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連載・ホンモノ

Vol.9 開化堂

2011年12月14日更新

使い込むに従って変化する色と艶が愛着を生む

開化堂の茶筒には、精緻な作りと並ぶもうひとつの大きな特等がある。時間をかけて使い込んでいくうちに、色や艶、光沢が変化していくのだ。「手擦れ」と呼ばれるこの現象は、手の脂による酸化作用。素材に塗装を施さない生地物にしか望めない、“時間が作る道具の味”と言えるだろう。
店頭には新品と一緒に経年変化した茶筒が飾られており、その変化の妙には驚かされる。経年変化に要する時間は、銅で2-3年、真ちゅうで4-5年、ブリキはかなり長く30-40年。創業時に作られたブリキの茶筒は、ほぼ真っ黒に変色し、既に金属の質感を失っている。だが、その深みや渋さは特筆すべきもの。新品のシャープな美しさとはまた別の、まろやかな温もりが伝わってくる。

昔からの愛好家はこの特徴をよく知っており、なかには毎日なでる部分を変えてグラデーションをつける人もいるのだとか。
「昔はどの家庭でも頻繁にお茶を飲んでいましたから、誰かが毎日のように茶筒に触っていました。今はたまにしか手に取らない家庭が多いので、説明書に『よくなでてください』と書いています」と八木さん。
購入者にはぜひ、毎日“なでること”をお勧めしたい。好みのお茶をいただきながら開化堂の茶筒をなでていると、不思議なくらい心が落ち着いてくる。慌ただしい日常を忘れてお茶の香りに包まれながら、完璧なフォルムを持つ茶筒に触れるひととき。なんと贅沢な時間だろうか。

開化堂の茶筒は大切に使えば数十年にもわたって使い続けられるものだから、代をまたいで受け継がれるケースも少なくない。ある時、京都の工房に「ちょっとここを修繕してもらえませんか」と、年配の女性が茶筒を持って訪ねてきた。話を聞くと、祖母の代から大切に使ってきた茶筒だという。「お客さんご自身がお年を召されていたので、おそらく50年以上の年代物でしょう。古い茶筒を見た時は本当にうれしいですね」

開化堂の茶筒は、底に押された刻印の形で、年代をほぼ特定することができる。修理を依頼されることも多く、職人は刻印を見てどの時代に作られた茶筒かを判断し、適切な補修を行うという。

「祖父は小さなお茶屋さんとの付き合いを大事にした人で、注文に応じてその店のオリジナルを作ることも多かったようです。当時の茶筒が持ち込まれると、身内ながら、その見事な加工技術にうならされます」と八木さんは語る。

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