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連載・ホンモノ

Vol.29 一幸庵

2013年7月24日更新

数ある和菓子屋の中でもここのわらびもちと水羊羹は絶品、秋の栗蒸し羊羹もおすすめ、そんな声が店の前で聞かれる。東京・小石川の「一幸庵」は、和菓子ファンなら誰もが一目置く存在だ。一つ一つ丁寧に時間をかけて手作りしているので、販売数は少ない。季節限定の商品も多く、売り切れになることもしばしば。職人気質の店主が一代で築き上げた銘店の和菓子は、他では味わえない美味しさと芸術品のような美しさで人々をとりこにする。

シンプルな「水羊羹」には、職人の腕の差がはっきりと現れる

ちょっと灰色がかった赤紫色。「一幸庵」の水羊羹だけの独特な色合いだ。口に運んで驚くのは、水羊羹の常識を越えた瑞々しさ。しつこさの全くない甘さを楽しんでいるうちに、舌の上で完全に溶けてしまっている。わずかに感じられるあんこのざらつきも、この上なく上品で細やか。これは、紛う事なき和菓子の逸品といえる。暑い夏にこの水羊羹を求めて遠方から訪れる人が多いのも大いにうなずけるというものだ。

水上氏は、和菓子屋の特徴が最も表に出るのは水羊羹だと言う。
「あんこに寒天を加えて固めただけのものですからね。夏の暑い時にあんこを食べてもらうわけですから、口当たりはさらっとしてなくちゃいけないし、のど越しもよくなくちゃいけない。色も涼しげな印象を与えるものでないと駄目です」
「一幸庵」では、小豆を炊きながら灰汁を何度も取り除く。「この後、100メッシュ(1寸に100×100)の篩(ふるい)で裏ごし、これを数回水でさらし、漉餡(こしあん)を作ります。水羊羹には、小豆皮の入らない、なめらかな漉餡がどうしても必要となります。」

寒天の配合も重要だ。天然の材料である寒天は、その年によってゼラチンの濃度が異なっている。一定の品質を維持するためには、毎年必ず寒天の配合を微調整しなければならない。また、水羊羹は熱いうちに型に流すとあんこと寒天が分離してしまう。分離せず、寒天のコシも抜けない温度になるのを見計らって流すには、経験と勘が求められる。

「今でも失敗することはありますよ。あんこを作る段階で、30キロ全部捨てたこともある。逆に、自分の色と香りが上手く出せた時は、胸を張りたい気分になりますね(笑)」
作りたての「一幸庵」の水羊羹は鋭く角が立った直方体をしているが、夕方には台形になってしまう。これは、形を整えるための増粘剤を一切使っていないから。時間が経つと蜜が滲み出てくるため、自然に形が崩れてくるのだ。そのため、「一幸庵」ではお客様からの注文が入る度に水羊羹をカットして販売している。
(この水羊羹は季節限定で松屋銀座地下1階「銘家逸品」でも毎週木曜日に販売されている。)

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