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連載・ホンモノ

Vol.53 滴生舎

2015年10月14日更新

「japan」という英語が、「漆」という意味を持つというのをご存じだろうか。それだけ、日本的なものである漆器。一説には、漆という言葉は「うるわし」に由来するとも言われ、数ある日本の伝統工芸品の中でも非常に歴史のあるものだ。中でも岩手県二戸市の浄法寺を拠点とする浄法寺塗は、華美な装飾を施さず、普段の暮らしになじむ器で知られている。

多くの時間とたくさんの人の手が凝縮された漆のひとしずく

浄法寺塗の歴史は、728年に建立された、東北で最も古いとされる天台寺に始まると言われている。あまりに古く文献が残っていないのだが、寺は、聖武天皇が僧侶行基に命じて開山されたとされており、その寺の僧侶達が作った漆器が庶民に広がり、現在の浄法寺塗につながるのだそうだ。だから浄法寺塗は、普段使いの漆器であることを旨としている。
漆塗は、多くの工芸品の中でもとりわけ手間のかかる仕事だろう。浄法寺塗を手がける工房の中でも中心的な存在である滴生舎の小田島勇氏に、その工程を伺うと「自分で言うのもおこがましいのですが、漆の仕事は、けっこう大変ですよ」と言う。

そもそも漆は自然に生えている木ではないので、まずは漆の苗を作る人がいて、その木を育てる人がいなくてはならない。そして15~20年かけて一升瓶ほどの太さまで育ってようやく漆を採取することができる。
今度は漆かき職人の出番だ。漆かきとは、漆の木から樹液を集める作業のことで、日本では、漆の木に一筋ずつ傷を入れ、そこからしみ出た漆を一かきずつ採取するという方法をとっている。1シーズンかけて一本の木から集められる漆の量は、コップ一杯程度。漆かき職人は大体400本ほどの漆の木を確保して、シーズンになると毎日、山を回る。しかも採取した季節によって漆の質が異なるので、6月に採れたもの、7月に採れたものというように、管理にも気を配る。一年間で樹液を採りきった木は、最後に伐採される。

最後にいよいよ塗師の仕事だ。漆かき職人から漆を買い、自分の好みに漆を精製していく。どんな仕上がりにしたいかということももちろんだが、作業工程や季節に合わせて漆同士を調合していくことも大切だ。漆を塗り始め、漆器が完成するまで3ヶ月程度はかかる。
他方、塗師の注文に応じて椀などを作る「木地師」もいる。木を削り出して椀を作る。ものにもよるが大体、4~5ヶ月はかかる。技術も一朝一夕に身につくものではない。さらに言えば、漆をかくための道具は、鍛冶屋がいなくては始まらない。
浄法寺塗は、これだけ多くの人が携わり、これだけの手間をかけて初めて出来上がる逸品なのだ。

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