その他
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世界とつながる松屋銀座×高知県の組子

今回の松屋の大きな地方創生プロジェクトは、高知県の伝統工芸である組子とのコラボレーション。活動を開始してまだ5年というフレッシュな『土佐組子』と一緒に、いままでにない“日本のバレンタイン”の世界を生み出しました。
組子の技術が生み出す光と影。松屋らしいバレンタインのかたちとは

組子といえば多くの人が、緻密で、小ぶりなものというイメージを抱くと思います。でも、松屋がオーダーしたのは2mにも及ぶ、これまでにないほど大きなオブジェ。大きな組子のプレート、というだけでも美しいのに、それを重ねて、さらに動かすという大胆な仕掛け。この前代未聞のアイデアを具現化したのが、高知県に工房を構える『土佐組子』の岩本さんです。



松屋では、「地方とともに」という信念をより濃く、強くするため、随所に“地方創生”のキーワードを取り入れています。お客様へは、商品を通じて、またはショーウィンドウから、数々の地方の魅力を発信してきました。2021年の幕開けにお届けした徳島県の藍染暖簾は、記憶に新しいところだと思います。今回、組子とともにプロジェクトを進めることになったのも松屋が『土佐組子』のもつ新進気鋭な精神と匠の技に惚れ込み、この感動を多くの人に伝えたい、と強く感じたからです。



“組子”とは、細い木片を組み合わせて幾何学的な紋様を生み出す、木工の伝統技法のことです。もともとは、日本家屋の障子や欄間などの建具に用いられる技法。しかし今、日本家屋が減り、和室が減り、その流れに重なるようにして組子の需要も激減しています。
そんな現状を打開しようと立ち上がったのが、『土佐組子』の岩本さん。34歳という若き代表が、ほとんどの工程を自身で手掛けています。松屋が彼に大きな魅力を感じたのは、“垣根を感じさせない視点”を持っているところです。木工屋の息子として育ち、建築業界で学びながらも、起業後は「建具にこだわらない」という確固たる信念をもつ人。実際、彼が手掛けたワインボトルを収納できる『ギミックボックス』などのプロダクツには、伝統美を残しつつも古さは感じさせない、従来の組子とは違う革新的なちからが宿っているように感じます。



松屋銀座のバレンタインの世界観の表現として、クリエイティブディレクターの佐藤卓さんが出したアイデアは“万華鏡”。岩本さんは、最初から予感していたかのように、すとんと受け入れました。
「自分がやろうとしていたこととシンクロしたのです。模様を重ねて、動かすことで表情が変わる美しさは、障子をヒントに私も注目していた点。さらに伝えたいのは、それらが作り出す影です。組子の美しさのキーワードこそが“光と影”だったので、佐藤さんがイメージされた万華鏡の世界観に組子の美しさがぴったりと当てはまりました。」(岩本さん)

初挑戦にこそチャンスがある。松屋との取り組みで気付かされたこと

これまでの組子の世界は障子や欄間など、なにかの一部を構成するものか、その緻密さをうりにした小さなアイテムが中心でした。でも、今回松屋がオーダーしたのは、ウインドウを華やかに飾る大きなオブジェです。「いつも通りのやり方では、きっと実現にはほど遠かったと思います。」と、岩本さんは振り返ります。



「最初はやはり、とまどいがありました。組子の世界観を変えたいと思いながらも、どこかで“組子とは、こういうもの”という意識が拭いきれていなかった。大きなものを作ってしまったら、“それは組子ではない”“組子でなくてもできるんじゃないか”と思われてしまうかもしれない、という葛藤も。大きな作品を作るには、扱う部材も当然大きなものになります。たとえば、通常なら3mmサイズのものを20mmで作る。じゃあ、ほかも同様に7倍くらい大きくすればいいのか、といえば、答えはNO。組子はさまざまなパーツを組み合わせていくもので、バランスがすべて。組子ならではの繊細さを表現するには、ただ大きくするだけではいけません。いざ、手掛けてみると思うように進められず、とても難しかったですね。組子を手掛けてきたなかで、初挑戦のバランスでした。松屋さんとの取り組みがなかったら、この感覚は養えていなかったでしょう。」(岩本さん)



新しいなにかを生み出す時には、いったんそれまでの考えを下ろしてみること、その勇気をもつことが大切です。前を向いて進みながらも、周囲を見回して歩みをゆっくりにしたり、道を変えてみたり、進み方を考え直してみたり。松屋と地方との取り組みには、いつだってそんなふうに、お互いに新しい発見があるのです。

“越えて、魅せる”。そのパワフルさが新たな伝統を生み、つながれていく

組子という存在が生み出す“光と影の空間美”。万華鏡というアイデアを出してくれた佐藤さんと、そのイメージを伝統技術で見事にかたちにした『土佐組子』と、つなぎ役として、そして世界中に素晴らしさを伝える役としての松屋。それぞれが、いろいろな垣根を越えて実現できた“日本のバレンタイン”です。

 

ひとつのちからより、つないだちからのほうが濃くて、強い。
バレンタインという異国の文化を日本らしく表現することで、こんなにも新しい世界を見つけられました。まだまだ知られていない日本の文化や魅力が、全国で脈々と受け継がれています。そんな日本のよさを、松屋銀座は新しいかたちで全国、世界へ発信していきます。


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