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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.40
プロフィール
風通しのいいキッチン
年末が近づいてきましたね!ついこの間、始まったばかりと思った一年がもう終わってしまう……気持ちが焦る季節ですが、「今年も一年おつかれさまでした」と友人たちと食卓を囲んで乾杯したい時期でもあります。 わが家でもひさしぶりに友人たちとクリスマスパーティや忘年会をしようと計画が持ち上がっています。自宅でおもてなしというと、準備が大変。掃除もしなくちゃ、何を作ろう、買い出しはどうする……と考えているうちに、楽しみというよりも気が重い……そんな気持ちになること、ありますよね。ただでさえ気忙しくなる時期に、家に招いてホスト役なんてできるのだろうか、と。とくにここ数年は人を招く機会が減っていたので「何から準備するんだったっけ? どれくらい準備したらいいんだっけ?」とすぐに頭がまわらず、腰が重くなっていた気がします。 さてそんな時に意識するのは、キッチンの風通しをよくしておくこと。そのイメージは、いつもホームパーティをしてくれるデンマークの友人からヒントをもらいました。友人宅のキッチンは、見た目や使い勝手がいいのはもちろん、家族でも客人でも出入りがしやすく、開かれた場になっているのがいいんですよね。
ダイニングとの仕切りがなく、部屋の角に設えられたL字型キッチンは文字通りオープンな造り。対面には小ぶりのカウンターテーブルがあって、ホームパーティの時にはここに料理がずらりと並べられ、客人が各々とりわける、いわゆるビュッフェスタイルで楽しみます。
器づかいも素敵だし、デンマークの食材が目に新鮮で、みんなが手をつける前に「待って待って」といつも写真を撮らせてもらうのですが「変わり映えのしない同じメニューよ!買ってきたものも多いし、大したことしてないのに」とホストである友人はおどけます。いえいえ、その力の抜けたもてなし具合がいいのですよ。
ニシンのマリネ、ハムやサラミなどのコールドカットと、確かに市販品も並んでいますし、じゃがいものスライスにカット野菜と「切って並べただけ!」のお皿もあるのですが、デンマークのお母さんの味といわれるレヴァポスタイ(レバーペースト)や、白身魚のフライなどメインの一品はいつもお手製。
飲み物はダイニングテーブルにワインやノンアルコールが数本、ボトルで用意され、こちらも「セルフサービスでどうぞ!」のスタイル。そう言いながら、友人はボトルを持って空いたグラスにおかわりをすすめて、みんなとおしゃべりも楽しんでいます。
お皿やグラスを片付けたり、足りなくなった野菜やコールドカットを冷蔵庫から取り出すのは、家族や友人各々が気づいて手助けをしています。ホストひとりが準備や片付けに集中しすぎず、誰もがキッチンに向かう流れができているのです。だから私もホスト役の友人と、旅の話や会えなかった時間のこと、デンマークの習わしについて、あれこれ聞いたりおしゃべりを心置きなく楽しめて、それがとても嬉しいのです。
自分の家でのホームパーティにまだ慣れていなかった頃は、準備に気合いを入れ、当日はお皿やグラス、料理を出したり片付けたりに精一杯で、友人たちが帰った後に「……ああ、ぜんぜんみんなとおしゃべりできなかった」「ひさしぶりに会ったのに、気持ちに余裕がなさすぎた」「パーティをやっても、疲れるばっかり!」と落ち込むこともありました。友人たちは「手伝おうか?」と言ってくれたのに、「だいじょーぶ、だいじょーぶ」とキッチンに入るのを拒んでしまったこともありました。
デンマークのもてなしに影響を受けて、いまではすっかり「料理はこれだけ作って、あとは適当に(買うか、もってきてもらうか)!」「切り分け、取り分けは各々やってもらおう」と肝がすわりました。そうしたペースを友人たちもわかってくれて「キッチン、入るね~」「これ洗っとくね~」とほいほいとキッチンに入って、手伝ってくれるのもありがたく、こうなってくるとホームパーティへの気負いが、ぐっと減るんですよね。「いろいろと至らないことがあっても、何より大事なのは友人と会って、時間を楽しむこと」。ホームパーティが億劫になりがちな時はこの考えを思い出します。
そうそう、わが家で台所のリノベーションをする時に、壁の一面に憧れのスウェーデンの壁紙を貼りました。カラフルな柄に惹かれて、「わあ素敵ね、キッチン見せて~」とのぞいてくる友人もいます。風通しのいい台所にひと役、買ってくれましたね。
わが家のパーティで定番メニューとなっている、手軽に作れる北欧料理のレシピはこちらでもご紹介しています。失敗知らずの簡単さで、とても喜ばれるので、おすすめですよ!
「ヤンソンの誘惑」のレシピはこちら
「サーモンのスープ」のレシピはこちら
忙しくなるこの時期こそ、「これでいいんだ!」を思い出しつつ、乗り切っていければいいですよね。みなさまも、どうぞよい年末年始をお過ごしください。
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