さまざまなリクエストを叶えながら生地の魅力をも引き出す、高い技術とセンス。これこそが森田さんの独自スタイルの核といえるでしょう。

 

 

アトリエには屋号のきっかけとなった刺繍が飾られています。「あるときルーブル美術館で見かけた、裸体にシーツが掛けられた石膏像です。このシーツ、目立つ存在ではないけれど、なければ成立しないなぁ、人と布の関係そのものだ、と直感的に心に響いて。私の目指す世界観にしっくりきたので『SHEETS』という言葉を選びました」(森田さん)。ちなみにこの刺繍は、友人でもある刺繍作家のKendaiに依頼したものだそう。

 

 

粟竹さんは「松屋という場所を信頼してお越しくださるお客様にも、きっと森田さんのよさが伝わるはずです」と、確信をもった表情で話します。「森田さんは、お客様の理解を深めるために松屋のことも知ろうとする人ですから。もしかすると、お客様のことをご自身以上に理解してしまうかもしれませんね」と微笑みます。

 

 

実は、とあるイベントでこの新しいビスポーク・テーラーを一足早く体験されたお客様がいらっしゃいます。そのなかのおひとりは、ご納品時に次のオーダーをされたとか。

 

気兼ねのない会話からでき上がある究極のスーツ。お客様のお越しを、松屋銀座限定のネームタグとともにお待ちしています。

シェアする
TOPへ戻る ポイントWEBサービス
ログイン