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カルチャー/リビング・ホビー

森さんちに、おじゃましました “北欧” 経由、暮らしを楽しむ「これでいいんだ!」のアイデアvol.4

プロフィール
森 百合子mori yuriko
北欧5ヶ国で取材を重ね、旅や暮らし、デザインの情報を中心に発信。著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社)、『いろはに北欧 わたしに”ちょうどいい”旅の作り方』(ダイヤモンド・ビッグ社)ほか。執筆活動に加えて、NHK Eテレ『趣味どきっ!』、NHK 総合『世界はほしいモノにあふれてる』などメディア出演や講演を通じて北欧の魅力を伝えている。

部屋に花を飾るのが楽しくなったきっかけは
みなさんは部屋に花をよく飾りますか?私は花のある暮らしっていいなあと思いつつ、以前はそれほど積極的に花を飾ることはしていませんでした。どう飾ったら様になるのかが、よくわからなかったのです。もちろん、花はあるだけで素敵なもの。でもせっかく飾るのならセンスよくアレンジしたいですよね。今回は花をいけるのが楽しくなるようなエピソードをお届けしたいと思います。 もう10年近く前になりますが、取材で駐日フィンランド大使の公邸におじゃましたことがありました。取材では大使夫人にフィンランドのコーヒータイムや、コーヒーにあうお菓子のレシピを教えていただいたのですが、目を奪われたのはテーブルコーディネートでの花の飾り方でした。フィンランドの人気陶器メーカー、アラビアの有名なパラティッシという柄のミルクピッチャーに、柄と同じ配色で花がいけてあったのです。
パラティッシの黄色と青に合わせて、黄色のオンシジウムに青いリンドウをほんの少し組み合わせたアレンジの洒落ていたこと!素朴な花でも、花器と組み合わせることでこんなに印象的なアレンジになることに驚きました。また一緒に置かれたガラスの器も青で揃えてあり、素敵なインテリアってこうした細やかな気配りの積み重ねで作られるのだな、と感じました。でもその時はコーディネートが素敵すぎて、自分にはとても真似できないと思っていました。 自分には無理と思っていた気持ちが変わったのは、憧れていた花器を手に入れた時でした。それはフィンランドの建築家アルヴァ・アールトがデザインした通称アールト・ベースと呼ばれる花器で、その年の限定カラーとして販売されていた淡いピンク色が気に入って、ついに手に入れたのでした。花器がひきたつように花をいけたい……そう思った時に大使夫人のアイデアが頭によみがえってきたのです。それで花器と同じ淡いピンクの花を選んでいけてみました。
それ以来、花をいけるのががぜん面白くなり、楽しめるようになりました。北欧での旅の途中でも、友人宅やショップ、カフェなどでどんな風に花をいけているかを気にして見るようになりました。北欧では花はインテリアの必須アイテムといってよいほど、誰もが気軽に花を飾っています。とくに友人を招いたり家族で集うことの多い週末に向けてブーケを買う人は多く、スウェーデンでは「金曜日の花束」と名付けられたブーケが売られるそう。またデンマークには心地よい時間を表す「ヒュッゲ」という言葉がありますが、ヒュッゲには花がかかせないと言う人も。そして寒い冬も生の花や植物をかかしません。冬の間、外は暗く緑がなくなり、真っ昼間に出かけても薄曇りのグレーの景色に包まれます。だからこそなおさら家のなかにはみずみずしいグリーンや花をかかさないのだと思います。
いまわが家で活躍している花器はこの4つ。どれも北欧のデザインです。左から2つめはデンマークの家庭で親しまれているケーラーの花器。この型は他に白や水色もあり迷ったのですが、自分が淡いベージュやピンク~パープル系の花を好むことがわかり、合わせやすいように淡いピンクを選びました。右の2つはビンテージで、一番右はじつはアイスペールなのですが、ブルーや寒色系の花がよく合います。
花器に合わせることを意識すれば花を選びやすくなりますし、素朴な花でも楽しくアレンジできます。どんな花器を買ったらいいか迷っている方は、自分の好きな花の色を思い浮かべながら選んでみてはいかがでしょう?花を買うのに慣れていない方は、スウェーデンの人々を真似て金曜日をブーケの日にしてみるもいいかもしれませんね。週末のおうち時間がちょっと楽しみになりそうです。
最後にもうひとつ、大使夫人から学んだ素敵な花の飾り方をご紹介しますね。底が浅めのアールトデザインの器に、青いリンドウと白のバラを飾っていらしたんです。青と白といえば、フィンランドの国旗色。う~ん、なんて心憎い演出でしょうか!水色の器は花の色とよく合っていますし、フィンランドの湖も思わせます。こうやってテーマを決めてそれに合わせた色で花を選ぶのも、また花とのつきあいが楽しくなりそうでいいですよね!
さてお知らせです。3月上旬に新刊『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(パイ インターナショナル)が発売されます。北欧の心地よい住まいに共通する基本の部分”ベーシック”を分析し、わが家(森さんち)でどのように取り入れているかを紹介する一冊です。ベーシックがわかれば日本の古い家でも、新しいマンションでも北欧インテリアが楽しめる!そんな内容になっています。ぜひ手にとっていただけたら嬉しいです!
vol.3「壁を飾るアイデア」はこちら
暮らしに花を取り入れる“お手伝い”

松屋銀座でお手伝いができそうなショップをご紹介いたします。

7階スキャンデックス
ケーラーやレ・クリントなど、デザインと機能性に優れ、ギフトにも最適な北欧ブランドの 生活雑貨、インテリアアイテムがそろいます。
※スキャンデックスは2022年2月1日(火)をもちまして閉店いたしました。
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