その他
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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.41
プロフィール
猫のいる場所
「森さんのうちでは、猫ちゃんはどんな風に過ごしていますか?」と先日、尋ねられました。最近は「猫と暮らすインテリア」をテーマにした本や、猫のための住まいづくりなどが注目されていますよね。今回は、わが家の猫たちの居場所について書こうと思います。

朝、目が覚めてリビングをのぞくと、こうして寝ているのを見つけます。猫のホタテはアイスランドで買ってきたクジラのぬいぐるみがお気に入りで、いつも頭を押しつけて寝ています。このクジラ、アイスランドの伝統的なロピーセーターをリサイクルして作ったもの。太い毛糸のざっくりとした肌触りがいいのでしょうか。

ざっくりとした肌触りといえば、キッチンやバスルームに敷いているスウェーデンの裂き織りマットも猫たちのお気に入り。先輩猫のウニもよくこの上に乗っていました。病気が見つかり、昨年の1月にウニは旅立ってしまったのですが、病気になってからもよくこの上で過ごしていました。朝はここで「ごはん、まだですか」の表情をしていたウニ。冬のキッチンは冷えるので、マットの上に鎮座しているのを見てほっとしたものです。

ホタテは、コットンのぱりっとした肌触りも好きなようで、マリメッコの布で作ったクッションの上でも、よく寝ています。あのちょっとハリのある生地がいいのでしょうか。寒い時期はソファや毛布の上、あたたかくなってくるとマリメッコの布の上……と、ホタテが寝る場所から、季節の移り変わりを感じます。

猫たちと暮らす上で試行錯誤しているのは、飾るものと飾る場所について。おそらく猫と暮らす人はみな、頭を悩ませる部分ですよね。わが家の猫ズは机や棚にあるものを片っ端から落とすほどのいたずら好きではないのですが、それでも時折やられます。フェルトの小物があっという間にクシャクシャにされてしまったこともあれば、イースターに飾っていた小さなヒヨコたちが朝、起きたらすべて、なぎ倒されていたことも。

フェルト物を飾るのは危険かな……と一時はあきらめていたのですが、玄関の窓辺だけは乗らないことがわかり、季節の飾りやフェルト小物を飾る場所となりました。年末に手に入れた、かわいい縁起物の猫たちもいまのところは攻撃されずにおります。

北欧の家では、窓辺にお気に入りの置き物やガラスの器などを置いて楽しみます。光が差す窓辺は部屋の主役であり、窓辺こそお気に入りのあれこれを飾る場所といった感じで、その家に住む人の個性が伝わる場所でもあります。そんな窓のあり方に憧れて、わが家ではリビングをリノベーションする際に出窓を作ったのです。さあ、ここに何を飾ろう、北欧で買ってきた陶器のフィギュアを並べるのもいいなあ……なんて思っていたのですが、日当たりのいい窓辺は、猫たちのお気に入りのくつろぎ場所となりました。

ウニと兄弟猫のコハダはわが家に来て数日後には、ふたり揃って窓辺に転がっていました。もともと置いていた照明も、すみに追いやられてしまうので片付けようかとも思ったのですが、なんだか猫ズはこの照明が好きなようなのです。フィンランドのデザイナー、ハッリ・コスキネンによる照明は電球をガラスに閉じ込めたような斬新なデザイン。窓辺にぽっと灯りがともっていい雰囲気なのですが、猫たちにとっては枕にちょうどいいみたいです(眩しいでしょうに…)。


雑貨は飾れなくなってしまった窓ですが、カーテンにしている北欧のテキスタイルの影から猫たちがちらっと見える、それがいいんですよねえ。かわいいとかわいいの掛け合わせで、無限にかわいい。ああ、かわいい。

北欧と猫、といえば昨年に観たノルウェー映画『ヒューマン・ポジション』は北欧の部屋と猫を堪能できる映画でした。フィヨルドをのぞむ港町を舞台に、主人公とパートナーの日常や気持ちの変化が静かに描かれていくのですが、一緒に暮らす子猫も登場するのです。

北欧らしい淡い色の壁の前で、座り心地の良さそうな椅子の上で、そして窓辺で。くつろぐ子猫の愛らしいこと。人間が自分の立場や居場所に悩んだり、どこか遠くへ思いを馳せているそばで、子猫は我関せず、勝手きままに居場所を見つけてはご機嫌に過ごしていて、猫は居心地のいい場所を見つける天才だなと感じ入りました。そして、わが家でものびのびと気に入った場所をみつけて暮らしてほしいと改めて思ったものです。

仕事部屋の本棚の上もホタテの定位置。仕事をしていると、ここからじーっと見つめられていることがあります。棚の上に置いているのはフィンランドで買った郵便用ボックスです。資料や書類入れにしているのですが、この上で寝るのがお気に入りのご様子。ホタテは箱で爪とぎをするのが好きで、この箱でもときどきやられています。最初は「わあ、せっかくの箱で、やめてやめて」と慌てましたが、すっかりホタテのベッドとなったいまでは、管理はおまかせしています。
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