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森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.38

プロフィール
森 百合子mori yuriko
北欧5ヶ国で取材を重ね、旅や暮らし、デザインの情報を中心に発信。著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに“ちょうどいい”旅の作り方』(ダイヤモンド・ビッグ社)ほか。執筆活動に加えて、NHK Eテレ『趣味どきっ!』、NHK 総合『世界はほしいモノにあふれてる』などメディア出演や講演を通じて北欧の魅力を伝えている。

夏こそ、いとをかし

今年も「暑い」以外の言葉がでてこない夏がやってきましたね。これだけ暑く、過ごすのが厳しくなっても、夏がやってくるのを楽しみにしている自分もいます。子どもの頃から泳ぎにいくのが大好きで、日焼けは勲章。そんな気分がまだ、どこかにあるんです。 夏が来るのを楽しみにしているといえば、北欧の人々でしょう。夏至を境に日が長くなっていき、海水浴ができるくらいまで気温もあがる北欧の夏。長い休みを取ってゆっくりと夏のコテージで過ごす人、屋外で食事やバーベキューを楽しむ人、町中の公園で日光浴を楽しむ人。子どもだけでなく、大人もうきうきと夏を楽しんでいるのが伝わってきます。


私のはじめての北欧旅行は7月でした。市場にはいちごの屋台が並び(北欧では夏がいちごの旬なのです)、いつまでも沈まない太陽とともに夜更けまで屋外で飲んだり食べたりワイワイと過ごす人々のエネルギーに驚きました。繰り返し北欧を旅をするようになって「そりゃ、あれだけ冬の暗い時期が長かったら、日差しがまぶしい夏に恋い焦がれるのも無理はない!」と、気持ちがわかるようにもなりました。

もちろん北欧でも気候変動の影響で夏は以前よりも暑くなり、山で火災が起きたり、日差しの強さによる健康被害も心配されるようになりました。それでもやはり、彼らにとって夏は特別。「いよいよ夏がやって来る!」と待ち望む気持ちは変わらないようです。


さて記録的な暑さが続く日本。不要不急の外出は控えるようにと日々言われ、必要最小限の動きだけで家でじっとしてるのがいいのではないかと、気持ちまでぐったりしてしまいますよね。どこか避暑地に逃げられればいいけれど、そうもいかない。家で、職場で、静かにこの暑さをやり過ごす……いや、でもやっぱりなんとか前向きに夏を楽しめないものか、と最近やっているのが「夏のいとをかし」探しです。そう、枕草子のいとをかし。暑さとだるさの隙間にひそんでいる、この時期ならではの「いとをかし」や「あはれなるもの」探し。ちょうど巷では、枕草子や清少納言が再注目されていますしね。


わが家の夏のいとをかし、筆頭はガラスの器です。朝、ヨーグルトを食べる時も、花を活ける時も、手が伸びるのはガラスもの。フィンランドで手に入れたガラスの器はいつ見ても美しいのですが、透けて見える涼しげなたたずまいに、心動かされるのは夏。棚の中でも取り出しやすい場所に移動させたり、目につく場所に置いて愛でています。


そして夏は洗濯。じゃんじゃん洗って、じゃんじゃん乾く。なんと気持ちいいことでしょう。とくにリネンや薄手の木綿など夏向きの生地が、ぱりっと洗い上がったさまの気持ちよいことよ。シーツや布団カバー、マットなどの大物もあっという間にカラリと乾かしてくれる夏の暑さよ。寝坊して、たとえ干すのが昼過ぎになっても余裕であっさり乾いてくれる、この頼もしい暑さよ。


きゅうりやトウモロコシなど夏野菜のおいしさ、ありがたみを感じるのも、いまの時期ならでは。普段はザ・脇役、「ほとんど水でできている」のきゅうりが食卓の真ん中で堂々の存在感を放ちます。たたいてよし、そのままかぶりついてよし。たくさん作った、たたききゅうりを「今日はどの器に入れようか」と楽しむのも乙なもの(小松菜と和えてもおいしかったです)。


そうそう北欧では夏にかけて新鮮なさやえんどう豆が出回ります。「これぞ夏の味」と友人の家でも、みんなでむさぼるように食べていたのですが、あの勢いで、私も夏を楽しみたいものです。

さてみなさんの「夏のいとをかし」は、なんでしょうか?

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