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現役大学生に聞いてみた! ぼく・わたしが、フィルムカメラに惹かれる理由。

フィルムカメラブームが、若い世代で再燃中! デジタルネイティブの彼らが、いまフィルムカメラに心を奪われる理由とは・・・? 今回は、「日本学生写真部連盟」にご所属の学生お二人に、フィルムカメラの魅力を語っていただきました。
日本学生写真部連盟とは?

大学写真部(同好会・サークル含む)の部活動の活性化と大学間の交流を目的とする団体。 現在、北海道/首都圏/近畿/北陸/中国・四国/九州から約50校の大学写真部が加盟しています。 定期的にプロ写真家を講師に招いての撮影会や合宿を企画・開催し、写真をより実践的に楽しむ場を提供します。 2021年より松屋銀座「世界の中古カメラ市」会場内で、所属学生の日ごろの活動成果を披露する展覧会を行っており、今年9月の中古カメラ市では今夏に行った志賀高原合宿で撮影した作品展示を企画しています。 ※展示物はデジタルカメラで撮影した作品がメインです。

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開催情報

第50回 世界の中古カメラ市
2月16日(金)-21日(水) 8階イベントスクエア(最終日午後5時閉場) 初日の入場方法など、詳しくはこちらをご確認ください。
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松屋の若手社員がゆく!カメラ屋さんに聞いた、フィルムカメラの選び方。

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「はじめてのカメラ選び、確認してほしいのは「最短撮影距離」!」

 

Sさん:私たちスマホ世代はスマホのカメラに慣れているので、被写体に寄って撮影できるのが当たり前、という感覚があるんですよね。そこで、カメラを選ぶときにぜひチェックしてほしいのが、「最短撮影距離」です!レンズから被写体までの、最短で撮影できる距離のことなんですけど。その距離より近づいてしまうと、ピントが合わずボケてしまうんです。普段スマホで撮っているみたいに、隣にいる友達やカフェで食べたものなど近くを撮影するところから始めたい方は、最短撮影距離が近いものを選ぶのが絶対おすすめです!

「フィルムカメラ初心者にありがちなミスと、その予防策とは…?」

Yくん:最初に買ったこのカメラ(ニコン New FM2/T)は80年代に製造された古いモデルなので、ネットにも使い方をレクチャーしてくれるような動画が上がっていなくて。カメラ屋さんで取り扱い説明書を入手して自力で頑張りましたが、フィルムの入れ方を失敗して…。父の故郷の淡路島へ行って、フィルム1本36枚分を張り切って撮ったんですけど、現像したら1枚も撮れていなかった…ということがありました。悲しかったですね。

Sさん:わたしもフィルムカメラを始めて最初の半年くらいは、フィルムの入れ方とか出し方が分からなくて。フィルム3〜4本と現像代、どっちも無駄にしちゃいました。5000円分くらい…。

Yくん:扱い方が分からずフィルムをダメにしちゃうパターンは、初心者あるあるですよね。あとやっぱり説明は、動画を見たり、実際に人に教えてもらったりするのが一番分かりやすいなぁと。 ……で、そんなカメラ初心者の悩みに気軽に答えてくれるカメラ屋さんが集まる「世界の中古カメラ市」っていうイベントが、9月1日から松屋銀座で開催されるみたいで…。

Sさん:(笑)。いろんなカメラがずらっと出品されるイベントだね!カメラを見に行くついでに、分からないことをカメラ市に来ているお店の人に相談したらいいと思います!私たちみたいにフィルムを無駄にしないように…。

Yくん:そうですね!カメラ初心者の方にこそ、ぜひ気軽に足を運んでみてほしいですね。

Sさん:残念だけど、フィルムカメラ業界は縮小し続けていて、あと何年、この技術に触れられるか分からない。フィルムの文化がどんどん過去のものになっていく中で、あえてそこに手を伸ばしてみるのが、ロマンなのかなって思います。少しでも興味があれば、ぜひ一歩踏み出してみてほしいです!

 

先輩・後輩のお二人。それぞれのカメラ・ストーリーを伺いました。

先輩のSさん

 

Sさん:わたしは、父がカメラ関係の仕事をしていたり、自分自身も写真の被写体として活動していたりと、カメラとの接点はもともとありました。初めて自分のためのカメラを買ったのは、大学1年のとき。旅先へ向かう夜行バスの待ち時間に、近くの電気屋さんでデジカメを衝動買いしたんです。そのあと、カメラ好きの友人たちに影響されて、だんだんフィルムカメラにも興味を持つようになり…沼にハマって現在に至ります(笑)。

後輩のYくん

 

Yくん:ぼくは、高校2年の冬にカメラを始めたんですけど。何か趣味がほしいなと思っていたときに、カメラはどうだろうと思って。でも、デジカメって高いんですよね。そんな中、フィルムカメラがデジカメよりだいぶ安く入手できることを知って。勢いにまかせてフリマアプリで買ったのが、この緑のカメラ(ニコン New FM2/T)です。元は黒いボディーでしたが、緑色の革を自分で張り替えてカスタムしました。緑に変えたので、よくニコンZ fcっていうデジカメと間違えられるんですけど。

 

Yくんの相棒、ニコン New FM2/T

 

Sさん:可愛い〜!カメラは見た目も大事だもんね。

 

Yくん:そうなんです。ぼく、カメラって実は見た目が一番大事なんじゃないかと思っていて。結局、写真って、カメラを外に持ち出さないことには撮れないので。初心者の方はとくに、自分が持ち歩きたくなる色や形のカメラを選ぶのが一番だと思います。ぼくみたいに自分で変えちゃうのもおすすめです。

 

Sさんがカメラ初心者に推す、コダック EKTAR H35

 

Sさん:わたしが今日持ってきたのは、これからフィルムカメラを始める人におすすめしたい1台。コダックのハーフカメラ(EKTAR H35)です。ハーフカメラって、普通のフィルムカメラの倍の枚数が撮れるので、フィルム1本撮り終えるのに、けっこう時間がかかるんですよ。だから現像に出したときに、「わぁ〜そういえばこんな写真撮った!!」みたいな感覚に浸れるのが楽しくて。それもフィルムカメラの良さだなって思うので、まずこのカメラで体験してみてほしいですね。見た目も可愛いし、軽くて持ち運びしやすいので、わたし自身も一番使っているカメラです。日常記録用って感じでガシガシ使っています。

 

Yくん:お気に入りのカメラを3台持ってきましたが、一番愛着があってメインで使っているのは、やっぱり最初に買ったこの緑のカメラですね。カメラのファインダーを覗いたときに、そのカメラのレンズによって、写せる画角(写真に収まる範囲)が決まってるんですけど。僕はこの画角を見すぎているせいか、普通に生きていても、目の前の景色が、どこまで画角に収まるかが見えるんですよ(笑)だから、その画角にぴったりの構図を見つけたら、このカメラをサッと取り出して、シャッターを切ります。突然訪れるシャッターチャンスに備えて、このカメラは常に持ち歩いています。

 

Sさん:今日は持ってきてないんですけど、自分の中で一番好みの写真が撮れるのは、「PENTAX SL」という一眼レフカメラです。この写真とかも、全部これで撮っていて。くっきりとキレイに撮れて、繊細な雰囲気に仕上がるんですね。すごく大切にしていて、本当に気に入った瞬間しか撮らないようにしているカメラです。

 

 

Sさん:一眼レフカメラで撮った写真は現像する場所にもこだわっていて、広島の専門店まで送って現像してもらっています。フィルムの現像を専門にしているお店だと、仕上がりの色味を指定できるんですよ。この写真は、青みが強くて、淡い仕上がりにしてもらいました。

 

Sさん:この浮き輪の写真は、フィルムカメラを始めて最初に撮った一枚です。どの方向から光が差して、どんな風に影が落ちているのか。その上で、どの角度が一番綺麗に見えるのか。そして何より、自分が忘れたくない瞬間はいつなのか?…ということを考えながらいつも撮っています。

 

Yくん:フィルムカメラで思い通りの写真が撮れるようになるまで、時間はかかりましたか?

 

Sさん:最初に買ったコンパクトフィルムカメラは、被写体からの距離を自分で設定するカメラで…。そのカメラはちょっと苦手で使わなくなってしまったんですけれど。次に買った「オリンパス EE3」からは、本当になんとなく撮っても、現像するといつも良い感じに仕上がっていて…。だから思うように撮れなくて苦労したという経験は、あんまりないですね。デジカメってレタッチとかを勉強しないと、どうしてもプロの方に近いような写真って撮れないんですけど。フィルムカメラって正直、フィルムを正しくセットできたら、あとは構図さえ考えられれば、わりと簡単に良い感じに撮れる…と思っていて。

 

Yくん:それは、S先輩のセンスが素晴らしいからではないですか?

 

Sさん:わたしの友達とかも、みんなキレイに撮れてるよ〜!「これフィルムで撮ったんだけど、良い感じじゃなーい?」って、画像を送ってきてくれたりするし。フィルムカメラって、自分の心が動かされた瞬間にシャッターを切るだけで、いつも良い感じに仕上げてくれる。色もキレイに出るし…。だから、楽!って思う。デジカメはまだ修行中です…。

「フィルムカメラで撮ると、その瞬間が思い出になる。」

 

Sさん:Yくんは、なんでデジカメよりフィルムカメラ派なの?

 

Yくん:思い出というか…その瞬間を忘れたくない。忘れないための媒体として、フィルムカメラを使っているんだと思います。思い出は、デジタルよりも、フィルムで撮ったほうが残せる。それが今日一番話したかったことで。

 

Sさん:記録するだけなら、デジカメでもよくない?フィルムの方が、エモい雰囲気に仕上がるからってこと?

 

Yくん:うーーん。難しいんですけれど。確かに、フィルムカメラは「エモい」写真が撮れます。でも、単純にエモさだけを求めるなら、デジカメやスマホで撮った写真でも、加工や編集さえすればとりあえずフィルム風のエモさは作れますし。なので、フィルムのエモさだけが、思い出につながると思っているわけではなくて…。たとえば、ぼくの使っているこのカメラ(ニコン New FM2/T)は、1回シャッターを押すまでに、フォーカスとか、F値、シャッタースピード、ISO感度、そういった機能を自分で合わせるんですよ。機能を一つひとつ的確なものに合わせて、その瞬間を切り取るまでの工程が、記憶の補助につながっていると思っていて。デジカメは速く大量に撮れる分、写真一つひとつへの思い入れが薄くなってしまう気がしていて…。たくさん撮れたとしても、撮ったときのその瞬間を覚えていることは少ないんじゃないかなと思っていて。…でも、デジカメが嫌いなわけではないですよ。デジタルの進歩によって量を簡単に担保できる時代だからこそ、フィルムのこの希少性に価値が生まれていると思っているので。

 

 

Yくん:この写真は、昨年の秋…カメラを始めて11カ月くらいのときに、江ノ島で撮影しました。初めてポートレートの機会をいただけたときの作品なんですけど。モデルさんに自信をもってお送りできる写真をちゃんと撮れるのか、不安もありましたが…現像したときにこの写真を見て、とても感動したことを今でも覚えています。この写真は、被写体の表情が見えないところが良いと思っていて。作りこんだ写真だと、どうしても被写体の演技感みたいなものが垣間見えてしまうこともあるのですが。この写真は影になっていることもあって、モデルさんの表情が見えないんです。モデルさんからしてみれば、表情が写っていない写真はあまり好まれないのですが…自分の中では一番気に入っている写真です。

「フィルムカメラは、撮る前も撮ったあとも、ずっとワクワクできる。」

 

Yくん:フィルムカメラの最大の魅力って、ワクワクできる時間が長いことだと思っています。撮影する日の一週間前から、天気予報を調べて、撮影日の天気に合わせたフィルム選びから始めて。撮影当日も、シャッターを押す前に、ピントを合わせて、F値を合わせて、シャッタースピードを合わせて。撮影が終わったら、シャッターを押した瞬間を振り返って、あの写真は良かった、あっちの写真は悪かったかな、とか考える時間もあって。けどデジカメみたいにその場ですぐ確認することはできなくて…。そのあと現像に出して、一週間待ったりとか…僕は関西の専門店に郵送で依頼しているので。そんな感じで、撮影する前から現像されるまで、ずーっとワクワクしてるんです。自家現像っていって自分で現像する場合でも、まずは現像液につけて、次は像を定着させるための定着液につけて、水切り剤というものをつけて、洗って。それでやっと像が見えて完成するんですよ。その作業の多さが、楽しさにつながると思っています。

 

Sさん:わたしは…カメラは、純粋に楽しいです!カメラをやっている人って、朝起きて天気が良かったり、外に出て木漏れ日がキレイだったり、水面に光が反射しているのを見つけるだけで、めっちゃテンション上がるんですよ!日常の小さなことに幸せを見つけられるようになったというか…。カメラを始めてから、見える世界がすごく変わりました。とくにフィルムはそうですね。わたしは曇りの日の撮影がまだあまり得意じゃなくて。光が差しているところで写真を撮るのが好きなので…だから天気が良いと、ただそれだけで幸せになれます!(笑)

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