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MATSUYA GINZAが銀座の地域一番店になって3年目の2005年。その地位をさらに盤石なものにすべく、百貨店の顔ともいえる1階フロアのリニューアルを行った。特に化粧品売場の全面リニューアルは、実に20年ぶりのこと。その大プロジェクトを仕掛け、奔走し、怒涛のごとくやり遂げた3人に、表には出ないであろう舞台裏を聞いた。


 
 

どのように1階フロアリニューアル計画が始まったのですか?
武田: まず動き始めたのは2004年の春でしたね。自分でもそろそろかな、と見込んでいたところ、課長から『考えておくように』と話がありました。それから面積割りやショップ編成の図面は、もう何十パターン書いたか…。同時に『どういう売場を作りたいか』の構想も煮詰めていって。

井上: 現在の百貨店において、化粧品は売上が大きいだけでなく、集客力、話題性を持った注目アイテムなんです。ですから、リニューアルに当たっては化粧品売場の拡大と強化がまず頭にありました。次にゾーニング(※1)として四丁目側と京橋側、どちらの方向に化粧品売場を伸ばすか、という問題。以前は正面口と呼んでいる四丁目側からのご入店者数が圧倒的に多かったけれど、2004年の12月にシャネルが正面に建ってからお客様の動きが大きく変わり、京橋口と正面口とのご入店者数がほぼ半々にまでなっていました。

坂尻: 京橋口にはルイ・ヴィトンがあって、向かいにシャネル。その横はカルティエですし。

武田: さらに2007年には有楽町駅前に丸井もできましたよね。すると入店客数ではいよいよ京橋口の方が四丁目側を上回る可能性がでてきた。そこで化粧品売場を京橋口からすぐ見えるようにゾーニングしたんですよね。

井上: 化粧品売場が広がった、ということが、お客様から見て一目瞭然になるようにした訳です。

坂尻: 元々アクセサリー売場は、京橋側に位置していました。銀座店のゾーニングの基本的な考え方は、館の京橋側はグレードやステータスを、四丁目側はシーズン色やトレンドを打ち出していく、というものです。この基本方針に則り、売場では意識的にプラチナやゴールド、ダイヤモンドなど素材感にこだわった品揃えをしてきました。でもここ数年でお客様のニーズが変化し、アクセサリーを選ぶポイントがステータス感よりむしろ、デザインへとシフトしてきてしまったんです。さらに買い替えのサイクルもファッションと連動して早くなりました。その対応策として吹き抜けの中央ホール(スペース・オブ・ギンザ)で、トレンド性のあるアクセサリーブランドを数社、期間限定で催事を行なったところ、非常にお客様に支持された。だからシーズン性にこだわる四丁目側への移動は、売場にとっても好都合でした。

井上: 器だけキレイになってもお客様は喜んでくださらない。だから他店との差別化や新しい提案の切り口を出すよう、バイヤーのみんなに重ねて伝えたのが、2004年の6月頃でした。
約1ヶ月に及ぶ工事期間中の売場異動図面(通称「日めくり」と呼ばれていた)から、その規模が伺える























GINZA BEAUTY完成後を想定して作られた緻密な模型





バイヤーのお二人はどのようなコンセプトで、
それぞれの売場を構築していらっしゃったのですか?
武田: 私はまず3つのことを意識しました。まず売場にMATSUYA GINZAの独自性…『顔』を持たせる。2つ目が、部分改装を行ってきた結果、お客様通路が乱れていたり、什器が高く見通しが悪かったので『より見やすく買いやすい売場』へ、そして最後に『品揃えも地域1番店』になること、でした。もちろん、お客様の美と健康への意識が高まる中で、広さとブランド数だけじゃなく、『心の中の新しいスペースを満たすもの』も提案しています。

坂尻: 私は百貨店の良さって、OLさんが手の届く範囲の価格帯でなおかつファッション性の高いアクセサリーを提供する事だと思ったんです。

井上: 確かに。銀座という土地柄、周りにはラグジュアリーブランドは山のようにあるから。

坂尻: だからアクセサリー売場のコンセプトは『クリエイターが作るジュエリー』。また、どこの百貨店売場にも欠けている『季節感』を訴求したくて、2週間から3週間のタームで変化するイベントスペースを設けることでした。売場に建つ“柱”の中にもディスプレイスペースを作り、各店イチオシのアクセサリーと季節感を表現する。とにかく常にイキイキと変化のある売場作りを考えました。5〜10万円ぐらいの手が届く範囲の価格帯ではありながらも、しっかりとしたモノづくりをしているジュエリーブランドにも交渉して、入店して頂きました。おかげさまで売上げは大変好調です。

アクセサリー売場にある柱のディスプレイスペースは各店のイチオシをアピールするとともに、季節感の演出という役割も担っている

導入ブランドはどうやって決めるのですか?
井上: 私は主に社内でのリニューアルプランを調整する立場だったけど、お取引様に本格的な話ができたのは今年の4月でした。そこから売場のデザインコンセプトを構築して、会社の決済を経て各ブランドやメーカーさんへの交渉がスタートしたのが、6月。

坂尻: 私はもう見切っちゃって、どうしても入って欲しかったブランドは、実は課長に断りなく去年の冬から交渉してました(笑)ただ、ずっと話を引っ張るのが大変で。「いつ動くの?」と聞かれても具体的な日時を答えられない訳ですから、どう引き付けておくか…。

武田: 新規出店って具体的な時期と、面積の話ができなければ本気にされません。だから詳細はお話できなくとも、松屋がどれだけ先方を必要としているかは話します。ただ噂がすぐ流れる業界ですから、時期も場所も明言はできません。お話の『順序』って大切ですから。

井上:

売上げシェアが高いブランドは発言力も強い。でも今回は松屋に対する取り組み姿勢も加味して順序を整えましたね。どこのお取引先も大変期待してくださったから、松屋でしかできない事や、日本で一番早くそのブランドのコンセプトショップを出店しましょうというような前向きなお話ももらえました。

刻一刻と変化する状況に、連日会議は夜遅くまで続いた

 
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