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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.39

プロフィール
森 百合子mori yuriko
北欧5ヶ国で取材を重ね、旅や暮らし、デザインの情報を中心に発信。著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに“ちょうどいい”旅の作り方』(ダイヤモンド・ビッグ社)ほか。執筆活動に加えて、NHK Eテレ『趣味どきっ!』、NHK 総合『世界はほしいモノにあふれてる』などメディア出演や講演を通じて北欧の魅力を伝えている。

バック・トゥ・ヒュッゲ

暑さがやっとひと段落して、秋がやってきましたね。朝、起きた時に体を包むのが熱気ではなく、爽やかな空気へと変わって、ほっとしています。 コロナ禍になる前の年のこと。8月の終わりにデンマークを旅していたのですが、ふと立ち寄ったデパートで見つけた言葉が「バック・トゥ・ヒュッゲ」。北欧では、8月の終わりはもう秋、そして新学期が始まるタイミングでもあります。長い長い夏休みが終わって学校へと戻る時期で、デパートやショップでは新学期に備えて「バック・トゥ・スクール」と掲げたセールをやっていたのですが、そのヒュッゲ版なんですね。売り場には、あたたかそうなブランケットや、落ち着いた色合いの食器が並んだ「ヒュッゲ」コーナーが作られていました。


その年はデンマークでも8月の終わりまでずっと暑い日がつづいて、連日泳いだりと最後の夏の日々を楽しんでいたのですが、毎日のようにたっぷりと日差しを浴びて疲れた体に「バック・トゥ・ヒュッゲ」の言葉がすーっとしみました。ああ、旅も楽しいけれどそろそろヒュッゲに帰る時間……それもいいなあ、と。海へ出かけたり旅に出たり、気持ちが外へ向かう夏から、いつもの日常へ。暑くて家のことは何もやる気の出なかった夏から、ヒュッゲの時間へ。


ということで、夏が終わって暑さが収まる頃になると「バック・トゥ・ヒュッゲ」の言葉が頭によみがえってきて、部屋の見直しをするようになりました。今年はまず食器棚のなかを見直して、よく使う器や、もっと使いたい器を取り出しやすいように配置換え。それからテーブルクロスやカーテンも、ひさしぶりに棚からすべて取り出してチェック。ここ最近ずっと、ぎゅう詰めにしすぎて扉がぴったり閉まらなくなっていたんですよね……。ぜんぶ取り出して、秋色のテーブルクロスやカーテンを選び、気づけばちょっと増えすぎていたなあ……と数をすこし減らすことに。

リビングや仕事場にあふれていた本も整理しようと、必要なもの、手放すもの、すぐ手に取れる場所に置くものと仕分けしました。背表紙を見ただけで元気の出るお気に入りの本が、棚にずらりと並ぶ様を見てニヤニヤしたり。こうして片付けをしているとまだまだ汗ばむ陽気ですが、部屋を整えよう、居心地よくしようと、やる気が戻ってきたのが嬉しいのです。


今年も8月の終わりから9月にかけて、フィンランドとデンマークを旅してきたのですが、蚤の市で見つけた食器や布も洗って手入れして、棚に収めました。じつは5月の終わりにも初めてノルウェー西部を訪れて、陶芸で有名な町を訪れてきたのですが、その旅で見つけたものの夏の間はほったらかしておいた食器も改めて整理してすっきり!夏の前からためこんでいた宿題をやっと終えた気分です。


8月のデンマークでは、母のように慕う友人宅で、ヒュッゲな時間を過ごしてきました。朝食にもテーブルクロスを敷いて、食卓には素敵な食器の数々が。何度も目にしている風景ですが、「この夏は忙しくて家のことは後回しだったのよ。あなた方が来るからひさしぶりにゆっくり朝ごはんを食べてるわ。あ〜こういう時間が必要なのよね」と友人。

そうかあ、インテリアの師匠と仰ぐ友人ですが、あなたもそんな風に思うことがあるんですね。そうですよね。いろいろと後回しになってしまう時、ありますよね。


帰国してわが家でも早速、まねしてテーブルクロスを敷いてみました。朝食も、夏の間はフライパンを使いたくない〜とアボカドのオープンサンドばかり食べていたのですが、ひさしぶりにオムレツを作りました。どのお皿に入れようか、コーヒーカップはどれにしようかと選んでセッティング。あ〜こういう時間って必要です!


おまけの一枚。器を取り出し、ガラス戸も磨いて食器棚の大掃除をしていたところへ、様子を嗅ぎつけ登場したホタテさん。棚の空いたスペースに入ろうとしていました。だいぶ涼しくなってきたから、ひんやりするガラス棚よりソファの方がおすすめですよと、そこは遠慮してもらいました。

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