ページの先頭です


ここからヘッダー内のメニューです

文字サイズの切替
  • 中サイズ 12ポイント
  • 大サイズ 14ポイント


ここから本文です

連載・ホンモノ

Vol.7 きびそ

2011年10月12日更新

麻で編んだロープのようにも見える、ざっくりとした布地。触ると想像していたよりも柔らかく、不思議なくらい手になじんでくる──。素材は天然繊維の「きびそ」。今までは捨てるか特殊な用途でしか使われなかったこの「きびそ」が、デザイナーや職人の手によって、バッグやショールなどさまざまなファブリックアイテムに生まれ変わった。注目を集める「kibiso」ブランドの魅力をご紹介しよう。

各地の職人と協力し、“織れない糸”から布を作る

「きびそ」とは、蚕が繭を作るとき最初に吐き出す糸のこと。蚕にとっては練習段階の繭糸だから、太さが均一ではなく、手触りもごわごわとして硬い。加工が難しいので昔から生糸としては使われず、そのまま糸くずとして捨てられるか、抗酸化成分を抽出してスキンケア用品に使われるくらいだった。
一般にはほとんど知られていないシルクの副産物、「きびそ」。今から3年前、この「きびそ」に着目して新しいファブリックブランドを立ち上げた人たちがいる。
プロデューサーは、多くのデザイナーを育ててきたファション界の重鎮、岡田茂樹氏。その岡田氏が声を掛けてシルクの生産地である山形県鶴岡市に誘ったのが、布地の専門店「NUNO」の代表であり、世界的なテキスタイルデザイナーでもある須藤玲子さんだった。
あらゆる布地や糸を見てきた須藤さんだが、初めて目にした「きびそ」の原糸には相当驚いたらしい。

「白樺の小枝を束ねたようなものが工場の片隅に置かれていたのです。長さは60cmくらいで、シルクとは全然違う。すごく興味を引かれました。ステンレスを織ったこともある私ですから、岡田さんはこれを見せたら私が織るだろうと考えていたみたい(笑)」
繭から取った生糸の太さは8-25ミクロンほど。ところが「きびそ」原糸の太さは5-6mmもある。硬く、太さはまちまち。蚕の呼吸が作り出すのか、イレギュラーな節もある。鶴岡の織物工場にも、このままでは織れないと断られた。どうすれば布にできるのか。

「悩んでいるうちに、原糸を割いて1/10くらいに細くすることを思い付きました。これなら織れそうだと。鶴岡でも織れるというので、私が教えている東京造形大学に残っていた手織り機を現地に送り、リタイアした人たちを集めて手織りチームを作りました」

須藤さんは完成した「きびそ」の布でトートバッグや帽子を作り、東京・青山のセレクトショップ「Rin」で販売した。作品を目にしたアメリカのファッションブランド「ハンティングワールド」によってバッグも作られた。「きびそ」から製品ができたことも嬉しかったが、須藤さんには別の感慨があったという。
「手織りチームの人たちが製品を見て言ったのです。『自分たちはまだやれる。鶴岡でシルクを作れる』と。日本のシルク産業は政府の助成金に支えられていますが、数年後にはなくなってしまうのではないかと危惧されています。きびそをきっかけに皆さんでシルクを支えてもらいたい。岡田さんも私も、そう思っていました」

  • 松屋カード オンライン入会お申し込み受付中!
  • 松屋ポイントカード 食品、ご飲食もポイント対象に!
  • 松屋メールマガジン ご登録・解除はこちらから
  • 松屋銀座が提供するレッスン講座 クラブMGカルチャースクール受講生募集中!

松屋銀座 住所:〒104-8130 東京都中央区銀座3-6-1 電話:03-3567-1211(大代表)



ページの終わりです

ページの先頭へ戻る