ページの先頭です


ここからヘッダー内のメニューです

文字サイズの切替
  • 中サイズ 12ポイント
  • 大サイズ 14ポイント


ここから本文です

連載・ホンモノ

Vol.9 開化堂

2011年12月14日更新

装飾を省いた円筒形のフォルム。蓋が自然に降りてゆく精緻な作り。使い込むほどに深まる色艶の変化。開化堂の茶筒には、“機能美の昇華”という言葉がふさわしい。愛でるための伝統工芸品ではなく、使い捨てを前提にした実用品でもない。普段使いの道具でありながら、いつの間にか深く愛着のわく存在になっているこの茶筒に、ホンモノを求める多くの人々が魅了されている。

熟練の職人が集まっても、1日に10個しか作れない

開化堂の創業は今から140年ほども昔の明治8年。文明開化の鐘が鳴り響くこの時代、イギリスからブリキの加工技術が輸入され、京都で茶筒の製造が盛んになった。開化堂の初代当主は、手づくりによる生地物(地肌を生かした塗装のない茶筒)の製法を開発。精巧な職人技によって生み出される茶筒は茶屋の評判を呼び、その技術は6代にわたって受け継がれてきた。材料の切断、ハンダ付け、磨きなど130余りもの工程を経るその手法は、今もほとんど変わっていない。
現在、工房には熟練の職人が6人いるが、それでも一日に作れるのは10個程度。卓越した加工技術を要するので、この数が限界なのだという。

開化堂の茶筒を初めて目にする人は、まずその美しさに魅せられることだろう。何の変哲もないプレーンな丸い缶。ブリキ、銅、真ちゅう、あるいは銀といった素材が持つ独特の質感と表情。極限までシンプルな造形と、金属でしか表現し得ない微妙な味わいが、見る者の心を捉えて離さない。そして、手にする前に理解するはずだ。この茶筒が他の金属製茶筒とは全く違う、特別なものであることを。

柄物や二段茶筒、重ねられる「だんだん」などのバリエーション商品もあるが、開化堂の原点は、長型または平型のオーソドックスな茶筒にある。手にして驚くのは、精緻を極めた全体の作り。蓋と胴の継ぎ目の線を合わせて手を離すと、自身の重みで蓋がすーっと下に降りてゆく。ひっかかって途中で止まるようなことなどなく、ぴったりと蓋が閉まるのだ。蓋と本体の間には、おそらくミクロン単位の隙間しかないはず。これを手仕事で仕上げているとは…。

「驚かせようと思ってこうしているわけではありません。気密性を高めながら開け閉めのしやすさを追求したら、二重構造の印籠式になったのです」と語るのは、開化堂の6代目、八木隆裕氏。家業を継げとは言われなかったが、外の会社に就職した後、自らの意志で開化堂に入った。父で5代目の八木聖二氏の下で仕事を覚え、今は開化堂の将来を担う存在に。百貨店や展示会などにも積極的に顔を出し、実演販売を行っている。
「幼い頃から祖父や父の仕事を見ていましたから、何をやればいいのかは、あうんの呼吸で分かります」

  • 松屋カード オンライン入会お申し込み受付中!
  • 松屋ポイントカード 食品、ご飲食もポイント対象に!
  • 松屋メールマガジン ご登録・解除はこちらから
  • 松屋銀座が提供するレッスン講座 クラブMGカルチャースクール受講生募集中!

松屋銀座 住所:〒104-8130 東京都中央区銀座3-6-1 電話:03-3567-1211(大代表)



ページの終わりです

ページの先頭へ戻る