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連載・ホンモノ

Vol.44 越前和紙 WASHIYA 「杉原商店」

2015年1月28日更新

福井県の今立地区(現在の越前市)にある「越前和紙の里」は、約1500年という長い歴史を誇る越前和紙の産地。襖紙や奉書紙など紙の匠たちが生み出してきた数々の銘品は、日本を代表する高級和紙として高い評価を得てきた。この地で和紙問屋を営んできた杉原商店は、さまざまなアプローチで「新しい越前和紙の形」を提案。古き良き伝統を守りつつ、未来を切り拓こうとしている。

「和紙ソムリエ」&「和紙キュレーター」として、越前和紙の普及に力を尽くす

和紙で作られたはがきや便せんに触れると、心が和む。奥深さと懐かしさを感じ、「ああ、日本の伝統文化っていいなあ」と嬉しくなる。
昨年11月にユネスコが「和紙 日本の手漉和紙技術」を無形文化遺産に登録して以来、和紙への関心が高まっている。保存会が存在しないため登録対象からは外れたが、歴史の長さと品質の高さ、高度な職人技術で忘れてならないのは、福井県の越前和紙。2014年には越前の紙漉き道具が国内で唯一、国指定の重要有形民俗文化財に登録されている。和紙の産地は日本各地に点在しているが、1500年もの伝統を受け継ぎ、神社を建てて紙祖神を奉っている産地はここしかない。

「そもそも、越前は幕府に納める公文書用紙を作っていたところ。和紙の生産・流通を取り仕切る“紙座”が置かれた特別な地域だったのです」
そう語るのは、今立地区で和紙の問屋「杉原商店」を経営する杉原吉直さん。10代目の店主だが、店は江戸時代以前から続いているという。杉原さんの肩書きは、「和紙ソムリエ」&「和紙キュレーター」。越前和紙の認知・普及を目的に、国内外を忙しく飛び回っている。

実は、和紙の製法自体は産地によってさほど大きな違いはない。違いが出るのは処理の仕方や職人の技術だ。
「和紙の世界では現在人間国宝が3人。越前にはそのうちの一人、岩野市兵衛さんという紙漉き職人の方がいます。この人は機械を使ったり工業的な手法を用いたりせず、奈良や平安の時代から続く漉きの技術を守り続けている。おそろしく手間のかかる、神業のような仕事ですよ」
こうした高度な技術を持つ手漉き職人を筆頭に、越前には約30名の伝統工芸士がいて、それぞれが襖紙、奉書紙、版画用紙、壁紙などの製品分野で腕を振るっている。

原料への深いこだわりも特徴のひとつ。越前和紙はどの産地でも使われる楮(こうぞ)だけでなく、全国的にも使用例が減っている雁皮(がんぴ)や三椏(みつまた)をよく使う。
「“紙の王様”と言われるのが雁皮の和紙。薄くて光沢があるので、かな書きに適しており、平安時代の古文書にも使われています。三椏(みつまた)の和紙は印刷適性が高いので、お札や証券用紙の原料として使われてきました。3種類の原料を扱える職人がいるのは越前だけでしょう」

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